数学2 線形計画法 問題 4 解説

方針・初手
与えられた2次方程式 $x^2+ax+b=0$ が実数解をもち、それらの絶対値がすべて1以下になるための $a, b$ の条件を立式する。 条件は、判別式 $D \geqq 0$、軸の位置、区間の端点 $x=1, -1$ における関数値の符号という「解の配置」の定石を用いて求める。 これを $ab$ 平面上に図示し、得られた領域に対して $k = a+2b$ とおいて最大値・最小値を調べるか、あるいは解と係数の関係を用いて2変数関数の最大・最小問題に帰着させる。
解法1
(1)
$f(x) = x^2+ax+b$ とおく。 方程式 $f(x)=0$ が絶対値1以下の実数解のみをもつ条件は、放物線 $y=f(x)$ が $x$ 軸の $-1 \leqq x \leqq 1$ の部分と共有点をもち、それ以外の部分と共有点をもたないことである。 これは、以下の3つの条件を同時に満たすことと同値である。
(i) 判別式 $D \geqq 0$ (ii) 放物線の軸 $x = -\frac{a}{2}$ が $-1 \leqq -\frac{a}{2} \leqq 1$ の範囲にある (iii) $f(1) \geqq 0$ かつ $f(-1) \geqq 0$
それぞれの条件を $a, b$ の不等式で表す。
(i) について
$$D = a^2 - 4b \geqq 0 \iff b \leqq \frac{1}{4}a^2$$
(ii) について
$$-1 \leqq -\frac{a}{2} \leqq 1 \iff -2 \leqq a \leqq 2$$
(iii) について
$$f(1) = 1+a+b \geqq 0 \iff b \geqq -a-1$$
$$f(-1) = 1-a+b \geqq 0 \iff b \geqq a-1$$
求める点 $(a,b)$ 全体の集合は、これら4つの不等式をすべて満たす領域である。 境界線の交点を求める。 放物線 $b = \frac{1}{4}a^2$ と直線 $b = -a-1$ の交点は、$\frac{1}{4}a^2 = -a-1$ より $(a+2)^2 = 0$ となり、接点 $(-2, 1)$ をもつ。 放物線 $b = \frac{1}{4}a^2$ と直線 $b = a-1$ の交点は、$\frac{1}{4}a^2 = a-1$ より $(a-2)^2 = 0$ となり、接点 $(2, 1)$ をもつ。 また、2直線 $b = -a-1$ と $b = a-1$ の交点は $(0, -1)$ である。
したがって、求める領域は、点 $(-2, 1), (2, 1), (0, -1)$ を結ぶ2本の線分の上側、および放物線 $b = \frac{1}{4}a^2$ の下側に囲まれた部分となる(境界線をすべて含む)。
(2)
$k = a+2b$ とおく。これを $b$ について解くと以下のようになる。
$$b = -\frac{1}{2}a + \frac{k}{2}$$
これは $ab$ 平面上において、傾き $-\frac{1}{2}$、縦軸切片 $\frac{k}{2}$ の直線を表す。 この直線が(1)で求めた領域と共有点をもつときの、切片 $\frac{k}{2}$ の最大値と最小値を考えればよい。 領域は閉領域であるため、最大値・最小値は領域の境界上のいずれかでとる。各境界線上での $k$ の値の変化を調べる。
(ア) 放物線 $b = \frac{1}{4}a^2$ ($-2 \leqq a \leqq 2$) 上を動くとき
$$k = a + 2\left(\frac{1}{4}a^2\right) = \frac{1}{2}a^2 + a = \frac{1}{2}(a+1)^2 - \frac{1}{2}$$
$-2 \leqq a \leqq 2$ の範囲において、関数 $k$ は $a=2$ のとき最大値 $4$ をとり、$a=-1$ のとき最小値 $-\frac{1}{2}$ をとる。
(イ) 直線 $b = -a-1$ ($-2 \leqq a \leqq 0$) 上を動くとき
$$k = a + 2(-a-1) = -a - 2$$
$-2 \leqq a \leqq 0$ の範囲において、関数 $k$ は $a=-2$ のとき最大値 $0$ をとり、$a=0$ のとき最小値 $-2$ をとる。
