数学2 指数関数 問題 17 解説

方針・初手
連等式で与えられた条件は、その値を $=k$ とおくのが定石である。これにより、$x, y, z, w$ をそれぞれ $k$ の式として表すことができる。代入後は底の異なる累乗の大小比較に帰着するため、累乗して底を整数に揃えるか、対数をとって関数として比較する。
ただし、与えられた条件からは $k$ が正であるとは限らないことに注意が必要である。指数 $k$ の符号(正、ゼロ、負)によって、最終的な大小関係が変化するため、場合分けを忘れないことが本問の最大のポイントである。
解法1
与えられた連等式の値を $k$ とおく。
$$\log_2 x = \log_3 y = \log_4 z = \log_5 w = k$$
真数条件より $x, y, z, w$ は正の実数であり、$k$ は任意の実数値を取り得る。 対数の定義より、各文字は次のように表される。
$$x = 2^k, \quad y = 3^k, \quad z = 4^k, \quad w = 5^k$$
これを用いて、比較すべき4つの式を書き換える。
$$\begin{aligned} x^{\frac{1}{2}} &= (2^k)^{\frac{1}{2}} = (2^{\frac{1}{2}})^k \\ y^{\frac{1}{3}} &= (3^k)^{\frac{1}{3}} = (3^{\frac{1}{3}})^k \\ z^{\frac{1}{4}} &= (4^k)^{\frac{1}{4}} = (4^{\frac{1}{4}})^k = (2^{\frac{2}{4}})^k = (2^{\frac{1}{2}})^k \\ w^{\frac{1}{5}} &= (5^k)^{\frac{1}{5}} = (5^{\frac{1}{5}})^k \end{aligned}$$
この時点で、$x^{\frac{1}{2}} = z^{\frac{1}{4}}$ であることがわかる。 次に、累乗の底である $2^{\frac{1}{2}}, 3^{\frac{1}{3}}, 5^{\frac{1}{5}}$ の大小を比較する。 指数の分母 $2, 3, 5$ の最小公倍数である $30$ で各数を累乗し、整数にして比較する。
$$\begin{aligned} (2^{\frac{1}{2}})^{30} &= 2^{15} = 32768 \\ (3^{\frac{1}{3}})^{30} &= 3^{10} = 59049 \\ (5^{\frac{1}{5}})^{30} &= 5^6 = 15625 \end{aligned}$$
$15625 < 32768 < 59049$ であるから、以下の関係が成り立つ。
$$(5^{\frac{1}{5}})^{30} < (2^{\frac{1}{2}})^{30} < (3^{\frac{1}{3}})^{30}$$
各底は正であるため、もとの底の大小関係は以下のようになる。
$$5^{\frac{1}{5}} < 2^{\frac{1}{2}} < 3^{\frac{1}{3}}$$
全体を $k$ 乗した値の大小は、$k$ の符号によって変わるため場合分けを行う。 ここで $x = 2^k$ より、$k > 0 \iff x > 1$、$k = 0 \iff x = 1$、$k < 0 \iff 0 < x < 1$ である。
(i) $k > 0$(すなわち $x > 1$)のとき
底が $1$ より大きい指数関数は単調増加であるから、底の大小関係がそのまま保たれる。
$$(5^{\frac{1}{5}})^k < (2^{\frac{1}{2}})^k < (3^{\frac{1}{3}})^k$$
よって、次が成り立つ。
$$w^{\frac{1}{5}} < x^{\frac{1}{2}} = z^{\frac{1}{4}} < y^{\frac{1}{3}}$$
(ii) $k = 0$(すなわち $x = 1$)のとき
任意の正の数の $0$ 乗は $1$ となるため、すべて等しくなる。
$$w^{\frac{1}{5}} = x^{\frac{1}{2}} = z^{\frac{1}{4}} = y^{\frac{1}{3}}$$
(iii) $k < 0$(すなわち $0 < x < 1$)のとき
負の数で累乗すると、底の大小関係と逆転する。
$$(5^{\frac{1}{5}})^k > (2^{\frac{1}{2}})^k > (3^{\frac{1}{3}})^k$$
よって、次が成り立つ。
$$w^{\frac{1}{5}} > x^{\frac{1}{2}} = z^{\frac{1}{4}} > y^{\frac{1}{3}}$$
解法2
連等式の値を $k$ とおき、$x, y, z, w$ を $k$ で表すところまでは解法1と同様である。
$$x = 2^k, \quad y = 3^k, \quad z = 4^k, \quad w = 5^k$$
