トップ 基礎問題 数学1 方程式不等式 不等式 問題 11

数学1 不等式 問題 11 解説

数学1 不等式 問題 11 解説

方針・初手

絶対値記号を含む不等式です。基本通りに絶対値の中身の正負で場合分けを行おうとすると、境界が $x = -\frac{1}{2}, \frac{1}{2}, \frac{2}{3}$ と3か所存在し、4つの区間で場合分けが必要になるため、非常に計算が煩雑になります。

式を移項して $|A| \geqq |B|$ の形を作ります。この形であれば両辺ともに $0$ 以上であることが保証されるため、「両辺を2乗しても同値である」という性質を利用して絶対値を外す方針が有効です。あるいは、絶対値の中身を因数分解して共通因数を見つけるアプローチも考えられます。

解法1

与えられた不等式を移項して変形すると

$$ |4x^2 - 1| \geqq |6x^2 - x - 2| $$

両辺ともに $0$ 以上であるから、両辺を2乗しても同値である。

$$ (4x^2 - 1)^2 \geqq (6x^2 - x - 2)^2 $$

移項し、差の2乗の公式 $A^2 - B^2 = (A+B)(A-B)$ を用いて因数分解する。

$$ (4x^2 - 1)^2 - (6x^2 - x - 2)^2 \geqq 0 $$

$$ \{ (4x^2 - 1) + (6x^2 - x - 2) \} \{ (4x^2 - 1) - (6x^2 - x - 2) \} \geqq 0 $$

$$ (10x^2 - x - 3)(-2x^2 + x + 1) \geqq 0 $$

$$ -(10x^2 - x - 3)(2x^2 - x - 1) \geqq 0 $$

両辺に $-1$ を掛けて不等号の向きを逆にする。

$$ (10x^2 - x - 3)(2x^2 - x - 1) \leqq 0 $$

それぞれのカッコ内をさらに因数分解する。

$$ (2x + 1)(5x - 3)(x - 1)(2x + 1) \leqq 0 $$

$$ (2x + 1)^2(5x - 3)(x - 1) \leqq 0 $$

ここで、すべての実数 $x$ に対して $(2x + 1)^2 \geqq 0$ であるため、次のように場合分けを行う。

(i) $(2x + 1)^2 = 0$ すなわち $x = -\frac{1}{2}$ のとき 与式は $0 \leqq 0$ となり、不等式は成り立つ。よって、$x = -\frac{1}{2}$ は解である。

(ii) $(2x + 1)^2 > 0$ すなわち $x \neq -\frac{1}{2}$ のとき 不等式の両辺を正の数 $(2x + 1)^2$ で割ることができる。

$$ (5x - 3)(x - 1) \leqq 0 $$

これを解くと

$$ \frac{3}{5} \leqq x \leqq 1 $$

これは $x \neq -\frac{1}{2}$ を満たしている。

(i), (ii) より、求める解は

$$ x = -\frac{1}{2}, \quad \frac{3}{5} \leqq x \leqq 1 $$

解法2

与えられた不等式の絶対値の中身をそれぞれ因数分解すると

$$ |(2x - 1)(2x + 1)| - |(2x + 1)(3x - 2)| \geqq 0 $$

絶対値の性質 $|ab| = |a||b|$ を用いて変形する。

$$ |2x - 1| |2x + 1| - |3x - 2| |2x + 1| \geqq 0 $$

共通因数 $|2x + 1|$ でくくる。

$$ |2x + 1| ( |2x - 1| - |3x - 2| ) \geqq 0 $$

すべての実数 $x$ に対して $|2x + 1| \geqq 0$ であるため、次のように場合分けを行う。

(i) $|2x + 1| = 0$ すなわち $x = -\frac{1}{2}$ のとき 与式は $0 \geqq 0$ となり、不等式は成り立つ。よって、$x = -\frac{1}{2}$ は解である。

(ii) $|2x + 1| > 0$ すなわち $x \neq -\frac{1}{2}$ のとき 不等式の両辺を正の数 $|2x + 1|$ で割ることができる。

$$ |2x - 1| - |3x - 2| \geqq 0 $$

$$ |2x - 1| \geqq |3x - 2| $$

両辺ともに $0$ 以上であるから、両辺を2乗して

$$ (2x - 1)^2 \geqq (3x - 2)^2 $$

移項して差の2乗の公式を用いて因数分解する。

$$ (2x - 1)^2 - (3x - 2)^2 \geqq 0 $$

$$ \{ (2x - 1) + (3x - 2) \} \{ (2x - 1) - (3x - 2) \} \geqq 0 $$

$$ (5x - 3)(-x + 1) \geqq 0 $$

両辺に $-1$ を掛けて

$$ (5x - 3)(x - 1) \leqq 0 $$

これを解くと

$$ \frac{3}{5} \leqq x \leqq 1 $$

これは $x \neq -\frac{1}{2}$ を満たしている。

(i), (ii) より、求める解は

$$ x = -\frac{1}{2}, \quad \frac{3}{5} \leqq x \leqq 1 $$

解説

絶対値を含む方程式・不等式において、「中身が $0$ になる点で場合分けをする」というのは基本かつ強力な手法ですが、式が複雑な場合や絶対値が複数ある場合は計算量が膨大になりがちです。

本問のように、式を変形して $|A| \geqq |B|$ の形を作ることができれば、「両辺が $0$ 以上なので両辺を2乗して同値変形する」という手法(解法1)が非常に有効です。これにより、面倒な場合分けを回避して多項式不等式に帰着させることができます。

また、式をよく観察して絶対値の中身に共通因数が含まれていることに着目し、最初にそれをくくり出す手法(解法2)も見通しが良く優秀なアプローチです。

どちらの解法においても、最後に $(2x + 1)^2$ または $|2x + 1|$ を両辺から割る操作を行いますが、文字を含む式で割る際は、その式が $0$ になる場合を分けて考えなければならない点に細心の注意を払ってください。この確認を怠ると、$x = -\frac{1}{2}$ という孤立した解を見落としてしまいます。

答え

$$ x = -\frac{1}{2}, \quad \frac{3}{5} \leqq x \leqq 1 $$

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