トップ 基礎問題 数学1 命題と集合 必要条件十分条件 問題 4

数学1 必要条件十分条件 問題 4 解説

数学1 必要条件十分条件 問題 4 解説

方針・初手

(1) はベクトルの等式証明である。複数の点が混在する式を扱う際の定石として、始点を $1$ つの頂点(たとえば $\mathrm{A}$)に統一して両辺を計算し、一致することを示すのが確実である。

(2)(1) で証明した等式を利用する問題である。辺 $\mathrm{BC}$ と辺 $\mathrm{DA}$ が平行であることをベクトルの関係式で表し、$\overrightarrow{\mathrm{BC}} + \overrightarrow{\mathrm{DA}}$ の大きさを求めて等式に代入する。

(3) は命題の真偽を調べる問題である。命題 $\mathrm{P}$ の条件式を (1) の結果を用いて変形し、四角形 $\mathrm{ABCD}$ がどのような図形であるかを特定する。そのうえで長方形である条件(命題 $\mathrm{Q}$)との包含関係を考える。

解法1

(1)

すべてのベクトルの始点を $\mathrm{A}$ に統一する。

$$ \overrightarrow{\mathrm{AB}} = \vec{b}, \quad \overrightarrow{\mathrm{AC}} = \vec{c}, \quad \overrightarrow{\mathrm{AD}} = \vec{d} $$

とおく。

与えられた等式の左辺について、各ベクトルを $\vec{b}, \vec{c}, \vec{d}$ で表して展開する。

$$ \begin{aligned} (\text{左辺}) &= |\vec{c}|^2 + |\vec{d} - \vec{b}|^2 + |(\vec{c} - \vec{b}) + (-\vec{d})|^2 \\ &= |\vec{c}|^2 + (|\vec{d}|^2 - 2\vec{b}\cdot\vec{d} + |\vec{b}|^2) + |\vec{c} - \vec{b} - \vec{d}|^2 \\ &= |\vec{c}|^2 + |\vec{d}|^2 - 2\vec{b}\cdot\vec{d} + |\vec{b}|^2 + |\vec{c}|^2 + |\vec{b}|^2 + |\vec{d}|^2 - 2\vec{c}\cdot\vec{b} + 2\vec{b}\cdot\vec{d} - 2\vec{c}\cdot\vec{d} \\ &= 2|\vec{b}|^2 + 2|\vec{c}|^2 + 2|\vec{d}|^2 - 2\vec{b}\cdot\vec{c} - 2\vec{c}\cdot\vec{d} \end{aligned} $$

一方、等式の右辺についても同様に展開する。

$$ \begin{aligned} (\text{右辺}) &= |\vec{b}|^2 + |\vec{c} - \vec{b}|^2 + |\vec{d} - \vec{c}|^2 + |-\vec{d}|^2 \\ &= |\vec{b}|^2 + (|\vec{c}|^2 - 2\vec{b}\cdot\vec{c} + |\vec{b}|^2) + (|\vec{d}|^2 - 2\vec{c}\cdot\vec{d} + |\vec{c}|^2) + |\vec{d}|^2 \\ &= 2|\vec{b}|^2 + 2|\vec{c}|^2 + 2|\vec{d}|^2 - 2\vec{b}\cdot\vec{c} - 2\vec{c}\cdot\vec{d} \end{aligned} $$

したがって、(左辺)=(右辺)が成り立つため、与えられた等式は証明された。

(2)

四角形 $\mathrm{ABCD}$ において辺 $\mathrm{BC}$ と辺 $\mathrm{DA}$ は平行であり、頂点の順序からベクトル $\overrightarrow{\mathrm{BC}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{AD}}$ は同じ向きである。 したがって、$\overrightarrow{\mathrm{BC}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{DA}}$ は互いに逆向きのベクトルとなる。

辺の長さが $\mathrm{BC}=5$, $\mathrm{DA}=1$ であるから、ベクトルの実数倍を用いて次のように表せる。

$$ \overrightarrow{\mathrm{DA}} = -\frac{1}{5} \overrightarrow{\mathrm{BC}} $$

この関係を用いると、

$$ \overrightarrow{\mathrm{BC}} + \overrightarrow{\mathrm{DA}} = \overrightarrow{\mathrm{BC}} - \frac{1}{5} \overrightarrow{\mathrm{BC}} = \frac{4}{5} \overrightarrow{\mathrm{BC}} $$