(ウ) 直線 $b = a-1$ ($0 \leqq a \leqq 2$) 上を動くとき
$$k = a + 2(a-1) = 3a - 2$$
$0 \leqq a \leqq 2$ の範囲において、関数 $k$ は $a=2$ のとき最大値 $4$ をとり、$a=0$ のとき最小値 $-2$ をとる。
以上 (ア), (イ), (ウ) より、領域全体において $k$ がとりうる値の最大値は $4$、最小値は $-2$ である。
解法2
(1) については解法1と同様である。
(2) について、解と係数の関係を用いる別解を示す。
方程式 $x^2+ax+b=0$ の2つの実数解を $\alpha, \beta$ とすると、条件より $-1 \leqq \alpha \leqq 1$ かつ $-1 \leqq \beta \leqq 1$ である。 解と係数の関係より、以下の等式が成り立つ。
$$a = -(\alpha+\beta), \quad b = \alpha\beta$$
ここで、任意の $\alpha \in [-1, 1], \beta \in [-1, 1]$ に対して、$a, b$ を上式で定めれば、$x^2+ax+b = (x-\alpha)(x-\beta) = 0$ となり、条件を満たす2次方程式が必ず得られる。 したがって、$a, b$ の満たす条件は、独立変数 $\alpha, \beta$ がそれぞれ $[-1, 1]$ の範囲を動くことと同値である。 このとき、求める値 $a+2b$ は以下のように表せる。
$$a+2b = -(\alpha+\beta) + 2\alpha\beta$$
これを $\alpha$ と $\beta$ の関数 $g(\alpha, \beta)$ とし、$\beta$ を固定して $\alpha$ についての1次関数とみなす。
$$g(\alpha, \beta) = (2\beta-1)\alpha - \beta$$
$\alpha$ の定義域は $-1 \leqq \alpha \leqq 1$ の閉区間であるため、この1次関数は両端点 $\alpha = 1$ または $\alpha = -1$ のいずれかで最大値・最小値をとる。
(i) $\alpha = 1$ のとき
$$g(1, \beta) = (2\beta-1)\cdot 1 - \beta = \beta - 1$$
$-1 \leqq \beta \leqq 1$ より、$\beta = 1$ で最大値 $0$、$\beta = -1$ で最小値 $-2$ をとる。
(ii) $\alpha = -1$ のとき
$$g(-1, \beta) = (2\beta-1)\cdot (-1) - \beta = -3\beta + 1$$
$-1 \leqq \beta \leqq 1$ より、$\beta = -1$ で最大値 $4$、$\beta = 1$ で最小値 $-2$ をとる。
(i), (ii) の結果を合わせると、関数 $g(\alpha, \beta)$ の最大値は $4$、最小値は $-2$ である。
解説
(1) は解の配置問題の典型であり、判別式・軸・端点の条件を漏れなく立式することが求められる。 (2) は図示された領域を利用して「直線の $b$ 切片の最大・最小」に帰着させる手法(線形計画法)が定石であるが、境界線が曲線を含む場合は図形的直感のみに頼らず、境界の方程式に代入して1変数関数の最大・最小として厳密に調べるのが確実である。 解法2のように、解を直接変数とおいて「独立2変数の最大・最小問題」に持ち込む手法は、計算量が減り見通しが良くなるため、非常に有効なアプローチである。1文字ずつ固定して端点を調べる考え方(予選決勝法)を押さえておきたい。
答え
(1) 連立不等式
$$\begin{cases} b \leqq \frac{1}{4}a^2 \\ b \geqq a - 1 \\ b \geqq -a - 1 \end{cases}$$
の表す領域(境界線を含む)。図は省略。
(2)
最大値: 4
最小値: -2
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