数学2 常用対数 問題 5 解説

方針・初手
与えられた不等式の各辺が正であるため、底が $10$ の常用対数をとる。対数の性質を用いて不等式を整理し、$n$ についての不等式を導く。その後、与えられた $\log_{10} 2$ の値の範囲を用いて不等式の両端の値を評価し、条件を満たす自然数 $n$ の範囲を絞り込む。
解法1
与えられた不等式 $2^{10} < \left(\frac{5}{4}\right)^n < 2^{20}$ の各辺は正である。底が $10$ ( $> 1$ )の常用対数をとると、大小関係は保存されるため、
$$\log_{10} 2^{10} < \log_{10} \left(\frac{5}{4}\right)^n < \log_{10} 2^{20}$$
$$10 \log_{10} 2 < n \log_{10} \frac{5}{4} < 20 \log_{10} 2$$
ここで、中央の項の対数部分を変形する。
$$\begin{aligned} \log_{10} \frac{5}{4} &= \log_{10} \frac{10}{8} \\ &= \log_{10} 10 - \log_{10} 2^3 \\ &= 1 - 3 \log_{10} 2 \end{aligned}$$
これを不等式に代入すると、
$$10 \log_{10} 2 < n (1 - 3 \log_{10} 2) < 20 \log_{10} 2$$
問題の条件より $0.301 < \log_{10} 2 < 0.3011$ であるから、
$$0.903 < 3 \log_{10} 2 < 0.9033$$
$$-0.9033 < -3 \log_{10} 2 < -0.903$$
$$0.0967 < 1 - 3 \log_{10} 2 < 0.097$$
これより $1 - 3 \log_{10} 2 > 0$ であることがわかる。したがって、先ほどの不等式の各辺を $1 - 3 \log_{10} 2$ で割っても不等号の向きは変わらない。
$$\frac{10 \log_{10} 2}{1 - 3 \log_{10} 2} < n < \frac{20 \log_{10} 2}{1 - 3 \log_{10} 2}$$
ここで、$f(x) = \frac{x}{1-3x}$ とおく。$x = \log_{10} 2$ のとき、不等式は $10 f(x) < n < 20 f(x)$ と表せる。
関数 $f(x)$ を変形すると、
$$\begin{aligned} f(x) &= \frac{-\frac{1}{3}(-3x+1) + \frac{1}{3}}{1-3x} \\ &= -\frac{1}{3} + \frac{1}{3(1-3x)} \end{aligned}$$
$0.301 < x < 0.3011$ の範囲において、$x$ が増加すると $1-3x$ は減少するため、$\frac{1}{3(1-3x)}$ は増加する。ゆえに、$f(x)$ はこの範囲で単調増加である。したがって、
$$f(0.301) < f(\log_{10} 2) < f(0.3011)$$
それぞれの端点の値を計算して評価する。
$$f(0.301) = \frac{0.301}{1 - 3 \times 0.301} = \frac{0.301}{0.097} = \frac{301}{97} = 3.103 \cdots$$
$$f(0.3011) = \frac{0.3011}{1 - 3 \times 0.3011} = \frac{0.3011}{0.0967} = \frac{3011}{967} = 3.113 \cdots$$
この評価により、 $3.10 < f(\log_{10} 2) < 3.12$ が成り立つことがわかる。これを用いて不等式の両端の値を評価する。
左辺について:
$$10 \times 3.103 < 10 f(\log_{10} 2) < 10 \times 3.114$$
$$31.03 < \frac{10 \log_{10} 2}{1 - 3 \log_{10} 2} < 31.14$$
右辺について:
$$20 \times 3.103 < 20 f(\log_{10} 2) < 20 \times 3.114$$
$$62.06 < \frac{20 \log_{10} 2}{1 - 3 \log_{10} 2} < 62.28$$
以上から、与えられた不等式を満たす自然数 $n$ は、ある $31.0 \cdots$ と $62.2 \cdots$ の間にある値であることが確定する。したがって、条件を満たす自然数 $n$ は、
$$n = 32, 33, \cdots, 62$$
である。その個数は、
$$62 - 32 + 1 = 31$$
解説
常用対数を用いた桁数や値の評価に関する標準的な問題である。$\log_{10} 5$ が直接与えられていないため、$\log_{10} \frac{10}{2} = 1 - \log_{10} 2$ という基本変形を用いる必要がある。
計算の後半で $n$ の範囲を絞る際、$\frac{10 \log_{10} 2}{1 - 3 \log_{10} 2}$ の分子と分母をそれぞれ独立した不等式で評価すると(例えば、分子を最小、分母を最大とするなど)、得られる範囲が広くなりすぎて整数値が確定しなくなる恐れがある。分子と分母の双方に変数が含まれている場合は、解答のように一変数関数とみなして単調性を調べることで、端点の代入だけで正確かつタイトな評価が可能となる。
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