数学2 線形計画法 問題 7 解説

方針・初手
(1)は絶対値を含む方程式である。$x$ と $y$ の正負で4つの象限に場合分けし、絶対値を外して図形の形状を特定する。
(2)は線形計画法の問題である。$y \geqq 0$ より $|y| = y$ となるため、$|x| + y = k$ とおいて図形的な意味(直線や折れ線)を考える。与えられた連立不等式の表す領域 $D$ と共有点を持つような $k$ の最小値を求める。境界となる直線 $ax + (2-a)y = 2$ の傾きと、折れ線の傾きの大小関係に着目して $a$ の値で場合分けを行う。
(3)は(2)で得られた $m$ を $a$ の関数 $m(a)$ とみなし、その定義域 $a \geqq 0$ における増減を調べて最大値を求める。
解法1
(1)
$t$ は正の実数である。$x, y$ の符号によって場合分けをして絶対値を外す。
(i) $x \geqq 0, y \geqq 0$ のとき $x + y = t$ より、$y = -x + t$ である。
(ii) $x < 0, y \geqq 0$ のとき $-x + y = t$ より、$y = x + t$ である。
(iii) $x < 0, y < 0$ のとき $-x - y = t$ より、$y = -x - t$ である。
(iv) $x \geqq 0, y < 0$ のとき $x - y = t$ より、$y = x - t$ である。
これらを合わせると、$|x| + |y| = t$ の表す図形は、4点 $(t, 0), (0, t), (-t, 0), (0, -t)$ を頂点とする正方形の周となる。
(2)
連立不等式
$$\begin{cases} ax + (2-a)y \geqq 2 \\ y \geqq 0 \end{cases}$$
の表す領域を $D$ とする。 領域 $D$ においては $y \geqq 0$ であるため、$|y| = y$ となる。 $|x| + y = k$ とおくと、
$$y = -|x| + k$$
であり、これは点 $(0, k)$ を頂点とする上に凸の直角な折れ線を表す。 $k$ を変化させたとき、この折れ線が領域 $D$ と共有点を持つような $k$ の最小値 $m$ を求める。
$a$ の値によって場合分けを行う。
(i) $0 \leqq a < 2$ のとき $2-a > 0$ であるから、領域 $D$ を表す不等式は
$$y \geqq -\frac{a}{2-a}x + \frac{2}{2-a} \quad \text{かつ} \quad y \geqq 0$$
と変形できる。 $x < 0$ の範囲について、点 $(x, y)$ が領域 $D$ にあるとき、
$$k = -x + y \geqq -x - \frac{a}{2-a}x + \frac{2}{2-a} = -\frac{2}{2-a}x + \frac{2}{2-a} > \frac{2}{2-a}$$
となるため、$k$ は $\frac{2}{2-a}$ よりも大きくなる。 一方、$x \geqq 0$ の範囲においては、$k = x + y$ であり、直線 $x + y = k$ が領域 $D$ と共有点を持つ最小の $k$ を考えればよい。 境界線である直線 $ax + (2-a)y = 2$ の傾き $-\frac{a}{2-a}$ と、直線 $x + y = k$ の傾き $-1$ の大小関係でさらに場合分けする。
(ア) $0 \leqq a < 1$ のとき
$$-\frac{a}{2-a} > -1$$
であるため、境界線の傾きは $-1$ より緩やかである。 直線 $x + y = k$ を下方に平行移動していくと、領域 $D$ との共有点がなくなる直前に、直線は $y$ 軸上の点 $(0, \frac{2}{2-a})$ を通る。 よって、このとき最小値 $m = \frac{2}{2-a}$ となり、これは先ほどの $x < 0$ における $k$ の下限よりも小さいので適する。
(イ) $1 \leqq a < 2$ のとき
$$-\frac{a}{2-a} \leqq -1$$
であるため、境界線の傾きは $-1$ より急、または等しい。 直線 $x + y = k$ を下方に平行移動していくと、領域 $D$ との共有点がなくなる直前に、直線は $x$ 軸上の点 $(\frac{2}{a}, 0)$ を通る。 よって、このとき最小値 $m = \frac{2}{a}$ となる。
(ii) $a = 2$ のとき 領域 $D$ を表す不等式は
$$2x \geqq 2 \iff x \geqq 1 \quad \text{かつ} \quad y \geqq 0$$
である。 $k = |x| + y$ が最小となるのは $(x, y) = (1, 0)$ のときであり、最小値は $m = 1$ である。 これは、(i)(イ) の $m = \frac{2}{a}$ に $a = 2$ を代入した値と一致する。
(iii) $a > 2$ のとき $2-a < 0$ であるから、領域 $D$ を表す不等式は
$$y \leqq \frac{a}{a-2}x - \frac{2}{a-2} \quad \text{かつ} \quad y \geqq 0$$
となる。 $y \geqq 0$ より $\frac{a}{a-2}x - \frac{2}{a-2} \geqq 0$ であるため、$x \geqq \frac{2}{a}$ となる。 $x \geqq \frac{2}{a} > 0$ であることから、領域 $D$ は第1象限の $x \geqq \frac{2}{a}$ の範囲に存在する。 領域内の点において、
$$k = x + y \geqq x \geqq \frac{2}{a}$$
であり、等号は $(x, y) = (\frac{2}{a}, 0)$ のときに成立する。 よって、最小値 $m = \frac{2}{a}$ となる。
以上より、求める最小値 $m$ は
$$m = \begin{cases} \frac{2}{2-a} & (0 \leqq a \leqq 1) \\ \frac{2}{a} & (a \geqq 1) \end{cases}$$
と表される。
(3)
(2) より、$m$ を $a$ の関数とみて $m(a)$ とおく。
(i) $0 \leqq a \leqq 1$ のとき $2-a$ は $2$ から $1$ まで単調に減少するため、$m(a) = \frac{2}{2-a}$ は単調に増加する。 この区間での最大値は $m(1) = 2$ である。
(ii) $a \geqq 1$ のとき $a$ は単調に増加するため、$m(a) = \frac{2}{a}$ は単調に減少する。 この区間での最大値は $m(1) = 2$ である。
したがって、$a \geqq 0$ 全体における $m$ の最大値は $2$ である。
解説
(1)の絶対値を含む方程式がひし形(正方形)を表すことは基本知識として押さえておきたい。 (2)の線形計画法では、目的関数 $|x| + y = k$ の図形的な意味を正確に捉えられるかが鍵となる。$x \geqq 0$ の範囲では直線 $x + y = k$ の平行移動を考えればよいが、領域の境界線となる直線の傾き $-\frac{a}{2-a}$ が $a$ の値によって変化するため、目的関数の直線の傾き $-1$ と比較して場合分けをするのが定石である。 また、解答の厳密性を高めるためには、$x < 0$ の範囲でより小さな値をとる可能性がないこと(今回は最小値が常に第1象限および境界上の点で得られること)を簡潔に示しておくことが望ましい。
答え
(1) 4点 $(t, 0), (0, t), (-t, 0), (0, -t)$ を頂点とする正方形の周
(2)
$0 \leqq a \leqq 1$ のとき $m = \frac{2}{2-a}$
$a \geqq 1$ のとき $m = \frac{2}{a}$
(3) 2
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