数学2 線形計画法 問題 8 解説

方針・初手
与えられた連立不等式から、領域 $D$ の形状と境界となる頂点を把握する。 求める式 $x^2 - 2x + y^2$ を $k$ とおき、平方完成して $(x - 1)^2 + y^2 = k + 1$ とする。 これは中心が点 $(1, 0)$、半径が $\sqrt{k + 1}$ の円を表すため、この円が領域 $D$ と共有点をもつような $k$ の最大値および最小値を、中心から領域までの距離を用いて図形的に考える。
解法1
連立不等式を構成する3つの直線を以下のように定める。
$$l_1 : x - 2y + 3 = 0 \iff y = \frac{1}{2}x + \frac{3}{2}$$
$$l_2 : x + y - 9 = 0 \iff y = -x + 9$$
$$l_3 : 2x - y = 0 \iff y = 2x$$
これらの直線の交点を求める。 $l_1$ と $l_2$ の交点を $\text{A}$ とすると、連立して解いて $x = 5, y = 4$ より $\text{A}(5, 4)$ である。 $l_2$ と $l_3$ の交点を $\text{B}$ とすると、連立して解いて $x = 3, y = 6$ より $\text{B}(3, 6)$ である。 $l_3$ と $l_1$ の交点を $\text{C}$ とすると、連立して解いて $x = 1, y = 2$ より $\text{C}(1, 2)$ である。
領域 $D$ は、これらの3点 $\text{A}, \text{B}, \text{C}$ を頂点とする三角形の周および内部である。
ここで、求める値を $k$ とおく。
$$k = x^2 - 2x + y^2$$
これを平方完成すると、以下のようになる。
$$(x - 1)^2 + y^2 = k + 1$$
これは、中心が点 $\text{P}(1, 0)$ であり、半径が $\sqrt{k + 1}$ の円を表す。 つまり、$k+1$ は点 $\text{P}(1, 0)$ と領域 $D$ 上の点 $(x, y)$ の距離の2乗である。 この距離の2乗が最大および最小となるような領域 $D$ 上の点を見つける。
最大値について
点 $\text{P}$ から領域 $D$ への距離が最大となるのは、多角形の性質上、いずれかの頂点である。 各頂点と点 $\text{P}$ の距離の2乗を比較する。
$$\text{PA}^2 = (5 - 1)^2 + (4 - 0)^2 = 16 + 16 = 32$$
$$\text{PB}^2 = (3 - 1)^2 + (6 - 0)^2 = 4 + 36 = 40$$
$$\text{PC}^2 = (1 - 1)^2 + (2 - 0)^2 = 0 + 4 = 4$$
したがって、点 $\text{B}(3, 6)$ のとき距離は最大となり、$k + 1 = 40$ より $k = 39$ である。
最小値について
領域 $D$ の点 $(x, y)$ は図形的に $y \geqq 2$ を満たす。 よって、領域 $D$ 上のすべての点に対して以下の不等式が成り立つ。
$$(x - 1)^2 + y^2 \geqq 0 + 2^2 = 4$$
等号が成立するのは $x - 1 = 0$ かつ $y = 2$、すなわち $(x, y) = (1, 2)$ のときである。 点 $\text{C}(1, 2)$ は領域 $D$ に含まれるため、ここで最小となる。 このとき $k + 1 = 4$ より $k = 3$ である。
以上より、最大値は $39$、最小値は $3$ となる。
解法2
領域 $D$ 上を点 $(x, y)$ が動くとき、関数 $f(x, y) = x^2 - 2x + y^2$ の最大値と最小値を境界上の動きから調べる。 $f(x, y) = (x - 1)^2 + y^2 - 1$ と変形でき、これは変数が2乗の和であるため下に凸の関数である。 極小値を与える点 $(1, 0)$ は領域 $D$ の外にあるため、最大値および最小値はともに境界(三角形の辺)上に存在する。 各辺上での $f(x, y)$ の値の変化を調べる。
(i) 辺 $\text{AC}$ 上について
$x - 2y + 3 = 0 \iff x = 2y - 3$ であり、$y$ の範囲は $2 \leqq y \leqq 4$ である。これを代入する。
$$\begin{aligned} f(2y - 3, y) &= (2y - 3)^2 - 2(2y - 3) + y^2 \\ &= 5y^2 - 16y + 15 \\ &= 5 \left( y - \frac{8}{5} \right)^2 + \frac{11}{5} \end{aligned}$$
$2 \leqq y \leqq 4$ の範囲において、軸 $y = \frac{8}{5} = 1.6$ は左外にあるため、この区間で単調増加する。 最小値は $y=2$ のとき $5(4) - 32 + 15 = 3$ (このとき $x=1$) 最大値は $y=4$ のとき $5(16) - 64 + 15 = 31$ (このとき $x=5$)
(ii) 辺 $\text{BC}$ 上について
$2x - y = 0 \iff y = 2x$ であり、$x$ の範囲は $1 \leqq x \leqq 3$ である。これを代入する。
$$\begin{aligned} f(x, 2x) &= x^2 - 2x + (2x)^2 \\ &= 5x^2 - 2x \\ &= 5 \left( x - \frac{1}{5} \right)^2 - \frac{1}{5} \end{aligned}$$
$1 \leqq x \leqq 3$ の範囲において、軸 $x = \frac{1}{5} = 0.2$ は左外にあるため、この区間で単調増加する。 最小値は $x=1$ のとき $5(1) - 2 = 3$ (このとき $y=2$) 最大値は $x=3$ のとき $5(9) - 6 = 39$ (このとき $y=6$)
(iii) 辺 $\text{AB}$ 上について
$x + y - 9 = 0 \iff y = -x + 9$ であり、$x$ の範囲は $3 \leqq x \leqq 5$ である。これを代入する。
$$\begin{aligned} f(x, -x + 9) &= x^2 - 2x + (-x + 9)^2 \\ &= 2x^2 - 20x + 81 \\ &= 2(x - 5)^2 + 31 \end{aligned}$$
$3 \leqq x \leqq 5$ の範囲において、軸 $x = 5$ は右端であるため、この区間で単調減少する。 最大値は $x=3$ のとき $2(-2)^2 + 31 = 39$ (このとき $y=6$) 最小値は $x=5$ のとき $31$ (このとき $y=4$)
(i), (ii), (iii) より、領域全体での最大値は $39$($x=3, y=6$ のとき)、最小値は $3$($x=1, y=2$ のとき)である。
解説
「図形と方程式」の分野における標準的な最大・最小問題である。 求める2次式を $k$ と置き、図形的な意味(本問では円の半径)に帰着させるのが定石である。 領域を正確に図示し、円が領域と共有点をもつ条件として視覚的に捉えることで、見通しよく解くことができる。 解法2のように境界線をパラメータ表示し、1変数の2次関数として処理する方法も確実性が高く、検算として有効である。
答え
最大値: $39$ ($x = 3, y = 6$ のとき)
最小値: $3$ ($x = 1, y = 2$ のとき)
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