数学2 多項定理 問題 1 解説

方針・初手
多項定理を用いて展開式の一般項を書き下し、$x$ の次数が $3$ となるような指数の組み合わせを求める。項の数が $3$ つであるため、二項定理を $2$ 回用いて展開することも有効な方針である。
解法1
多項定理より、$\left(x + \frac{1}{2} + \frac{1}{x}\right)^5$ の展開式の一般項は次のように表される。
$$\frac{5!}{p!q!r!} x^p \left(\frac{1}{2}\right)^q \left(\frac{1}{x}\right)^r$$
ただし、$p, q, r$ は以下の条件を満たす $0$ 以上の整数である。
$$p+q+r=5$$
一般項の式を整理すると、以下のようになる。
$$\frac{5!}{p!q!r!} \left(\frac{1}{2}\right)^q x^{p-r}$$
求めるのは $x^3$ の係数であるため、$x$ の次数について以下の等式が成り立つ。
$$p-r=3$$
この式を変形して $p=r+3$ とし、$p+q+r=5$ に代入して $p$ を消去する。
$$(r+3)+q+r=5$$
整理すると、以下の関係式が得られる。
$$2r+q=2$$
$r, q$ は $0$ 以上の整数であるため、この等式を満たす $(r, q)$ の組を求める。$r \geqq 0$ であるから、$r=0$ または $r=1$ となる。
(i) $r=0$ のとき $q=2$ となり、$p=r+3$ より $p=3$ である。この組 $(p, q, r) = (3, 2, 0)$ は $p+q+r=5$ を満たす。 このときの係数を計算する。
$$\frac{5!}{3!2!0!} \left(\frac{1}{2}\right)^2 = 10 \times \frac{1}{4} = \frac{5}{2}$$
(ii) $r=1$ のとき $q=0$ となり、$p=r+3$ より $p=4$ である。この組 $(p, q, r) = (4, 0, 1)$ は $p+q+r=5$ を満たす。 このときの係数を計算する。
$$\frac{5!}{4!0!1!} \left(\frac{1}{2}\right)^0 = 5 \times 1 = 5$$
これら2つの場合は互いに排反であるため、求める係数はそれぞれの係数の和となる。
$$\frac{5}{2} + 5 = \frac{15}{2}$$
解法2
与えられた式を $\left\{\left(x + \frac{1}{x}\right) + \frac{1}{2}\right\}^5$ とみて、二項定理を用いて展開する。この展開式の一般項は以下のようになる。
$${}_5\mathrm{C}_k \left(x + \frac{1}{x}\right)^k \left(\frac{1}{2}\right)^{5-k} \quad (k=0, 1, 2, 3, 4, 5)$$
ここで、$x + \frac{1}{x}$ を展開したときに現れる $x$ の次数は、最高次が $k$ であり、そこから $2$ ずつ減少していく($k, k-2, k-4, \dots$)。 したがって、$x^3$ の項が現れるためには、$k \geqq 3$ かつ $k-3$ が偶数である必要がある。これを満たす $k$ は $k=3, 5$ である。
(i) $k=3$ のとき 該当する項は以下の通りである。
$${}_5\mathrm{C}_3 \left(x + \frac{1}{x}\right)^3 \left(\frac{1}{2}\right)^2$$
$\left(x + \frac{1}{x}\right)^3 = x^3 + 3x + \frac{3}{x} + \frac{1}{x^3}$ であるから、この中から $x^3$ の項を取り出すと、その係数は以下のようになる。
$$10 \times 1 \times \frac{1}{4} = \frac{5}{2}$$
(ii) $k=5$ のとき 該当する項は以下の通りである。
$${}_5\mathrm{C}_5 \left(x + \frac{1}{x}\right)^5 \left(\frac{1}{2}\right)^0$$
$\left(x + \frac{1}{x}\right)^5$ の展開において $x^3$ となる項は、二項定理より ${}_5\mathrm{C}_1 x^4 \left(\frac{1}{x}\right)^1 = 5x^3$ である。 したがって、このときの係数は以下のようになる。
$$1 \times 5 \times 1 = 5$$
これら2つの場合は互いに排反であるため、求める係数は和を計算して以下のようになる。
$$\frac{5}{2} + 5 = \frac{15}{2}$$
解説
多項定理の一般項の公式を用いる解法が最も標準的で汎用性が高い。条件式 $p+q+r=n$ と次数に関する等式を連立させ、文字が $0$ 以上の整数であるという条件から候補を絞り込む流れは、展開式の係数を求める問題における頻出の処理である。 また、解法2のように共通する文字を含む項をひとまとめにして二項定理を利用することで、計算を簡略化することも可能である。
答え
$\frac{15}{2}$
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