比較する数について、自然対数をとって比べる(底が $e>1$ であるため、対数の大小と真数の大小は一致する)。 $X = x^{\frac{1}{2}}, Y = y^{\frac{1}{3}}, Z = z^{\frac{1}{4}}, W = w^{\frac{1}{5}}$ とおく。
$$\begin{aligned} \log X &= \frac{1}{2} \log (2^k) = k \cdot \frac{\log 2}{2} \\ \log Y &= \frac{1}{3} \log (3^k) = k \cdot \frac{\log 3}{3} \\ \log Z &= \frac{1}{4} \log (4^k) = k \cdot \frac{\log 4}{4} = k \cdot \frac{2 \log 2}{4} = k \cdot \frac{\log 2}{2} \\ \log W &= \frac{1}{5} \log (5^k) = k \cdot \frac{\log 5}{5} \end{aligned}$$
これにより $\log X = \log Z$ であり、$X = Z$ がわかる。 次に、$f(t) = \frac{\log t}{t} \ (t>0)$ なる関数を考え、微分して増減を調べる。
$$f'(t) = \frac{\frac{1}{t} \cdot t - \log t \cdot 1}{t^2} = \frac{1 - \log t}{t^2}$$
$f'(t) = 0$ となるのは $t = e$ のときであり、増減表を書くと $f(t)$ は $0 < t \le e$ で単調増加、$t \ge e$ で単調減少する。 自然対数の底 $e$ は $2 < e < 3$ である。 $t \ge 3$ の範囲では単調減少であるから、$f(3) > f(5)$ である。
次に $f(2)$ と $f(3)$ を比較する。
$$\begin{aligned} f(2) &= \frac{\log 2}{2} = \frac{3 \log 2}{6} = \frac{\log 8}{6} \\ f(3) &= \frac{\log 3}{3} = \frac{2 \log 3}{6} = \frac{\log 9}{6} \end{aligned}$$
$\log 8 < \log 9$ であるから、$f(2) < f(3)$ である。
さらに $f(2)$ と $f(5)$ を比較する。
$$\begin{aligned} f(2) &= \frac{\log 2}{2} = \frac{5 \log 2}{10} = \frac{\log 32}{10} \\ f(5) &= \frac{\log 5}{5} = \frac{2 \log 5}{10} = \frac{\log 25}{10} \end{aligned}$$
$\log 32 > \log 25$ であるから、$f(2) > f(5)$ である。 以上より、次の関係が成り立つ。
$$f(5) < f(2) = f(4) < f(3)$$
すなわち、以下の大小関係を得る。
$$\frac{\log 5}{5} < \frac{\log 2}{2} = \frac{\log 4}{4} < \frac{\log 3}{3}$$
この各辺を $k$ 倍して $\log X, \log Y, \log Z, \log W$ の大小を比較するが、その大小関係は $k$ の符号によって変化する。 以下、解法1の (i), (ii), (iii) と全く同じ場合分けを行うことで最終的な結論を得る。
解説
条件式 $=k$ とおくことは対数方程式・不等式における基本手技である。本問ではそこから大小比較へと持ち込むが、ここには2つの重要なポイントが含まれている。
第一に、底の異なる累乗の比較方法である。解法1のように適当な公倍数乗をして整数に直して比較するのが最も初等的かつ確実である。また、解法2で示した関数 $f(x) = \frac{\log x}{x}$ (あるいは $x^{\frac{1}{x}}$)の増減を調べるアプローチも、$e^{\pi}$ と $\pi^e$ の大小比較など、難関大で頻出のテーマであるため習得しておきたい。
第二に、定数 $k$ の符号による場合分けである。問題文には $x, y, z, w$ が「正の数である」という真数条件以上の制約がないため、対数の値が負になる可能性を常に考慮しなければならない。底の大小比較だけで満足し、場合分けを忘れると大幅な減点につながるため注意が必要である。
答え
$x > 1$ のとき、$w^{\frac{1}{5}} < x^{\frac{1}{2}} = z^{\frac{1}{4}} < y^{\frac{1}{3}}$
$x = 1$ のとき、$w^{\frac{1}{5}} = x^{\frac{1}{2}} = z^{\frac{1}{4}} = y^{\frac{1}{3}}$
$0 < x < 1$ のとき、$w^{\frac{1}{5}} > x^{\frac{1}{2}} = z^{\frac{1}{4}} > y^{\frac{1}{3}}$
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