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数学2 線形計画法 問題 3 解説

数学2 線形計画法 問題 3 解説

方針・初手

連立不等式の各不等式が表す領域の境界となる直線を把握し、それらの位置関係を調べる。特に、直線 $a(x-3)+b(y-2)=0$ は定点 $(3, 2)$ を通り、傾きが定数 $a, b$ の条件によって制限されることに着目して領域を図示する。

(2)では、$x+y=k$ とおき、傾き $-1$ の直線が領域と共有点をもつような $k$ の最大値を考える。境界線の傾きと $-1$ との大小関係で場合分けを行う。

解法1

(1)

与えられた連立不等式は次の通りである。

$$\begin{cases} x + 3y \leqq 12 & \cdots \text{①} \\ 3x + y \leqq 12 & \cdots \text{②} \\ a(x - 3) + b(y - 2) \leqq 0 & \cdots \text{③} \\ x \geqq 0 & \cdots \text{④} \\ y \geqq 0 & \cdots \text{⑤} \end{cases}$$

直線 $l_1: x+3y=12$ と直線 $l_2: 3x+y=12$ の交点を求めると、$(x, y) = (3, 3)$ である。 不等式①、②、④、⑤のみをすべて満たす領域を $D$ とおくと、$D$ は 4点 $(0,0), (4,0), (3,3), (0,4)$ を頂点とする四角形の内部および周である。

直線 $l_3: a(x-3)+b(y-2)=0$ は定点 $P(3, 2)$ を通る。 $P(3,2)$ は領域 $D$ の内部の点である($3+3\cdot 2 = 9 < 12$、$3\cdot 3+2 = 11 < 12$ より)。 $b>0$ であるから、$l_3$ の方程式は $y = -\frac{a}{b}(x-3)+2$ と変形できる。 ここで、条件 $2b < 3a < 6b$ の各辺を $3b (>0)$ で割ると、$\frac{2}{3} < \frac{a}{b} < 2$ となる。 したがって、$l_3$ の傾き $-\frac{a}{b}$ について、$-2 < -\frac{a}{b} < -\frac{2}{3}$ が成り立つ。

$l_1$ の傾きは $-\frac{1}{3}$、$l_2$ の傾きは $-3$ であるから、以下の大小関係が成り立つ。

$$-3 < -2 < -\frac{a}{b} < -\frac{2}{3} < -\frac{1}{3}$$

これより、定点 $P(3,2)$ を通る直線 $l_3$ は、領域 $D$ の境界のうち、線分 $(0,4)-(3,3)$ および線分 $(3,3)-(4,0)$ とそれぞれ交点をもつ。 $l_1$ と $l_3$ の交点を $A$ とすると、

$$a(12-3y-3)+b(y-2)=0 \iff (3a-b)y = 9a-2b$$

$\frac{a}{b} > \frac{2}{3}$ より $3a-b > 0$ であるから、$y = \frac{9a-2b}{3a-b}$。 このとき $x = 12 - 3\cdot\frac{9a-2b}{3a-b} = \frac{9a-6b}{3a-b}$。 よって、$A\left(\frac{9a-6b}{3a-b}, \frac{9a-2b}{3a-b}\right)$ である。

同様に、$l_2$ と $l_3$ の交点を $B$ とすると、

$$a(x-3)+b(12-3x-2)=0 \iff (3b-a)x = 10b-3a$$

$\frac{a}{b} < 2$ より $3b-a > 0$ であるから、$x = \frac{10b-3a}{3b-a}$。 このとき $y = 12 - 3\cdot\frac{10b-3a}{3b-a} = \frac{6b-3a}{3b-a}$。 よって、$B\left(\frac{10b-3a}{3b-a}, \frac{6b-3a}{3b-a}\right)$ である。

不等式③が表す領域は直線 $l_3$ の下側($y \leqq -\frac{a}{b}(x-3)+2$)であるから、求める領域は頂点を $(0,0), (4,0), B, A, (0,4)$ とする五角形の内部および周となる。

(2)

$x+y = k$ とおくと、$y = -x + k$ であり、これは傾き $-1$、$y$ 切片 $k$ の直線を表す。 $k$ が最大となるのは、この直線が(1)で求めた領域と共有点をもちながら最も上方に位置するときである。

領域の上側の境界は、点 $(0,4)$ から点 $A$、点 $B$ を経て点 $(4,0)$ へ至る折れ線である。 各線分の傾きは、$(0,4)-A$ 間が $-\frac{1}{3}$、$A-B$ 間が $-\frac{a}{b}$、$B-(4,0)$ 間が $-3$ であり、右へ行くほど傾きは小さくなる。 直線 $y = -x + k$ の傾き $-1$ と、線分 $A-B$ の傾き $-\frac{a}{b}$ の大小関係によって、直線が最も上にくる頂点が変わる。

(i) $-\frac{a}{b} < -1$ すなわち $a > b$ のとき

傾きの大小関係は $-\frac{1}{3} > -1 > -\frac{a}{b} > -3$ となる。 このとき、直線は点 $A$ を通るときに $y$ 切片 $k$ が最大となる。

$$x + y = \frac{9a-6b}{3a-b} + \frac{9a-2b}{3a-b} = \frac{18a-8b}{3a-b}$$

(ii) $-\frac{a}{b} > -1$ すなわち $a < b$ のとき

傾きの大小関係は $-\frac{1}{3} > -\frac{a}{b} > -1 > -3$ となる。 このとき、直線は点 $B$ を通るときに $y$ 切片 $k$ が最大となる。

$$x + y = \frac{10b-3a}{3b-a} + \frac{6b-3a}{3b-a} = \frac{16b-6a}{3b-a}$$

(iii) $-\frac{a}{b} = -1$ すなわち $a = b$ のとき

傾きの大小関係は $-\frac{1}{3} > -\frac{a}{b} = -1 > -3$ となる。 このとき、直線が線分 $A-B$ に重なるときに $y$ 切片 $k$ が最大となる。最大値は線分上のどの点でも等しく、$a=b$ を(i)または(ii)の結果に代入して、

$$\frac{18a-8a}{3a-a} = \frac{10a}{2a} = 5$$

となる。

解説

線形計画法の典型的な応用問題である。領域の境界となる直線の傾きに着目し、目的関数の表す直線の傾きと比較して最大値を与える頂点を決定する定石が問われている。

本問では境界線のひとつがパラメータ $a, b$ を含むため、条件から傾きの範囲を絞り込み、領域の形状を正確に捉えることが第一関門となる。最大値を求める際、候補となる頂点の座標を全て代入して値の差をとる方法もあるが、直線の傾きの大小関係を利用して論理的に最大値を与える頂点を特定する方が、計算の労力を大幅に減らすことができる。

答え

(1) 点 $(0,4)$、$\left(\frac{9a-6b}{3a-b}, \frac{9a-2b}{3a-b}\right)$、$\left(\frac{10b-3a}{3b-a}, \frac{6b-3a}{3b-a}\right)$、$(4,0)$、$(0,0)$ を頂点とする五角形の内部および周(境界線を含む)。

(2)

$a > b$ のとき: $\frac{18a-8b}{3a-b}$

$a = b$ のとき: $5$

$a < b$ のとき: $\frac{16b-6a}{3b-a}$

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