数学2 桁数の問題 問題 11 解説

方針・初手
与えられた常用対数の近似値を用いて、$3^{53}$ のおおよその値を評価する問題である。 (1) では $\log_{10} 3^{53}$ を計算し、その値の整数部分から桁数を求める。 (2) では $\log_{10} 3^{53}$ の小数部分から最高位の数を求め、底である $3$ の累乗の $1$ の位の規則性から $1$ の位の数を求める。 (3) では $3^{53}$ と $2^m$ の近さを評価する。単純な対数値の比較だけでなく、$2^m$ と $2^{m+1}$ の中点と $3^{53}$ の大小を比べることで、どちらの整数に近いかを厳密に判定する。
解法1
(1)
$\log_{10} 3^{53}$ の値を評価する。
$$\log_{10} 3^{53} = 53 \log_{10} 3$$
問題で与えられた不等式 $0.4771 < \log_{10} 3 < 0.4772$ の各辺に $53$ を掛ける。
$$53 \times 0.4771 < 53 \log_{10} 3 < 53 \times 0.4772$$
ここで、それぞれの値を計算すると以下のようになる。
$$\begin{aligned} 53 \times 0.4771 &= 25.2863 \\ 53 \times 0.4772 &= 25.2916 \end{aligned}$$
したがって、次の不等式が成り立つ。
$$25.2863 < \log_{10} 3^{53} < 25.2916$$
これより、$\log_{10} 3^{53}$ の整数部分は $25$ であるから、
$$25 < \log_{10} 3^{53} < 26$$
$$10^{25} < 3^{53} < 10^{26}$$
ゆえに、$3^{53}$ は $26$ 桁の数である。
(2)
まず、最高位の数を求める。 (1) の結果より、$\log_{10} 3^{53}$ は次のように表せる。
$$\log_{10} 3^{53} = 25 + \alpha \quad (0.2863 < \alpha < 0.2916)$$
ここで、$\log_{10} 1 = 0$ であり、与えられた条件から $\log_{10} 2 > 0.3010$ であるため、
$$\log_{10} 1 < \alpha < \log_{10} 2$$
が成り立つ。これを真数の大小関係に直すと、
$$1 < 10^{\alpha} < 2$$
となる。したがって、$3^{53}$ は次のように評価できる。
$$3^{53} = 10^{25 + \alpha} = 10^{\alpha} \times 10^{25}$$
$$1 \times 10^{25} < 3^{53} < 2 \times 10^{25}$$
ゆえに、$3^{53}$ の最高位の数は $1$ である。
次に、$1$ の位の数を求める。 $3^n$ ($n$ は自然数)の $1$ の位の数は、$n = 1, 2, 3, 4, 5, \dots$ に対してそれぞれ
$$3, 9, 7, 1, 3, \dots$$
となり、$3, 9, 7, 1$ の $4$ つの数がこの順に周期的に現れる。 ここで、指数の $53$ を $4$ で割ると、
$$53 = 4 \times 13 + 1$$
となるため、$3^{53}$ の $1$ の位の数は $3^1$ の $1$ の位の数と一致する。 ゆえに、$1$ の位の数は $3$ である。
(3)
$|3^{53} - 2^m|$ が最小となるのは、$3^{53}$ と $2^m$ の差が最も小さくなるとき、すなわち数直線上において $2^m$ が $3^{53}$ に最も近い値をとるときである。 (1) より $\log_{10} 3^{53} \approx 25.29$ であるから、$\log_{10} 2^m = m \log_{10} 2 \approx m \times 0.3010$ と比較して、見当をつける。 $25.29 \div 0.3010 \approx 84.0$ であるから、$m = 84$ の前後で調べる。
$2^{83}$ と $2^{84}$ の中点を $M_1$ とすると、
$$M_1 = \frac{2^{83} + 2^{84}}{2} = \frac{1 + 2}{2} \times 2^{83} = 1.5 \times 2^{83} = 3 \times 2^{82}$$
この $M_1$ の常用対数をとる。
$$\log_{10} M_1 = \log_{10} (3 \times 2^{82}) = \log_{10} 3 + 82 \log_{10} 2$$
与えられた条件より、$\log_{10} M_1$ を上から評価すると、
$$\log_{10} M_1 < 0.4772 + 82 \times 0.3011 = 0.4772 + 24.6902 = 25.1674$$
一方で、(1) より $\log_{10} 3^{53} > 25.2863$ であるから、
$$\log_{10} M_1 < \log_{10} 3^{53}$$
$$M_1 < 3^{53}$$
となる。$3^{53}$ は区間 $[2^{83}, 2^{84}]$ の中点より大きい(右側にある)ため、$2^{83}$ よりも $2^{84}$ の方に近い。 すなわち、
$$|3^{53} - 2^{84}| < |3^{53} - 2^{83}|$$
が成り立つ。
次に、$2^{84}$ と $2^{85}$ の中点を $M_2$ とすると、
$$M_2 = \frac{2^{84} + 2^{85}}{2} = 1.5 \times 2^{84} = 3 \times 2^{83}$$
この $M_2$ の常用対数をとる。
$$\log_{10} M_2 = \log_{10} (3 \times 2^{83}) = \log_{10} 3 + 83 \log_{10} 2$$
与えられた条件より、$\log_{10} M_2$ を下から評価すると、
$$\log_{10} M_2 > 0.4771 + 83 \times 0.3010 = 0.4771 + 24.9830 = 25.4601$$
一方で、(1) より $\log_{10} 3^{53} < 25.2916$ であるから、
$$\log_{10} 3^{53} < \log_{10} M_2$$
$$3^{53} < M_2$$
となる。$3^{53}$ は区間 $[2^{84}, 2^{85}]$ の中点より小さい(左側にある)ため、$2^{85}$ よりも $2^{84}$ の方に近い。 すなわち、
$$|3^{53} - 2^{84}| < |3^{53} - 2^{85}|$$
が成り立つ。
以上より、$2^{83} < 3^{53} < 2^{85}$ の範囲において $3^{53}$ に最も近い $2^m$ は $m=84$ のときである。 $m \le 83$ や $m \ge 85$ のときは差がさらに開くため、$|3^{53} - 2^m|$ が最小となる整数 $m$ は $84$ である。
解説
常用対数を利用した桁数、最高位の数の決定は典型問題である。対数の小数の値の範囲を絞り込み、対数表(ここでは与えられた近似値の範囲)と照らし合わせることで値を見積もる。 (3) は一見すると対数同士の差分だけで決着がつくように見えるが、あくまで「真数の差 $|3^{53} - 2^m|$」の最小化を求められている点に注意が必要である。「$\log_{10} 3^{53}$ と $\log_{10} 2^m$ が近い」からといって、直接的に真数の差の最小性が証明されるわけではない。隣接する候補の中点(相加平均)の対数をとり、元の数との大小を比較するという論法をとることで、厳密に真数同士の距離を比較できる。
答え
(1) 26桁
(2) 最高位の数:1, 1の位の数:3
(3) $m = 84$
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