となるため、その大きさは次のように求まる。

$$ |\overrightarrow{\mathrm{BC}} + \overrightarrow{\mathrm{DA}}| = \frac{4}{5} |\overrightarrow{\mathrm{BC}}| = \frac{4}{5} \times 5 = 4 $$

(1) で証明した等式

$$ |\overrightarrow{\mathrm{AC}}|^2 + |\overrightarrow{\mathrm{BD}}|^2 + |\overrightarrow{\mathrm{BC}} + \overrightarrow{\mathrm{DA}}|^2 = |\overrightarrow{\mathrm{AB}}|^2 + |\overrightarrow{\mathrm{BC}}|^2 + |\overrightarrow{\mathrm{CD}}|^2 + |\overrightarrow{\mathrm{DA}}|^2 $$

に、求めたい式の値以外のすべての値を代入する。

$$ \mathrm{AC}^2 + \mathrm{BD}^2 + 4^2 = 3^2 + 5^2 + 4^2 + 1^2 $$

$$ \mathrm{AC}^2 + \mathrm{BD}^2 + 16 = 9 + 25 + 16 + 1 $$

これを整理して、

$$ \mathrm{AC}^2 + \mathrm{BD}^2 = 35 $$

を得る。

(3)

命題 $\mathrm{P}$ の条件は、等式

$$ |\overrightarrow{\mathrm{AB}}|^2 + |\overrightarrow{\mathrm{BC}}|^2 + |\overrightarrow{\mathrm{CD}}|^2 + |\overrightarrow{\mathrm{DA}}|^2 = |\overrightarrow{\mathrm{AC}}|^2 + |\overrightarrow{\mathrm{BD}}|^2 $$

が成り立つことである。

(1) で示した等式を用いると、この条件は

$$ |\overrightarrow{\mathrm{BC}} + \overrightarrow{\mathrm{DA}}|^2 = 0 $$

と同値であることがわかる。

すなわち、$\overrightarrow{\mathrm{BC}} + \overrightarrow{\mathrm{DA}} = \vec{0}$ であり、移項して $\overrightarrow{\mathrm{AD}} = \overrightarrow{\mathrm{BC}}$ となる。 これは、四角形 $\mathrm{ABCD}$ の $1$ 組の対辺が平行かつ長さが等しいことを意味し、四角形 $\mathrm{ABCD}$ が平行四辺形であるための必要十分条件である。 したがって、命題 $\mathrm{P}$ は「四角形 $\mathrm{ABCD}$ は平行四辺形である」ことと同値である。

一方、命題 $\mathrm{Q}$ は「四角形 $\mathrm{ABCD}$ は長方形である」ことである。

長方形は平行四辺形の特別な場合であるため、命題 $\mathrm{Q}$ が成り立てば命題 $\mathrm{P}$ は必ず成り立つ($\mathrm{Q} \implies \mathrm{P}$ は真)。 しかし、平行四辺形であっても長方形ではない図形(内角が直角でないひし形など)が存在するため、命題 $\mathrm{P}$ が成り立っても命題 $\mathrm{Q}$ が成り立つとは限らない($\mathrm{P} \implies \mathrm{Q}$ は偽)。

ゆえに、命題 $\mathrm{P}$ は命題 $\mathrm{Q}$ が成り立つための必要条件であるが、十分条件ではない。

解説

(1) において登場する等式は、「オイラーの四辺形定理」として知られる性質をベクトルを用いて証明したものである。どのような四角形に対しても成り立つ普遍的な性質である。 (2) では、ベクトルの向きの扱いに注意が必要である。図形の頂点が円周上に順に並ぶとき、線分として平行であっても、ベクトルとしてみると逆向きになることを正しく処理しなければならない。 (3) は、証明した恒等式を用いることで複雑な条件を極めてシンプルな図形的性質に帰着させる良問である。「必要条件」「十分条件」の判定において、命題の主語と述語の包含関係(条件の強弱)を間違えないようにしたい。

答え

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