数学2 恒等式 問題 21 解説

方針・初手
- (1) では、恒等式に具体的な値($x=0, -1$)を代入して $f(0)$ と $f(-1)$ を求める。$f(1)$ については、単なる数値代入では求まらないため、$f(x^3)$ に $x^4$ の項が存在しないことに着目し、右辺を展開したときの $x^4$ の係数を比較する。
- (2) では、多項式 $f(x)$ の次数を $n$ とおき、両辺の最高次の項の次数を比較して $n$ を決定する。
- (3) では、求まった次数 $n$ から $f(x)$ を文字でおき、(1) で求めた値を用いて係数を決定する。最後に恒等式を満たすかどうかの確認(十分性の確認)を行う。
解法1
(1)
与えられた恒等式を
$$f(x^3) = x^4 f(x+1) - 15x^5 - 10x^4 + 5x^3 \quad \cdots \text{①}$$
とする。
①に $x=0$ を代入すると、
$$f(0) = 0 \cdot f(1) - 0 - 0 + 0 = 0$$
①に $x=-1$ を代入すると、
$$f(-1) = (-1)^4 f(0) - 15(-1)^5 - 10(-1)^4 + 5(-1)^3$$
$$f(-1) = f(0) + 15 - 10 - 5 = 0$$
次に $f(1)$ を求める。
$f(x+1)$ を $x$ についての多項式として展開して整理したとき、その定数項は $x=0$ を代入した値、すなわち $f(1)$ である。
したがって、$g(x)$ を多項式として、
$$f(x+1) = f(1) + x g(x)$$
と表すことができる。これを①の右辺に代入すると、
$$(\text{右辺}) = x^4 \{ f(1) + x g(x) \} - 15x^5 - 10x^4 + 5x^3$$
$$= 5x^3 + \{ f(1) - 10 \} x^4 + x^5 \{ g(x) - 15 \}$$
となる。
一方、左辺 $f(x^3)$ は、各項の次数が必ず $3$ の倍数となるため、$x^4$ の項は存在しない。
①は $x$ についての恒等式であるから、両辺の $x^4$ の係数は等しくなければならない。
よって、
$$f(1) - 10 = 0 \iff f(1) = 10$$
(2)
$f(x)$ の次数を $n$ とし、最高次の項を $ax^n$ ($a \neq 0$) とおく。
(1) で $f(1) = 10$ であることから $f(x) \neq 0$ であるため、$n \ge 0$ である。
①の左辺 $f(x^3)$ の最高次の項は $a(x^3)^n = ax^{3n}$ であり、その次数は $3n$ である。
①の右辺 $x^4 f(x+1) - 15x^5 - 10x^4 + 5x^3$ について考える。
(i) $n \ge 2$ のとき
$x^4 f(x+1)$ の最高次の項は $x^4 \cdot ax^n = ax^{n+4}$ であり、その次数は $n+4$ である。他の項の次数は最大でも $5$ であるため、右辺全体の最高次の項は $ax^{n+4}$ となる。
恒等式において両辺の最高次の項の次数は等しいので、
$$3n = n + 4 \iff 2n = 4 \iff n = 2$$
これは $n \ge 2$ を満たす。
(ii) $n=1$ のとき
$f(x) = ax + b$ ($a \neq 0$) とおける。
左辺は $f(x^3) = ax^3 + b$ となる。
右辺は $x^4 \{ a(x+1)+b \} - 15x^5 - 10x^4 + 5x^3 = (a-15)x^5 + (a+b-10)x^4 + 5x^3$ となる。
これが恒等式となるためには、右辺の $x^5$ および $x^4$ の係数が $0$ となる必要があるため、$a=15$ かつ $a+b=10$ すなわち $a=15, b=-5$ である。
このとき、左辺は $15x^3 - 5$、右辺は $5x^3$ となり一致しないため不適。
(iii) $n=0$ のとき
$f(x)$ は定数となるが、(1) より $f(0)=0$ なので $f(x)=0$ となる。
このとき①の左辺は $0$、右辺は $- 15x^5 - 10x^4 + 5x^3$ となり、恒等式ではないため不適。
以上より、$n=2$ である。
(3)
(2) の結果より、$f(x)$ は $2$ 次多項式であるから、
$$f(x) = ax^2 + bx + c \quad (a \neq 0)$$
とおける。
(1) で求めた値を用いると、 $f(0) = 0$ より、 $c = 0$ $f(-1) = 0$ より、 $a - b = 0 \iff a = b$ $f(1) = 10$ より、 $a + b = 10 \iff 2a = 10 \iff a = 5$
したがって、$a = 5, b = 5, c = 0$ となり、
$$f(x) = 5x^2 + 5x$$
と予想される。
これが①を満たすかを確認する。
$$(\text{左辺}) = 5(x^3)^2 + 5x^3 = 5x^6 + 5x^3$$
$$(\text{右辺}) = x^4 \{ 5(x+1)^2 + 5(x+1) \} - 15x^5 - 10x^4 + 5x^3$$
$$= x^4 (5x^2 + 10x + 5 + 5x + 5) - 15x^5 - 10x^4 + 5x^3$$
$$= x^4 (5x^2 + 15x + 10) - 15x^5 - 10x^4 + 5x^3$$
$$= 5x^6 + 15x^5 + 10x^4 - 15x^5 - 10x^4 + 5x^3$$
$$= 5x^6 + 5x^3$$
よって、左辺と右辺が一致するため、恒等式を満たす。
したがって、求める多項式は $f(x) = 5x^2 + 5x$ である。
解説
- 恒等式の問題における基本手技である「数値代入法」と「係数比較法」の両方を要求する良問である。
- (1) の $f(1)$ の導出が最大の山場である。直接 $x$ に数値を代入しても求まらないため、「$f(x^3)$ には $x$ の次数が $3$ の倍数になる項しか現れない」という性質を利用し、右辺の $x^4$ の係数が $0$ になることを用いるのが鮮やかである。
- 小問の誘導を無視して、先に (2) の次数決定を行い $f(x) = ax^2+bx+c$ とおいてから①に代入し、すべての係数を決定してしまうことも可能である。実戦で (1) の $f(1)$ の導出に詰まった場合は、この方針に切り替えて全体を解き切る柔軟性も持っておきたい。
- (3) では、求めた $f(x)$ が実際に元の恒等式を満たすかどうかの確認(十分性の確認)を忘れないように記述することが重要である。
答え
(1) $f(1) = 10$, $f(-1) = 0$, $f(0) = 0$
(2) $n = 2$
(3) $f(x) = 5x^2 + 5x$
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