数学2 対数関数 問題 75 解説

方針・初手
与えられた不等式 $x^2 - 5x + 3 - 2\log_3 x < 0$ について、これを満たす「自然数 $x$」の個数を求める問題です。
方程式や不等式を代数的に解くことが難しい形(多項式と対数関数が混在する形)をしています。しかし、対象が自然数に限定されているため、$x=1, 2, 3, \cdots$ と順番に代入して不等式が成立するかどうかを調べていくのが最も確実なアプローチです。
ある程度 $x$ が大きくなると、多項式 $x^2$ の増加スピードが対数関数 $\log_3 x$ の増加スピードを圧倒するため、不等式は満たされなくなります。その境目を見つけ、それ以上の自然数で不等式が成り立たないことを論証します。
解法1
$f(x) = x^2 - 5x + 3 - 2\log_3 x$ とおく。 自然数 $x$ を順に代入して $f(x)$ の符号を調べる。
$x=1$ のとき
$$f(1) = 1 - 5 + 3 - 0 = -1 < 0$$
よって、不等式を満たす。
$x=2$ のとき
$$f(2) = 4 - 10 + 3 - 2\log_3 2 = -3 - \log_3 4 < 0$$
よって、不等式を満たす。
$x=3$ のとき
$$f(3) = 9 - 15 + 3 - 2\log_3 3 = -3 - 2 = -5 < 0$$
よって、不等式を満たす。
$x=4$ のとき
$$f(4) = 16 - 20 + 3 - 2\log_3 4 = -1 - \log_3 16 < 0$$
よって、不等式を満たす。
$x=5$ のとき
$$f(5) = 25 - 25 + 3 - 2\log_3 5 = 3 - \log_3 25$$
ここで、$3 = \log_3 27$ であり、$\log_3 27 > \log_3 25$ であるから、
$$f(5) = \log_3 27 - \log_3 25 > 0$$
よって、不等式を満たさない。
次に、$x \geqq 5$ の自然数について、常に $f(x) > 0$ であることを示す。 $g(x) = x^2 - 5x + 3$、$h(x) = 2\log_3 x$ とおく。 $x$ が自然数のとき、$x$ が $1$ 増加したときの $g(x)$ の増加量は、
$$g(x+1) - g(x) = \{(x+1)^2 - 5(x+1) + 3\} - (x^2 - 5x + 3) = 2x - 4$$
$x \geqq 5$ であるから $2x - 4 \geqq 6$ となり、$g(x)$ は $6$ 以上増加する。
一方、$h(x)$ の増加量は、
$$h(x+1) - h(x) = 2\log_3(x+1) - 2\log_3 x = 2\log_3 \left(1 + \frac{1}{x}\right)$$
$x \geqq 5$ のとき、$1 + \frac{1}{x} \leqq \frac{6}{5}$ であり、底 $3$ は $1$ より大きいので、
$$h(x+1) - h(x) \leqq 2\log_3 \frac{6}{5} < 2\log_3 3 = 2$$
となり、$h(x)$ の増加量は $2$ より小さい。
したがって、$x \geqq 5$ の自然数に対して $g(x+1) - g(x) > h(x+1) - h(x)$ が成り立つ。 $x=5$ のとき $g(5) > h(5)$ (すなわち $f(5) > 0$)であったから、帰納的に $x \geqq 5$ のすべての自然数において $g(x) > h(x)$、すなわち $f(x) > 0$ となる。
以上より、与えられた不等式を満たす自然数 $x$ は $1, 2, 3, 4$ のみである。
解法2
数学IIIの微分を用いて、$f(x)$ の増減を調べる方法を示す。
$f(x) = x^2 - 5x + 3 - 2\log_3 x \quad (x > 0)$ について、導関数は
$$f'(x) = 2x - 5 - \frac{2}{x\log 3}$$
となる。
$x \geqq 3$ の範囲において、各項を評価する。 まず、$2x - 5 \geqq 1$ である。 次に、自然対数の底 $e$ について $e < 3$ であるから、$1 = \log e < \log 3$ が成り立つ。 これより、
$$\frac{2}{x\log 3} \leqq \frac{2}{3\log 3} < \frac{2}{3 \cdot 1} = \frac{2}{3}$$
となる。
したがって、$x \geqq 3$ において、
$$f'(x) = 2x - 5 - \frac{2}{x\log 3} > 1 - \frac{2}{3} = \frac{1}{3} > 0$$
が成り立つ。 導関数が常に正であるため、$f(x)$ は $x \geqq 3$ において単調に増加する関数であることがわかる。
解法1の計算により、$f(4) = -1 - \log_3 16 < 0$、$f(5) = 3 - \log_3 25 > 0$ であることがわかっている。 $f(x)$ は $x \geqq 3$ で単調増加であるから、$x \geqq 5$ のすべての実数において $f(x) \geqq f(5) > 0$ が成り立つ。
よって、不等式 $f(x) < 0$ を満たす自然数 $x$ は、$x \leqq 4$ の範囲にしか存在しない。 解法1と同様に $x=1, 2, 3, 4$ のすべてで $f(x) < 0$ を満たすことが確認できるため、条件を満たす自然数は $1, 2, 3, 4$ である。
解説
異なる種類の関数(多項式と対数関数)を比較する問題です。このような方程式・不等式は厳密な解を代数的に求めることができないため、グラフの上下関係を考えたり、整数・自然数という条件を活かしてしらみつぶしに調べたりするのが定石です。
多項式関数の増加スピードは対数関数の増加スピードよりもはるかに大きいため、ある地点を越えれば大小関係が逆転しないことは直感的に予測できます。答案としては、前半で具体的に代入して条件を満たすものを見つけ、後半で「それ以降は絶対に条件を満たさない」という事実を、階差(解法1)または微分(解法2)を用いて論証するという構成になります。文系学部で出題された場合は、解法1のような数学II・Bまでの範囲に収まる評価が想定されていると考えられます。
答え
$4$
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