数学2 コーシー・シュワルツの不等式 問題 10 解説

方針・初手
求める式 $x+2y+3z$ と条件式 $\frac{1}{x}+\frac{2}{y}+\frac{3}{z}$ の積を考える。積を展開して相加平均と相乗平均の大小関係を用いるか、またはコーシー・シュワルツの不等式を用いて下限を求めるのが定石である。
解法1
求める式と、条件式の左辺との積を考える。$x>0, y>0, z>0$ であるから、展開すると以下のようになる。
$$(x+2y+3z)\left(\frac{1}{x}+\frac{2}{y}+\frac{3}{z}\right) = 1 + \frac{2x}{y} + \frac{3x}{z} + \frac{2y}{x} + 4 + \frac{6y}{z} + \frac{3z}{x} + \frac{6z}{y} + 9$$
$$= 14 + \left(\frac{2x}{y} + \frac{2y}{x}\right) + \left(\frac{3x}{z} + \frac{3z}{x}\right) + \left(\frac{6y}{z} + \frac{6z}{y}\right)$$
$x>0, y>0, z>0$ より、括弧内の各項はすべて正である。相加平均と相乗平均の大小関係より、以下の不等式が成り立つ。
$$\frac{2x}{y} + \frac{2y}{x} \geqq 2\sqrt{\frac{2x}{y} \cdot \frac{2y}{x}} = 4$$
$$\frac{3x}{z} + \frac{3z}{x} \geqq 2\sqrt{\frac{3x}{z} \cdot \frac{3z}{x}} = 6$$
$$\frac{6y}{z} + \frac{6z}{y} \geqq 2\sqrt{\frac{6y}{z} \cdot \frac{6z}{y}} = 12$$
これらを足し合わせると、次の不等式が得られる。
$$(x+2y+3z)\left(\frac{1}{x}+\frac{2}{y}+\frac{3}{z}\right) \geqq 14 + 4 + 6 + 12 = 36$$
ここで、問題の条件より $\frac{1}{x}+\frac{2}{y}+\frac{3}{z} = \frac{1}{4}$ であるから、これを代入する。
$$(x+2y+3z) \cdot \frac{1}{4} \geqq 36$$
$$x+2y+3z \geqq 144$$
等号が成立するのは、$\frac{2x}{y} = \frac{2y}{x}$ かつ $\frac{3x}{z} = \frac{3z}{x}$ かつ $\frac{6y}{z} = \frac{6z}{y}$ のときである。$x>0, y>0, z>0$ であるから、これらは $x=y$ かつ $x=z$ かつ $y=z$、すなわち $x=y=z$ と同値である。
このとき、条件式に代入すると $\frac{1}{x}+\frac{2}{x}+\frac{3}{x} = \frac{6}{x} = \frac{1}{4}$ となり、$x=24$ を得る。よって、$x=y=z=24$ のときに等号が成立し、これは条件 $x>0, y>0, z>0$ を満たす。
したがって、$x+2y+3z$ の最小値は $144$ である。
解法2
コーシー・シュワルツの不等式を用いる。
$x>0, y>0, z>0$ より、実数 $\sqrt{x}, \sqrt{2y}, \sqrt{3z}$ および $\frac{1}{\sqrt{x}}, \frac{\sqrt{2}}{\sqrt{y}}, \frac{\sqrt{3}}{\sqrt{z}}$ に対してコーシー・シュワルツの不等式を適用すると、以下のようになる。
$$\left\{(\sqrt{x})^2 + (\sqrt{2y})^2 + (\sqrt{3z})^2\right\} \left\{ \left(\frac{1}{\sqrt{x}}\right)^2 + \left(\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{y}}\right)^2 + \left(\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{z}}\right)^2 \right\} \geqq \left( \sqrt{x} \cdot \frac{1}{\sqrt{x}} + \sqrt{2y} \cdot \frac{\sqrt{2}}{\sqrt{y}} + \sqrt{3z} \cdot \frac{\sqrt{3}}{\sqrt{z}} \right)^2$$
これを整理すると、次のようになる。
$$(x+2y+3z)\left(\frac{1}{x}+\frac{2}{y}+\frac{3}{z}\right) \geqq (1+2+3)^2 = 36$$
問題の条件より $\frac{1}{x}+\frac{2}{y}+\frac{3}{z} = \frac{1}{4}$ であるから、これを代入する。
$$(x+2y+3z) \cdot \frac{1}{4} \geqq 36$$
$$x+2y+3z \geqq 144$$
等号が成立するのは、$\sqrt{x} : \sqrt{2y} : \sqrt{3z} = \frac{1}{\sqrt{x}} : \frac{\sqrt{2}}{\sqrt{y}} : \frac{\sqrt{3}}{\sqrt{z}}$ のときである。
これは、$\frac{\sqrt{x}}{\frac{1}{\sqrt{x}}} = \frac{\sqrt{2y}}{\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{y}}} = \frac{\sqrt{3z}}{\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{z}}}$ すなわち $x = y = z$ のときである。条件式 $\frac{1}{x}+\frac{2}{y}+\frac{3}{z} = \frac{1}{4}$ に代入すると、$\frac{6}{x} = \frac{1}{4}$ より $x=24$ となる。 したがって、$x=y=z=24$ のときに等号が成立し、これは $x>0, y>0, z>0$ を満たす。
よって、$x+2y+3z$ の最小値は $144$ である。
解説
分数式の和の条件が与えられており、多項式の和の最小値を求める典型問題である。求める式と条件式の積を考える手法は、相加平均と相乗平均の大小関係や、コーシー・シュワルツの不等式を利用する際によく用いられる。相加平均と相乗平均の大小関係を用いる場合は、展開した後に逆数関係にある項どうしをペアにして適用するのがポイントである。また、不等式を用いて最小値を求める際は、必ず等号成立条件を確認し、それが問題の前提条件を満たす実数値として存在することを明記する必要がある。
答え
144
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