トップ 基礎問題 数学2 式と証明 コーシー・シュワルツの不等式 問題 1

数学2 コーシー・シュワルツの不等式 問題 1 解説

数学2 コーシー・シュワルツの不等式 問題 1 解説

方針・初手

与えられた条件式 $x+2y+3z=1$ を用いて、$x^2+4y^2+9z^2$ の最小値を求める問題である。

方針としては、主に2つのアプローチが考えられる。1つ目は、条件式を用いて1文字を消去し、残りの2文字についての2次式として平方完成を行う方法である。これは確実な方法だが計算がやや煩雑になる。2つ目は、コーシー・シュワルツの不等式を用いる方法である。式の形に着目すると、この不等式を利用することで劇的に計算量を減らすことができる。

ここでは両方の解法を示す。

解法1

条件式 $x+2y+3z=1$ より、$x$ について解くと以下のようになる。

$$x = 1 - 2y - 3z$$

これを求める式に代入し、$x$ を消去する。

$$x^2 + 4y^2 + 9z^2 = (1 - 2y - 3z)^2 + 4y^2 + 9z^2$$

展開して整理する。

$$\begin{aligned} (1 - 2y - 3z)^2 + 4y^2 + 9z^2 &= 1 + 4y^2 + 9z^2 - 4y - 6z + 12yz + 4y^2 + 9z^2 \\ &= 8y^2 + 12yz - 4y + 18z^2 - 6z + 1 \end{aligned}$$

これを $y$ についての2次式とみて平方完成を行う。

$$\begin{aligned} 8y^2 + (12z - 4)y + 18z^2 - 6z + 1 &= 8\left(y^2 + \frac{3z - 1}{2}y\right) + 18z^2 - 6z + 1 \\ &= 8\left(y + \frac{3z - 1}{4}\right)^2 - 8\left(\frac{3z - 1}{4}\right)^2 + 18z^2 - 6z + 1 \\ &= 8\left(y + \frac{3z - 1}{4}\right)^2 - \frac{9z^2 - 6z + 1}{2} + \frac{36z^2 - 12z + 2}{2} \\ &= 8\left(y + \frac{3z - 1}{4}\right)^2 + \frac{27z^2 - 6z + 1}{2} \end{aligned}$$

次に、残った $z$ の部分についても平方完成を行う。

$$\begin{aligned} 8\left(y + \frac{3z - 1}{4}\right)^2 + \frac{27}{2}\left(z^2 - \frac{2}{9}z\right) + \frac{1}{2} &= 8\left(y + \frac{3z - 1}{4}\right)^2 + \frac{27}{2}\left(z - \frac{1}{9}\right)^2 - \frac{27}{2} \cdot \frac{1}{81} + \frac{1}{2} \\ &= 8\left(y + \frac{3z - 1}{4}\right)^2 + \frac{27}{2}\left(z - \frac{1}{9}\right)^2 - \frac{1}{6} + \frac{1}{2} \\ &= 8\left(y + \frac{3z - 1}{4}\right)^2 + \frac{27}{2}\left(z - \frac{1}{9}\right)^2 + \frac{1}{3} \end{aligned}$$

実数の2乗は常に0以上であるため、この式が最小となるのは以下の条件を同時に満たすときである。

$$\begin{cases} y + \frac{3z - 1}{4} = 0 \\ z - \frac{1}{9} = 0 \end{cases}$$

第2式より $z = \frac{1}{9}$ である。これを第1式に代入して $y$ を求める。

$$y = -\frac{3\left(\frac{1}{9}\right) - 1}{4} = -\frac{\frac{1}{3} - 1}{4} = -\frac{-\frac{2}{3}}{4} = \frac{1}{6}$$

さらに、これらを最初の条件式 $x = 1 - 2y - 3z$ に代入して $x$ を求める。

$$x = 1 - 2\left(\frac{1}{6}\right) - 3\left(\frac{1}{9}\right) = 1 - \frac{1}{3} - \frac{1}{3} = \frac{1}{3}$$

以上より、$x = \frac{1}{3}, y = \frac{1}{6}, z = \frac{1}{9}$ のとき、最小値 $\frac{1}{3}$ をとる。

解法2

コーシー・シュワルツの不等式を用いる。実数 $a, b, c$ および $p, q, r$ において、以下の不等式が成り立つ。

$$(a^2 + b^2 + c^2)(p^2 + q^2 + r^2) \geqq (ap + bq + cr)^2$$

(等号成立は $a:b:c = p:q:r$ のとき)

ここで、$a=1, b=1, c=1$ とし、$p=x, q=2y, r=3z$ とすると、次のように当てはめることができる。

$$(1^2 + 1^2 + 1^2)\{x^2 + (2y)^2 + (3z)^2\} \geqq (1 \cdot x + 1 \cdot 2y + 1 \cdot 3z)^2$$

式を整理し、条件 $x+2y+3z=1$ を適用する。

$$3(x^2 + 4y^2 + 9z^2) \geqq 1^2 = 1$$

両辺を $3$ で割る。

$$x^2 + 4y^2 + 9z^2 \geqq \frac{1}{3}$$

等号が成立するのは、$1:1:1 = x:2y:3z$ のときである。すなわち、ある実数 $k$ を用いて以下のように表せるときである。

$$x = k, \quad 2y = k, \quad 3z = k$$

これより、$x = k, y = \frac{k}{2}, z = \frac{k}{3}$ となる。これを条件式 $x+2y+3z=1$ に代入する。

$$k + 2\left(\frac{k}{2}\right) + 3\left(\frac{k}{3}\right) = 1$$

$$k + k + k = 1$$

$$3k = 1 \iff k = \frac{1}{3}$$

したがって、$x = \frac{1}{3}, y = \frac{1}{6}, z = \frac{1}{9}$ のとき等号が成立し、最小値 $\frac{1}{3}$ をとる。

解説

条件式が与えられた多変数関数の最大・最小問題である。

解法1のように1文字消去して平方完成を繰り返す方法は、どのような問題でも適用できる汎用的な手法であるが、計算が複雑になり計算ミスのリスクが高まる。

一方、解法2のように式の形からコーシー・シュワルツの不等式を連想できれば、計算は非常に容易となる。$x^2+4y^2+9z^2$ が $x, 2y, 3z$ の2乗の和であること、条件式がそれらの1次結合であることを見抜くのがポイントである。難関大学の入試では、このような不等式の利用を想定した問題がしばしば出題されるため、定石として身につけておきたい。

答え

ア: $\frac{1}{3}$

イ: $\frac{1}{6}$

ウ: $\frac{1}{9}$

エ: $\frac{1}{3}$

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