数学2 恒等式 問題 22 解説

方針・初手
$f(x)$ は2次式であり、$f(0)=1$ であることから、$f(x)=ax^2+bx+1$ ($a \neq 0$)と置くことができる。$f(x^2)$ が $f(x)$ で割り切れるという条件は、多項式としての恒等式に帰着させるか、方程式 $f(x)=0$ の解に注目するかの2つのアプローチが考えられる。ここでは両方の解法を示す。
解法1
$f(x)$ は2次式であり、$f(0)=1$ であるから、$a \neq 0$ として次のように表せる。
$$f(x) = ax^2+bx+1$$
このとき、$f(x^2)$ は4次式となり、次のように計算できる。
$$f(x^2) = ax^4+bx^2+1$$
$f(x^2)$ が2次式 $f(x)$ で割り切れるとき、その商は2次式となる。$f(x^2)$ の最高次の項は $ax^4$、$f(x)$ の最高次の項は $ax^2$ であるため、商の $x^2$ の係数は $1$ である。また、定数項はともに $1$ であるため、商の定数項も $1$ となる。 したがって、商を $x^2+px+1$ と置くことができる。条件より、以下の等式が恒等式となる。
$$ax^4+bx^2+1 = (ax^2+bx+1)(x^2+px+1)$$
右辺を展開して整理する。
$$\begin{aligned} (ax^2+bx+1)(x^2+px+1) &= ax^4+apx^3+ax^2+bx^3+bpx^2+bx+x^2+px+1 \\ &= ax^4+(ap+b)x^3+(a+bp+1)x^2+(b+p)x+1 \end{aligned}$$
これが $ax^4+bx^2+1$ と恒等的に等しいので、各次数の係数を比較して以下の連立方程式を得る。
$$\begin{cases} ap+b = 0 & \cdots \text{①} \\ a+bp+1 = b & \cdots \text{②} \\ b+p = 0 & \cdots \text{③} \end{cases}$$
③より $p = -b$ である。これを①に代入する。
$$-ab+b = 0$$
$$b(1-a) = 0$$
したがって、$b=0$ または $a=1$ となる。それぞれの場合について調べる。
(i) $b=0$ のとき
$p=0$ となる。②に $b=0, p=0$ を代入する。
$$a+1 = 0$$
$$a = -1$$
これは $a \neq 0$ を満たす。このとき、求める2次式は $f(x) = -x^2+1$ である。
(ii) $a=1$ のとき
②に $a=1, p=-b$ を代入する。
$$1-b^2+1 = b$$
$$b^2+b-2 = 0$$
$$(b+2)(b-1) = 0$$
よって、$b=1, -2$ となる。 $b=1$ のとき、$a=1$($a \neq 0$ を満たす)であり、求める2次式は $f(x) = x^2+x+1$ である。 $b=-2$ のとき、$a=1$($a \neq 0$ を満たす)であり、求める2次式は $f(x) = x^2-2x+1$ である。
以上より、条件を満たす2次式 $f(x)$ がすべて求まる。
解法2
$f(x)=0$ の2つの複素数解を $\alpha, \beta$(重解の場合は $\alpha=\beta$)とする。 $f(x)$ は2次式なので、$a \neq 0$ として次のように因数分解できる。
$$f(x) = a(x-\alpha)(x-\beta)$$
$f(0)=1$ であるから、以下の関係が成り立つ。
$$a\alpha\beta = 1$$
これより、$a \neq 0$ かつ $\alpha \neq 0$ かつ $\beta \neq 0$ である。 また、$f(x^2)$ は次のように表される。
$$f(x^2) = a(x^2-\alpha)(x^2-\beta)$$
$f(x^2)$ が $f(x)$ で割り切れるということは、因数定理により $f(\alpha)=0$ ならば $f(\alpha^2)=0$ となる。同様に $f(\beta^2)=0$ も成り立つ。 $f(x)=0$ の解は $\alpha, \beta$ のみであるから、$\alpha^2$ と $\beta^2$ はそれぞれ $\alpha, \beta$ のいずれかに等しい。すなわち、以下の4つの場合が考えられる。
(i) $\alpha^2=\alpha$ かつ $\beta^2=\beta$ のとき
$\alpha, \beta \in \{0, 1\}$ であるが、$\alpha \neq 0, \beta \neq 0$ より $\alpha=1, \beta=1$ となる。 $a\alpha\beta=1$ より $a=1$ である。 よって、$f(x) = 1 \cdot (x-1)(x-1) = x^2-2x+1$ である。
(ii) $\alpha^2=\beta$ かつ $\beta^2=\alpha$ のとき
上の式を下の式に代入して $\alpha^4 = \alpha$ となる。$\alpha \neq 0$ より $\alpha^3 = 1$ である。 $\alpha=1$ のときは $\beta=1$ となり (i) に帰着する。 $\alpha \neq 1$ のとき、$\alpha$ は $x^2+x+1=0$ の解であり、$\beta=\alpha^2$ も共役な虚数解となる。 このとき $\alpha\beta = \alpha^3 = 1$ であるから、$a\alpha\beta=1$ より $a=1$ となる。 よって、$f(x) = 1 \cdot (x-\alpha)(x-\beta) = x^2-(\alpha+\beta)x+\alpha\beta = x^2-(-1)x+1 = x^2+x+1$ である。
(iii) $\alpha^2=\alpha$ かつ $\beta^2=\alpha$ のとき
$\alpha=1$ となる。$\beta^2=1$ より $\beta=1, -1$ である。 $\beta=1$ のときは (i) に帰着する。 $\beta=-1$ のとき、$a\alpha\beta=1$ より $-a = 1$ すなわち $a=-1$ となる。 よって、$f(x) = -1 \cdot (x-1)(x+1) = -x^2+1$ である。
(iv) $\alpha^2=\beta$ かつ $\beta^2=\beta$ のとき
$\alpha$ と $\beta$ の役割を入れ替えると (iii) と同じ状況になり、新たな解は生じない。
以上より、すべての $f(x)$ が求まる。
解説
多項式の割り算に関する問題である。解法1のように係数を文字で置いて恒等式として処理する方法が最も素直で確実である。未知数が $a, b, p$ の3つで、方程式も3つ得られるため、解く見通しが立ちやすい。
解法2は因数定理と解の性質を利用した鮮やかな解法である。複素数範囲で因数分解して考えることで、計算量を減らすことができる。ただし、条件を満たす解の組み合わせ(場合分けの漏れ)に注意して論証を進める必要がある。
答え
$f(x) = -x^2+1$
$f(x) = x^2+x+1$
$f(x) = x^2-2x+1$
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





