数学2 多項定理 問題 3 解説

方針・初手
3つの項からなる多項式の累乗の展開式から、特定の次数の項の係数を求める問題である。多項定理を用いて一般項を立式し、目的の次数となるような指数の組み合わせ(条件を満たす非負整数の組)をすべて見つけ出し、それぞれの係数を足し合わせるのが基本的な方針である。また、二項定理を2回用いて展開してもよい。
解法1
多項定理より、$(3x^2+x-2)^5$ の展開式の一般項は、非負整数 $p, q, r$ を用いて次のように表される。
$$\frac{5!}{p!q!r!} (3x^2)^p x^q (-2)^r$$
ただし、$p, q, r$ は以下の条件を満たす。
$$p+q+r = 5 \quad \cdots \text{①}$$
一般項を $x$ について整理すると、以下のようになる。
$$\frac{5!}{p!q!r!} 3^p (-2)^r x^{2p+q}$$
$x^6$ の項となるのは、$x$ の指数が $6$ になるときなので、次が成り立つ。
$$2p+q = 6 \quad \cdots \text{②}$$
$q = 6 - 2p$ と変形し、$q \ge 0$ であるから、
$$6 - 2p \ge 0 \iff p \le 3$$
また、①より $r = 5 - (p+q) \ge 0$ であるから、$p+q \le 5$。 ここに $q = 6 - 2p$ を代入すると、
$$p + (6 - 2p) \le 5 \iff -p \le -1 \iff p \ge 1$$
したがって、$1 \le p \le 3$ となるため、考えられる $p$ の値は $1, 2, 3$ である。 それぞれの値について、条件①、②を満たす $q, r$ の値を求める。
(i) $p = 1$ のとき ②より $q = 6 - 2\cdot1 = 4$。 ①より $r = 5 - 1 - 4 = 0$。 このときの係数は、
$$\frac{5!}{1!4!0!} \cdot 3^1 \cdot (-2)^0 = 5 \cdot 3 \cdot 1 = 15$$
(ii) $p = 2$ のとき ②より $q = 6 - 2\cdot2 = 2$。 ①より $r = 5 - 2 - 2 = 1$。 このときの係数は、
$$\frac{5!}{2!2!1!} \cdot 3^2 \cdot (-2)^1 = 30 \cdot 9 \cdot (-2) = -540$$
(iii) $p = 3$ のとき ②より $q = 6 - 2\cdot3 = 0$。 ①より $r = 5 - 3 - 0 = 2$。 このときの係数は、
$$\frac{5!}{3!0!2!} \cdot 3^3 \cdot (-2)^2 = 10 \cdot 27 \cdot 4 = 1080$$
(i), (ii), (iii) より、求める $x^6$ の係数はこれらの和となる。
$$15 + (-540) + 1080 = 555$$
解法2
二項定理を用いて、$(3x^2+x-2)^5 = \{3x^2+(x-2)\}^5$ として展開する。 展開式の一般項は、整数 $k$ ($0 \le k \le 5$) を用いて次のように表される。
$${}_5\mathrm{C}_k (3x^2)^k (x-2)^{5-k} = {}_5\mathrm{C}_k \cdot 3^k \cdot x^{2k} (x-2)^{5-k}$$
この項から $x^6$ の項が現れるためには、$(x-2)^{5-k}$ の展開式から $x^{6-2k}$ の項を取り出せばよい。 $(x-2)^{5-k}$ の展開式における最大の次数は $5-k$ であるため、次が成り立つ必要がある。
$$0 \le 6-2k \le 5-k$$
これを解くと、$1 \le k \le 3$ となるため、$k=1, 2, 3$ の場合を調べればよい。
(i) $k=1$ のとき 一般項は ${}_5\mathrm{C}_1 \cdot 3^1 \cdot x^2 (x-2)^4$ となる。 $x^6$ の項が現れるには、$(x-2)^4$ から $x^4$ の項を取り出せばよい。 その係数は ${}_4\mathrm{C}_0 (-2)^0 = 1$ であるから、この場合の $x^6$ の係数は、
$${}_5\mathrm{C}_1 \cdot 3 \cdot 1 = 15$$
(ii) $k=2$ のとき 一般項は ${}_5\mathrm{C}_2 \cdot 3^2 \cdot x^4 (x-2)^3$ となる。 $x^6$ の項が現れるには、$(x-2)^3$ から $x^2$ の項を取り出せばよい。 その係数は ${}_3\mathrm{C}_1 (-2)^1 = -6$ であるから、この場合の $x^6$ の係数は、
$${}_5\mathrm{C}_2 \cdot 9 \cdot (-6) = 10 \cdot 9 \cdot (-6) = -540$$
(iii) $k=3$ のとき 一般項は ${}_5\mathrm{C}_3 \cdot 3^3 \cdot x^6 (x-2)^2$ となる。 $x^6$ の項が現れるには、$(x-2)^2$ の定数項を取り出せばよい。 その定数項は $(-2)^2 = 4$ であるから、この場合の $x^6$ の係数は、
$${}_5\mathrm{C}_3 \cdot 27 \cdot 4 = 10 \cdot 27 \cdot 4 = 1080$$
(i), (ii), (iii) の結果を足し合わせて、求める係数は、
$$15 - 540 + 1080 = 555$$
解説
多項定理の基本的な使い方を問う典型問題である。一般項を正確に立式し、次数が目的の値になるような非負整数の組 $(p, q, r)$ を漏れなく探すことが重要となる。 $(p, q, r)$ の組を調べる際、$p \ge 0, q \ge 0, r \ge 0$ および $p+q+r=5$ といった条件からあらかじめ変数の範囲を絞り込んでおくと、検討すべき候補を減らすことができ、計算ミスや数え漏れを防ぐことができる。 解法2のように二項定理を2回使う方法も有力であり、状況に応じて計算量が少ない方を選択できるようにしておきたい。
答え
555
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