北海道大学 1999年 文系 第3問 解説

方針・初手
命題の真偽を判定し、その理由を示す問題である。 (1) は「無理数である」という主張の真偽を判定する。真であると予想し、結論を否定して「有理数である」と仮定して矛盾を導く背理法を用いる。問題文で与えられた「$\sqrt{6}$ が無理数である」という事実を使える形に式を変形していく。 (2) と (3) については、命題が成り立たない例(反例)を見つけることを優先して考える。無理数を含む計算の結果が有理数となるような具体的な数値を構成できれば、命題は偽であると示せる。
解法1
(1)
真である。
$\sqrt{2} + \sqrt{3}$ が有理数であると仮定し、その有理数を $r$ とおく。
$$ \sqrt{2} + \sqrt{3} = r $$
両辺を $2$ 乗すると、
$$ 2 + 2\sqrt{6} + 3 = r^2 $$
整理すると、
$$ 2\sqrt{6} = r^2 - 5 $$
$$ \sqrt{6} = \frac{r^2 - 5}{2} $$
ここで、$r$ は有理数であるから、四則演算の結果である $\frac{r^2 - 5}{2}$ も有理数である。 しかし、これは問題の条件である「$\sqrt{6}$ は無理数である」ことに矛盾する。 したがって、初めの仮定は誤りであり、$\sqrt{2} + \sqrt{3}$ は無理数である。
(2)
偽である。
(反例) $x^2 + x = 1$ を満たす実数 $x$ を考える。 方程式 $x^2 + x - 1 = 0$ を解くと、解の公式より
$$ x = \frac{-1 \pm \sqrt{5}}{2} $$
ここで $x = \frac{-1 + \sqrt{5}}{2}$ とすると、$x$ は実数である。 このとき、$x^2 + x = 1$ であり、計算結果は有理数である。 しかし、問題の条件より $\sqrt{5}$ が無理数であるため、$x = \frac{-1 + \sqrt{5}}{2}$ は有理数ではない(無理数である)。 したがって、$x^2 + x$ が有理数であっても $x$ が有理数とはならない反例が存在するため、この命題は偽である。
(3)
偽である。
(反例) $x = \sqrt{2}$, $y = -\sqrt{2}$ とする。 問題の条件より $\sqrt{2}$ は無理数であるから、$x, y$ はともに無理数である。 このとき、$x+y$ および $x^2+y^2$ をそれぞれ計算すると、
$$ x + y = \sqrt{2} + (-\sqrt{2}) = 0 $$
$$ x^2 + y^2 = (\sqrt{2})^2 + (-\sqrt{2})^2 = 2 + 2 = 4 $$
$0$ も $4$ も有理数であるため、$x + y$ と $x^2 + y^2$ はともに有理数となる。 したがって、「うち少なくとも一方は無理数である」という主張は成り立たず、反例が存在するためこの命題は偽である。
解説
有理数・無理数に関する命題の真偽判定を行う典型問題である。 「証明せよ」ではなく「真偽を述べよ」という出題形式では、まず偽である可能性を疑い、反例を探すアプローチが効果的である。 (1) は背理法を用いた無理数の証明の基本形である。$\sqrt{2}$ と $\sqrt{3}$ の和の形から、両辺を $2$ 乗することで無理数部分を $\sqrt{6}$ の1つに集約できる。 (2) は $x^2+x=k$($k$ は有理数)となる方程式を設定し、その解に無理数が現れるような有理数 $k$ を見つければ反例となる。 (3) は対称式の構造に注目する。和 $x+y$ を $0$ のような扱いやすい有理数にするために符号違いの無理数を用意すれば、平方の和 $x^2+y^2$ も有理数になることが容易に分かるため、素早く反例を構成できる。
答え
(1) 真(背理法により $\sqrt{2} + \sqrt{3}$ が無理数であることを示した) (2) 偽(反例:$x = \frac{-1 + \sqrt{5}}{2}$ など) (3) 偽(反例:$x = \sqrt{2}, y = -\sqrt{2}$ など)
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