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数学1 背理法 問題 16 解説

数学1 背理法 問題 16 解説

方針・初手

背理法を用いて、与えられた3つの不等式が同時に成立すると仮定し、矛盾を導く。各不等式の辺々が正であることを確認したうえで、それらを掛け合わせた式を作る。そして、$x(1-x) \leqq \frac{1}{4}$ という基本的な不等式の評価を利用して矛盾を示す。

解法1

与えられた3つの不等式

$$ a(1-b) > \frac{1}{4} $$

$$ b(1-c) > \frac{1}{4} $$

$$ c(1-a) > \frac{1}{4} $$

が同時に成立すると仮定する。

条件より $0 < a < 1$, $0 < b < 1$, $0 < c < 1$ であるから、 $a > 0$, $b > 0$, $c > 0$ かつ $1-a > 0$, $1-b > 0$, $1-c > 0$ である。

したがって、3つの不等式の両辺はすべて正であるため、辺々を掛け合わせても不等号の向きは変わらない。辺々を掛け合わせると、

$$ a(1-b) \cdot b(1-c) \cdot c(1-a) > \frac{1}{4} \cdot \frac{1}{4} \cdot \frac{1}{4} $$

順番を入れ替えて整理すると、

$$ a(1-a) \cdot b(1-b) \cdot c(1-c) > \frac{1}{64} \quad \cdots \text{①} $$

となる。

ここで、実数 $x$ に対して、平方完成を行うと

$$ x(1-x) = -x^2 + x = - \left( x - \frac{1}{2} \right)^2 + \frac{1}{4} $$

となるため、つねに $x(1-x) \leqq \frac{1}{4}$ が成り立つ。

これより、$a, b, c$ についてもそれぞれ以下の不等式が成り立つ。

$$ a(1-a) \leqq \frac{1}{4} $$

$$ b(1-b) \leqq \frac{1}{4} $$

$$ c(1-c) \leqq \frac{1}{4} $$

先述の通り、各式の左辺は正の値であるから、これらの辺々を掛け合わせても不等号の向きは変わらず、

$$ a(1-a) \cdot b(1-b) \cdot c(1-c) \leqq \frac{1}{4} \cdot \frac{1}{4} \cdot \frac{1}{4} = \frac{1}{64} $$

となる。

これは不等式①と矛盾する。

したがって、仮定は誤りであり、与えられた3つの不等式は同時には成立しないことが示された。

解説

「同時には成立しないことを示せ」という問題の要求から、背理法を用いるのが最も自然な発想である。

不等式の証明において、複数の式が与えられた場合は「辺々を足す」か「辺々を掛ける」のが定石である。本問では、$a, b, c$ が循環するように配置されているため、掛け合わせることで $a(1-a)$ などの同じ文字のみを含むペアを作ることができる。

なお、不等式の辺々を掛け合わせる際には、各辺が正であることを必ず確認し、答案に明記しなければならない。

また、$x(1-x) \leqq \frac{1}{4}$ の証明には、平方完成のほかに「相加平均と相乗平均の大小関係」を用いることもできる。$x > 0$ かつ $1-x > 0$ のとき、

$$ \frac{x + (1-x)}{2} \geqq \sqrt{x(1-x)} $$

$$ \frac{1}{2} \geqq \sqrt{x(1-x)} $$

両辺は正であるから2乗して $x(1-x) \leqq \frac{1}{4}$ と導くことも可能である。

答え

題意は示された。(背理法により、3つの不等式が同時に成立すると仮定すると矛盾が生じるため)

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