数学2 コーシー・シュワルツの不等式 問題 9 解説

方針・初手
与えられた条件 $x+2y+3z=7$ のもとで、$x^2+y^2+z^2$ の最小値を求める問題である。 式の形に着目すると、コーシー・シュワルツの不等式の利用が最も簡明である。その他のアプローチとして、条件式から1文字を消去し、残りの2変数について平方完成を繰り返す方法や、空間座標における点と平面の距離と捉える幾何的な解法も有効である。
解法1
コーシー・シュワルツの不等式を利用する。 任意の実数 $a, b, c$ および $x, y, z$ について、次の不等式が成り立つ。
$$(a^2+b^2+c^2)(x^2+y^2+z^2) \geqq (ax+by+cz)^2$$
これに $a=1, b=2, c=3$ を代入すると、
$$(1^2+2^2+3^2)(x^2+y^2+z^2) \geqq (1\cdot x+2\cdot y+3\cdot z)^2$$
$$14(x^2+y^2+z^2) \geqq (x+2y+3z)^2$$
条件より $x+2y+3z=7$ であるから、これを代入する。
$$14(x^2+y^2+z^2) \geqq 7^2$$
$$14(x^2+y^2+z^2) \geqq 49$$
$$x^2+y^2+z^2 \geqq \frac{49}{14} = \frac{7}{2}$$
等号が成立するのは、$x:y:z=1:2:3$ のときである。 これを満たす実数 $k$ を用いて、$x=k, y=2k, z=3k$ とおき、条件式に代入する。
$$k+2(2k)+3(3k) = 7$$
$$14k = 7$$
$$k = \frac{1}{2}$$
したがって、$x=\frac{1}{2}, y=1, z=\frac{3}{2}$ のときに等号が成立し、条件を満たす実数 $x, y, z$ が存在する。 よって、求める最小値は $\frac{7}{2}$ である。
解法2
条件式を用いて変数を減らし、平方完成を行う。 $x+2y+3z=7$ より、
$$x = 7-2y-3z$$
これを求める式に代入し、$y, z$ の2変数関数として扱う。
$$x^2+y^2+z^2 = (7-2y-3z)^2+y^2+z^2$$
$$= (49+4y^2+9z^2-28y+12yz-42z)+y^2+z^2$$
$$= 5y^2+12yz+10z^2-28y-42z+49$$
$y$ について整理し、平方完成を行う。
$$= 5\left(y^2+\frac{12z-28}{5}y\right)+10z^2-42z+49$$
$$= 5\left(y+\frac{6z-14}{5}\right)^2 - 5\left(\frac{6z-14}{5}\right)^2 + 10z^2-42z+49$$
$$= 5\left(y+\frac{6z-14}{5}\right)^2 - \frac{36z^2-168z+196}{5} + \frac{50z^2-210z+245}{5}$$
$$= 5\left(y+\frac{6z-14}{5}\right)^2 + \frac{14z^2-42z+49}{5}$$
次に、残りの項について $z$ で平方完成を行う。
$$= 5\left(y+\frac{6z-14}{5}\right)^2 + \frac{14}{5}\left(z^2-3z\right) + \frac{49}{5}$$
$$= 5\left(y+\frac{6z-14}{5}\right)^2 + \frac{14}{5}\left(z-\frac{3}{2}\right)^2 - \frac{14}{5}\cdot\frac{9}{4} + \frac{49}{5}$$
$$= 5\left(y+\frac{6z-14}{5}\right)^2 + \frac{14}{5}\left(z-\frac{3}{2}\right)^2 - \frac{63}{10} + \frac{98}{10}$$
$$= 5\left(y+\frac{6z-14}{5}\right)^2 + \frac{14}{5}\left(z-\frac{3}{2}\right)^2 + \frac{7}{2}$$
ここで、すべての実数 $y, z$ に対して $5\left(y+\frac{6z-14}{5}\right)^2 \geqq 0$ かつ $\frac{14}{5}\left(z-\frac{3}{2}\right)^2 \geqq 0$ である。 式全体が最小となるのは、それぞれの2乗の項が $0$ になるときである。
$$z - \frac{3}{2} = 0 \quad \text{より} \quad z = \frac{3}{2}$$
かつ
$$y + \frac{6z-14}{5} = 0$$
これを解くと、$y = -\frac{6 \cdot \frac{3}{2}-14}{5} = 1$ となる。 このとき、$x = 7-2\cdot 1-3\cdot \frac{3}{2} = \frac{1}{2}$ となり、実数 $x, y, z$ の組が確かに存在する。 よって、最小値は $\frac{7}{2}$ である。
解法3
空間座標における図形的な意味を考える。 $x, y, z$ を空間の座標とみなすと、方程式 $x+2y+3z=7$ は空間内の平面 $\alpha$ を表す。 また、$x^2+y^2+z^2$ は、原点 $\mathrm{O}(0,0,0)$ と平面 $\alpha$ 上の点 $\mathrm{P}(x,y,z)$ との距離の2乗 $\mathrm{OP}^2$ を意味する。
$\mathrm{OP}^2$ が最小になるのは、線分 $\mathrm{OP}$ の長さが最小となるとき、すなわち点 $\mathrm{O}$ から平面 $\alpha$ に下ろした垂線の足が点 $\mathrm{P}$ と一致するときである。 このときの $\mathrm{OP}$ の長さは、原点 $\mathrm{O}$ と平面 $\alpha$ との距離 $d$ に等しい。 点と平面の距離の公式より、
$$d = \frac{|1\cdot 0+2\cdot 0+3\cdot 0-7|}{\sqrt{1^2+2^2+3^2}}$$
$$= \frac{|-7|}{\sqrt{1+4+9}}$$
$$= \frac{7}{\sqrt{14}}$$
求める最小値は $d^2$ であるから、
$$d^2 = \left(\frac{7}{\sqrt{14}}\right)^2$$
$$= \frac{49}{14}$$
$$= \frac{7}{2}$$
解説
条件付きの多変数関数の最小値を求める典型問題である。 解法1のコーシー・シュワルツの不等式を用いるアプローチは、計算量が少なく非常に強力である。等号成立条件の確認を忘れないようにすることが重要である。 解法2の1文字消去して平方完成を繰り返す方法は、不等式の知識がなくても確実に答えを導ける汎用性の高い手順である。ただし、計算式が煩雑になりやすいため、計算ミスには注意を払う必要がある。 解法3の幾何的解釈は、式の意味を捉えることで見通しよく解くことができる。ベクトルや図形と方程式の知識が定着しているかどうかが問われる解法である。
答え
$\frac{7}{2}$
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





