数学2 接線・不等式 問題 1 解説

方針・初手
定積分 $\int_{-1}^1 f(x) dx$ を評価するために、「グラフが右図のようになっている」という視覚的な条件を数式(不等式)に翻訳する。積分区間の端点や通る点として与えられている点 $(-1, 1)$、$(0, 1)$、$(1, -2)$ に着目し、これらの点を結ぶ直線を考える。グラフがそれらの線分よりも上側にある(上に凸である)という性質を用いて、関数 $f(x)$ を一次関数で下から評価し、定積分を計算する。
解法1
積分区間の両端に対応するグラフ上の2点 $(-1, 1)$、$(1, -2)$ を結ぶ直線を $y = g(x)$ とおく。
この直線の方程式は、
$$ g(x) = \frac{-2 - 1}{1 - (-1)} (x - (-1)) + 1 = -\frac{3}{2}(x + 1) + 1 = -\frac{3}{2}x - \frac{1}{2} $$
である。
与えられたグラフより、区間 $-1 \le x \le 1$ において、曲線 $y = f(x)$ は直線 $y = g(x)$ の上側(境界を含む)にあると読み取れる。したがって、区間 $-1 \le x \le 1$ において次の不等式が成り立つ。
$$ f(x) \ge -\frac{3}{2}x - \frac{1}{2} $$
この不等式の両辺を $-1$ から $1$ まで定積分すると、
$$ \int_{-1}^1 f(x) dx \ge \int_{-1}^1 \left( -\frac{3}{2}x - \frac{1}{2} \right) dx $$
となる。
ここで、右辺の定積分を計算する。積分区間が原点対称であるため、奇関数である $x$ の積分は $0$ になることを利用する。
$$ \int_{-1}^1 \left( -\frac{3}{2}x - \frac{1}{2} \right) dx = -\frac{3}{2} \int_{-1}^1 x dx - \frac{1}{2} \int_{-1}^1 1 dx = -\frac{3}{2} \cdot 0 - \frac{1}{2} \cdot 2 = -1 $$
ゆえに、
$$ \int_{-1}^1 f(x) dx \ge -1 $$
が示された。
解法2
問題文で与えられている $f(0) = 1$ という条件を活用し、積分区間を $[-1, 0]$ と $[0, 1]$ の2つに分割してより精密に評価する。
区間 $-1 \le x \le 0$ において、グラフ上の2点 $(-1, 1)$ と $(0, 1)$ を結ぶ直線は $y = 1$ である。 グラフより、この区間で曲線 $y = f(x)$ は直線 $y = 1$ の上側(境界を含む)にあるため、$f(x) \ge 1$ が成り立つ。 したがって、
$$ \int_{-1}^0 f(x) dx \ge \int_{-1}^0 1 dx = [x]_{-1}^0 = 1 $$
区間 $0 \le x \le 1$ において、グラフ上の2点 $(0, 1)$ と $(1, -2)$ を結ぶ直線の方程式は、
$$ y = \frac{-2 - 1}{1 - 0}(x - 0) + 1 = -3x + 1 $$
である。 グラフより、この区間で曲線 $y = f(x)$ は直線 $y = -3x + 1$ の上側(境界を含む)にあるため、$f(x) \ge -3x + 1$ が成り立つ。 したがって、
$$ \int_0^1 f(x) dx \ge \int_0^1 (-3x + 1) dx $$
右辺を計算すると、
$$ \int_0^1 (-3x + 1) dx = \left[ -\frac{3}{2}x^2 + x \right]_0^1 = -\frac{3}{2} + 1 = -\frac{1}{2} $$
となる。
以上より、区間全体での定積分は次のように評価できる。
$$ \int_{-1}^1 f(x) dx = \int_{-1}^0 f(x) dx + \int_0^1 f(x) dx \ge 1 + \left( -\frac{1}{2} \right) = \frac{1}{2} $$
$\frac{1}{2} \ge -1$ であるから、
$$ \int_{-1}^1 f(x) dx \ge -1 $$
が示された。
解説
「グラフが右図のようになっている」という定性的な情報を、定積分の不等式証明に利用できる定量的な条件へと翻訳する発想が問われている。 定積分の値は「符号付き面積」を表すため、グラフの概形から関数を適切な直線で下から評価(バウンディング)することで、不等式を導くことができる。グラフが「上に凸」であることを視覚的に読み取り、弦(2点を結ぶ線分)よりも弧(グラフ)が上にあるという性質を利用するのが定石である。 解法1は区間の両端を結ぶ線分を用いて目標の $-1$ を直接導く方法であり、解法2は与えられた通る点 $x=0$ を経由することで、$\frac{1}{2}$ というより強い(精度の高い)下限を導いている。
答え
解法1または解法2の手順により、$\int_{-1}^1 f(x) dx \ge -1$ が成り立つことが示された。
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