数学2 距離 問題 3 解説

方針・初手
(1) は「中線定理(パップスの定理)」そのものの証明である。長さの2乗を扱うため、ベクトルを用いて内積計算に帰着させるか、座標軸を適切に設定して成分計算に持ち込むと見通しよく証明できる。
(2) は(1)の中線定理を繰り返し適用して導く。四角形を対角線で分割してできる複数の三角形に着目し、それぞれの中線に対して(1)の等式を当てはめていく。最終的な目標の式に $MN^2$ が現れることから、線分 $MN$ を中線として持つ三角形を見つけ出すことが鍵となる。
解法1
(1)
点 $M$ を始点とするベクトルで考える。 $M$ は辺 $BC$ の中点であるから、$\overrightarrow{MC} = -\overrightarrow{MB}$ が成り立つ。 このとき、左辺をベクトルで表して計算すると、
$$\begin{aligned} AB^2 + AC^2 &= |\overrightarrow{MB} - \overrightarrow{MA}|^2 + |\overrightarrow{MC} - \overrightarrow{MA}|^2 \\ &= |\overrightarrow{MB} - \overrightarrow{MA}|^2 + |-\overrightarrow{MB} - \overrightarrow{MA}|^2 \\ &= \left( |\overrightarrow{MB}|^2 - 2\overrightarrow{MA} \cdot \overrightarrow{MB} + |\overrightarrow{MA}|^2 \right) + \left( |-\overrightarrow{MB}|^2 + 2\overrightarrow{MA} \cdot \overrightarrow{MB} + |\overrightarrow{MA}|^2 \right) \\ &= 2|\overrightarrow{MA}|^2 + 2|\overrightarrow{MB}|^2 \\ &= 2(AM^2 + BM^2) \end{aligned}$$
したがって、$AB^2 + AC^2 = 2(AM^2 + BM^2)$ が成り立つ。
(2)
$\triangle ABD$ において、$N$ は辺 $BD$ の中点であるから、中線は $AN$ である。 (1)の結果(中線定理)を適用すると、
$$AB^2 + AD^2 = 2(AN^2 + BN^2)$$
が成り立つ。同様に、$\triangle CBD$ において中線は $CN$ であるから、
$$CB^2 + CD^2 = 2(CN^2 + BN^2)$$
が成り立つ。これら2つの等式の辺々を加えると、
$$\begin{aligned} AB^2 + AD^2 + CB^2 + CD^2 &= 2(AN^2 + BN^2) + 2(CN^2 + BN^2) \\ &= 2(AN^2 + CN^2) + 4BN^2 \end{aligned}$$
ここで、$N$ は $BD$ の中点であるから $BD = 2BN$ であり、両辺を2乗して $4BN^2 = BD^2$ となる。 これを上の式に代入して整理すると、
$$AB^2 + BC^2 + CD^2 + DA^2 = 2(AN^2 + CN^2) + BD^2$$
次に、$\triangle CAN$ に着目する。$M$ は辺 $AC$ の中点であるから、中線は $NM$ (または $MN$)である。 再度(1)の結果を適用すると、
$$AN^2 + CN^2 = 2(AM^2 + MN^2)$$
が成り立つ。これを前の式に代入すると、
$$\begin{aligned} AB^2 + BC^2 + CD^2 + DA^2 &= 2\{2(AM^2 + MN^2)\} + BD^2 \\ &= 4AM^2 + 4MN^2 + BD^2 \end{aligned}$$
さらに、$M$ は $AC$ の中点であるから $AC = 2AM$ であり、両辺を2乗して $4AM^2 = AC^2$ となる。 これを代入すると、
$$AB^2 + BC^2 + CD^2 + DA^2 = AC^2 + 4MN^2 + BD^2$$
したがって、$AB^2 + BC^2 + CD^2 + DA^2 = AC^2 + BD^2 + 4MN^2$ が成り立つ。
解法2
(1)の別解として、座標平面を設定する方法を示す。
(1)
点 $M$ を原点 $(0, 0)$ とし、直線 $BC$ を $x$ 軸上にとる。 $M$ は辺 $BC$ の中点であるから、$B(-c, 0)$, $C(c, 0)$ ($c>0$)とおくことができる。 また、頂点 $A$ の座標を $(a, b)$ とする。
このとき、各線分の長さの2乗は次のように計算できる。
$$\begin{aligned} AB^2 &= \{a - (-c)\}^2 + (b - 0)^2 = (a+c)^2 + b^2 \\ AC^2 &= (a - c)^2 + (b - 0)^2 = (a-c)^2 + b^2 \end{aligned}$$
これらを足し合わせると、
$$\begin{aligned} AB^2 + AC^2 &= \{(a+c)^2 + b^2\} + \{(a-c)^2 + b^2\} \\ &= 2(a^2 + b^2 + c^2) \end{aligned}$$
一方で、右辺の括弧内の線分の長さの2乗は、
$$\begin{aligned} AM^2 &= a^2 + b^2 \\ BM^2 &= (-c)^2 = c^2 \end{aligned}$$
であるから、
$$2(AM^2 + BM^2) = 2(a^2 + b^2 + c^2)$$
となる。 よって、$AB^2 + AC^2 = 2(AM^2 + BM^2)$ が成り立つ。
(2)の証明は、解法1と同様に(1)の中線定理を繰り返し図形に適用することで示されるため省略する。
解説
(1)は中線定理(パップスの定理)そのものの証明である。幾何的な性質を代数的に証明する際、ベクトルの内積計算に帰着させるか、座標を設定して計算に持ち込むのが常套手段であり、どちらでも簡潔に証明できる。
(2)は(1)で証明した定理を「道具」として活用する問題である。証明すべき等式に $MN^2$ が含まれていることから、線分 $MN$ を中線として持つ三角形(ここでは $\triangle CAN$)を見つけ出すことが最大のポイントとなる。この結果はオイラーの四辺形定理と呼ばれる有名な性質であり、平行四辺形の場合は $M$ と $N$ が一致する($MN=0$)ため、「平行四辺形の4辺の平方和は、2つの対角線の平方和に等しい」という性質になることも知っておくとよい。
答え
(1) 本文の通り、示された。
(2) 本文の通り、示された。
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