トップ 基礎問題 数学2 図形と式 直線 問題 10

数学2 直線 問題 10 解説

数学2 直線 問題 10 解説

方針・初手

直線 $m$ の方程式と傾きを求め、直線 $m$ に関する対称移動をどのように数学的に処理するかがポイントである。 直線の対称移動の処理には、おもに以下の2つのアプローチが考えられる。

  1. 直線の方向ベクトルを設定し、ベクトルの正射影を用いて対称な方向ベクトルを求める方法
  2. 直線が $x$ 軸の正の向きとなす角(偏角)を設定し、三角関数の加法定理を用いて傾きを計算する方法

本解説では、場合分けの必要がなく汎用性の高いベクトルを用いた解法を解法1とし、角度を用いた解法を解法2として両方を示す。 (2) については、(1) で求めた傾きと点Pの座標を用いて直線 $\ell$ の方程式を立て、$y$ 切片を計算すればよい。

解法1

(1) $f(x) = ax^2$ とおくと、$f'(x) = 2ax$ である。 点 $\text{P}(t, at^2)$ における放物線 $C$ の接線 $m$ の傾きは $2at$ であるから、$m$ の方向ベクトルの一つとして $\vec{u} = (1, 2at)$ がとれる。 直線 $v$ は $y$ 軸に平行であり、上向きを正とすると、その方向ベクトルは $\vec{v} = (0, 1)$ と表せる。

直線 $\ell$ は、直線 $m$ に関して直線 $v$ と対称な直線である。 $\vec{v}$ を $m$(すなわち $\vec{u}$ の方向)に関して対称移動したベクトルを $\vec{w}$ とすると、$\vec{w}$ は $\ell$ の方向ベクトルとなる。 $\vec{v}$ を $\vec{u}$ 上に正射影したベクトルを $\vec{h}$ とすると、

$$\vec{h} = \frac{\vec{v} \cdot \vec{u}}{|\vec{u}|^2} \vec{u} = \frac{2at}{1 + (2at)^2} (1, 2at) = \frac{2at}{1 + 4a^2t^2} (1, 2at)$$

となる。$\vec{w}$ は $\vec{h}$ を用いて、

$$\vec{w} = \vec{v} + 2(\vec{h} - \vec{v}) = 2\vec{h} - \vec{v}$$

と表せる。成分を計算すると、

$$\vec{w} = \frac{4at}{1 + 4a^2t^2} (1, 2at) - (0, 1) = \left( \frac{4at}{1 + 4a^2t^2}, \frac{8a^2t^2}{1 + 4a^2t^2} - 1 \right) = \left( \frac{4at}{1 + 4a^2t^2}, \frac{4a^2t^2 - 1}{1 + 4a^2t^2} \right)$$

直線 $\ell$ の傾きは、$\vec{w}$ の $y$ 成分を $x$ 成分で割った値である。($a>0, t \neq 0$ より $x$ 成分は $0$ ではない) したがって、求める傾きは

$$\frac{\frac{4a^2t^2 - 1}{1 + 4a^2t^2}}{\frac{4at}{1 + 4a^2t^2}} = \frac{4a^2t^2 - 1}{4at}$$

である。

(2) (1)より、直線 $\ell$ は点 $\text{P}(t, at^2)$ を通り、傾きが $\frac{4a^2t^2 - 1}{4at}$ の直線であるから、その方程式は

$$y - at^2 = \frac{4a^2t^2 - 1}{4at} (x - t)$$

と表される。 $\ell$ の $y$ 切片を求めるため、$x=0$ を代入すると、

$$y = at^2 + \frac{4a^2t^2 - 1}{4at} (-t)$$

$t \neq 0$ より約分して計算を進めると、

$$y = at^2 - \frac{4a^2t^2 - 1}{4a}$$

$$y = at^2 - \frac{4a^2t^2}{4a} + \frac{1}{4a}$$

$$y = at^2 - at^2 + \frac{1}{4a} = \frac{1}{4a}$$

$a$ は定数であるから、直線 $\ell$ の $y$ 切片は $t$ の値によらず $\frac{1}{4a}$ で一定である。

解法2

(1) 接線 $m$ の傾きは $2at$ である。$m$ の上向きの方向が $x$ 軸の正の向きとなす角を $\theta$ とすると、

$$\tan\theta = 2at \quad \left( -\frac{\pi}{2} < \theta < \frac{\pi}{2} \right)$$

直線 $v$ は $y$ 軸に平行であるから、$v$ の上向きの方向は $x$ 軸の正の向きと $\frac{\pi}{2}$ の角をなす。 直線 $\ell$ の方向(上向き)が $x$ 軸の正の向きとなす角を $\phi$ とおく。 $\ell$ は $m$ に関して $v$ を対称移動した直線であるから、角度の関係より

$$\theta - \phi = \frac{\pi}{2} - \theta$$

すなわち

$$\phi = 2\theta - \frac{\pi}{2}$$

が成り立つ。直線 $\ell$ の傾きは $\tan\phi$ であり、

$$\tan\phi = \tan\left(2\theta - \frac{\pi}{2}\right) = -\frac{1}{\tan 2\theta}$$

と変形できる。ここで、$4a^2t^2 \neq 1$ のとき、$\tan 2\theta$ を加法定理を用いて計算すると、

$$\tan 2\theta = \frac{2\tan\theta}{1 - \tan^2\theta} = \frac{4at}{1 - 4a^2t^2}$$

となる。これを代入して、$\ell$ の傾きは

$$\tan\phi = -\frac{1 - 4a^2t^2}{4at} = \frac{4a^2t^2 - 1}{4at}$$

となる。($a>0, t \neq 0$ より $4at \neq 0$ であるため、この式は常に定義される) また、$4a^2t^2 = 1$ のときは $\tan\theta = \pm 1$ となり $\theta = \pm\frac{\pi}{4}$ であるから $\phi = 0$ または $\phi = -\pi$ となる。このとき傾きは $0$ であり、上の傾きの式に $4a^2t^2 = 1$ を代入したものと一致する。 よって、直線 $\ell$ の傾きは $\frac{4a^2t^2 - 1}{4at}$ である。

(2) 解法1の(2)と同様のため省略する。

解説

本問は、放物線の光学的な性質である「対称軸に平行に入射した光線は、放物面で反射すると一点(焦点)に集まる」という事実、いわゆるパラボラアンテナの原理を背景とした問題である。 (2) で求めた $y$ 切片 $\frac{1}{4a}$ は、まさに放物線 $y=ax^2$ の焦点の $y$ 座標に一致している。$y$ 軸に平行に入ってきた光(直線 $v$)が放物線上の点 P で反射し(直線 $\ell$)、その反射光が必ず焦点を通ることを数式で証明させる良問である。 図形的な対称移動を処理する際、本解答のように方向ベクトルを用いたり、直線のなす角に着目して正接の加法定理を利用したりする手法は解析幾何における定石である。計算の複雑さや場合分けの有無が異なるため、問題に応じて使い分けられるようにしておきたい。

答え

(1) $\frac{4a^2t^2 - 1}{4at}$

(2) $y$ 切片は $t$ によらず $\frac{1}{4a}$ となり、一定であることが示された。

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