数学2 対数関数 問題 10 解説

方針・初手
対数不等式を解く際の鉄則である「真数の条件」を最初に確認する。その後、対数の性質を用いて式を整理し、真数同士の比較を行う。底が $1$ より小さい場合は、真数の大小関係と対数の大小関係が逆転することに注意して不等式を解く。
解法1
対数の真数は正であるから、
$$x+1 > 0 \quad \text{かつ} \quad x-2 > 0 \quad \text{かつ} \quad x+4 > 0$$
これらを同時に満たす $x$ の範囲を求めて、
$$x > 2 \quad \cdots \text{①}$$
与えられた不等式について、右辺の定数項 $-1$ を底が $\frac{1}{8}$ の対数で表すと、
$$-1 = \log_{\frac{1}{8}} \left(\frac{1}{8}\right)^{-1} = \log_{\frac{1}{8}} 8$$
となる。これを用いて元の不等式を変形すると、
$$\log_{\frac{1}{8}}(x+1) + \log_{\frac{1}{8}}(x-2) \geqq \log_{\frac{1}{8}}(x+4) + \log_{\frac{1}{8}} 8$$
対数の性質 $\log_a M + \log_a N = \log_a MN$ を用いて両辺をまとめると、
$$\log_{\frac{1}{8}} \{(x+1)(x-2)\} \geqq \log_{\frac{1}{8}} \{8(x+4)\}$$
$$\log_{\frac{1}{8}} (x^2-x-2) \geqq \log_{\frac{1}{8}} (8x+32)$$
ここで、底 $\frac{1}{8}$ は $1$ より小さい($0 < \frac{1}{8} < 1$)ため、真数を比較する際に不等号の向きが逆転する。
$$x^2-x-2 \leqq 8x+32$$
これを整理して、$x$ についての2次不等式を解く。
$$x^2-9x-34 \leqq 0$$
方程式 $x^2-9x-34 = 0$ の解は、解の公式より、
$$x = \frac{-(-9) \pm \sqrt{(-9)^2 - 4 \cdot 1 \cdot (-34)}}{2} = \frac{9 \pm \sqrt{81+136}}{2} = \frac{9 \pm \sqrt{217}}{2}$$
したがって、2次不等式の解は、
$$\frac{9-\sqrt{217}}{2} \leqq x \leqq \frac{9+\sqrt{217}}{2} \quad \cdots \text{②}$$
最後に、真数条件①と不等式の解②の共通範囲を求める。 $14^2 = 196$、$15^2 = 225$ であるから、$14 < \sqrt{217} < 15$ が成り立つ。 これより、$\frac{9-\sqrt{217}}{2}$ は負の値をとるため、$2$ より小さい。 一方、$\frac{9+\sqrt{217}}{2}$ は正の値であり、$2$ より大きいことは明らかである。
よって、①と②の共通範囲は、
$$2 < x \leqq \frac{9+\sqrt{217}}{2}$$
解法2
真数条件は解法1と同様に $x > 2$ である。(①)
底の変換公式を用いて、不等式の底を $2$ にそろえる。
$$\log_{\frac{1}{8}} (x+1) = \frac{\log_2 (x+1)}{\log_2 \frac{1}{8}} = \frac{\log_2 (x+1)}{\log_2 2^{-3}} = -\frac{1}{3} \log_2 (x+1)$$
同様に他の項も変換すると、与式は次のように変形できる。
$$-\frac{1}{3} \log_2(x+1) - \frac{1}{3} \log_2(x-2) \geqq -\frac{1}{3} \log_2(x+4) - 1$$
両辺に $-3$ を掛ける。負の数を掛けるため、不等号の向きが逆転する。
$$\log_2(x+1) + \log_2(x-2) \leqq \log_2(x+4) + 3$$
右辺の定数項 $3$ を底が $2$ の対数に直す($3 = \log_2 2^3 = \log_2 8$)。対数の和を真数の積にまとめる。
$$\log_2 \{(x+1)(x-2)\} \leqq \log_2(x+4) + \log_2 8$$
$$\log_2 (x^2-x-2) \leqq \log_2 \{8(x+4)\}$$
底 $2$ は $1$ より大きいため、真数の大小関係はそのまま保たれる。
$$x^2-x-2 \leqq 8x+32$$
これ以降の計算は解法1と全く同じであり、真数条件との共通範囲を求めて解を得る。
解説
対数不等式を解く上で最も重要なのは「真数条件を忘れないこと」である。必ず最初に真数条件を確認し、最後にその条件との共通範囲をとる習慣をつける必要がある。 また、本問では底が $1$ より小さい $\frac{1}{8}$ であるため、対数を外す際に不等号の向きが反転する。この手のミスを防ぐため、解法2のように底を $1$ より大きい数(例えば $2$)に変換してから解き進めるのも有効なテクニックである。 最後の値の評価において、$\sqrt{217}$ のおよその値を整数の平方を用いて見積もる処理も頻出である。
答え
$2 < x \leqq \frac{9+\sqrt{217}}{2}$
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





