数学2 線形計画法 問題 9 解説

方針・初手
(1) については、絶対値を含む不等式の表す領域を図示する。絶対値の中身の正負によって場合分けを行い、境界線の方程式を求めて図示する。
(2) については、直線の方程式を立て、放物線との交点の $x$ 座標を求める方程式を作成する。定積分による面積計算では、いわゆる $\frac{1}{6}$ 公式を用いることで計算量を減らす。
(3) については、(2) で求めた $S(a, b)$ を最大にするため、根号の中身である $16 - a^2 - b$ の最大値を求める問題に帰着させる。領域 $E$ を図形的に捉え、$k = a^2 + b$ とおいて放物線 $b = -a^2 + k$ と領域 $E$ が共有点をもつような $k$ の最小値を図形的に考察する。
解法1
(1)
領域 $D$ は、不等式 $y < -x^2 + 16$ を満たす点 $(x, y)$ の集合である。 これは、放物線 $y = -x^2 + 16$ の下側の領域であり、境界線を含まない。
領域 $E$ は、不等式 $|x - 1| + |y| \leqq 1$ を満たす点 $(x, y)$ の集合である。 絶対値を外すために、以下のように場合分けを行う。
(i) $x - 1 \geqq 0$ かつ $y \geqq 0$ (すなわち $x \geqq 1$ かつ $y \geqq 0$)のとき 不等式は $x - 1 + y \leqq 1$ となり、$y \leqq -x + 2$ である。
(ii) $x - 1 \geqq 0$ かつ $y < 0$ (すなわち $x \geqq 1$ かつ $y < 0$)のとき 不等式は $x - 1 - y \leqq 1$ となり、$y \geqq x - 2$ である。
(iii) $x - 1 < 0$ かつ $y \geqq 0$ (すなわち $x < 1$ かつ $y \geqq 0$)のとき 不等式は $-(x - 1) + y \leqq 1$ となり、$y \leqq x$ である。
(iv) $x - 1 < 0$ かつ $y < 0$ (すなわち $x < 1$ かつ $y < 0$)のとき 不等式は $-(x - 1) - y \leqq 1$ となり、$y \geqq -x$ である。
これらを合わせると、領域 $E$ は $4$ 点 $(1, 1)$、$(2, 0)$、$(1, -1)$、$(0, 0)$ を頂点とする正方形の周および内部となる。境界線を含む。
(2)
点 $\text{A}(a, b)$ を通り、傾きが $-2a$ の直線の方程式は
$$y - b = -2a(x - a)$$
すなわち
$$y = -2ax + 2a^2 + b$$
である。 この直線と放物線 $y = -x^2 + 16$ の交点の $x$ 座標は、方程式
$$-x^2 + 16 = -2ax + 2a^2 + b$$
$$x^2 - 2ax + 2a^2 + b - 16 = 0$$
の実数解である。 点 $\text{A}(a, b)$ は領域 $D$ に属するので、$b < -a^2 + 16$ が成り立つ。 方程式の判別式を $D'$ とすると
$$\frac{D'}{4} = a^2 - (2a^2 + b - 16) = 16 - a^2 - b > 0$$
となり、直線と放物線は異なる $2$ 点で交わる。 この $2$ つの交点の $x$ 座標を $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$)とすると、解の公式により
$$x = a \pm \sqrt{16 - a^2 - b}$$
であるから
$$\beta - \alpha = 2\sqrt{16 - a^2 - b}$$
となる。 求める面積 $S(a, b)$ は
$$\begin{aligned} S(a, b) &= \int_{\alpha}^{\beta} \left\{ (-x^2 + 16) - (-2ax + 2a^2 + b) \right\} dx \\ &= -\int_{\alpha}^{\beta} (x - \alpha)(x - \beta) dx \\ &= \frac{1}{6} (\beta - \alpha)^3 \\ &= \frac{1}{6} \left( 2\sqrt{16 - a^2 - b} \right)^3 \\ &= \frac{4}{3} (16 - a^2 - b)^{\frac{3}{2}} \end{aligned}$$
(3)
点 $\text{A}(a, b)$ が領域 $E$ を動くとき、$S(a, b)$ を最大にするには、$16 - a^2 - b$ の値を最大にすればよい。 これは、$a^2 + b$ の値を最小にすることと同値である。
$k = a^2 + b$ とおくと
$$b = -a^2 + k$$
となる。これは $ab$ 平面上において、頂点が $(0, k)$ で上に凸の放物線を表す。 この放物線が、(1) で求めた領域 $E$ ($ab$ 平面上での正方形領域)と共有点をもつような $k$ の最小値を求める。
領域 $E$ の下側の境界は、線分 $b = -a$ ($0 \leqq a \leqq 1$)および線分 $b = a - 2$ ($1 \leqq a \leqq 2$)である。 放物線 $b = -a^2 + k$ を $k$ の値を小さくしながら下へ平行移動していくと、線分 $b = -a$ ($0 \leqq a \leqq 1$)に接するときに $k$ は最小となる。
放物線と直線の方程式から $b$ を消去すると
$$-a^2 + k = -a$$
$$a^2 - a - k = 0$$
接するためには、この $a$ についての $2$ 次方程式の判別式が $0$ となればよい。
$$(-1)^2 - 4 \cdot 1 \cdot (-k) = 0$$
$$1 + 4k = 0$$
$$k = -\frac{1}{4}$$
このとき、接点の $a$ 座標は $a = \frac{1}{2}$ であり、$0 \leqq a \leqq 1$ を満たす。 また $b$ 座標は $b = -\frac{1}{2}$ となり、接点 $\left(\frac{1}{2}, -\frac{1}{2}\right)$ は確かに領域 $E$ に属する。
したがって、$a^2 + b$ の最小値は $-\frac{1}{4}$ である。 このとき、$16 - a^2 - b$ の最大値は
$$16 - \left(-\frac{1}{4}\right) = \frac{65}{4}$$
となる。 以上より、$S(a, b)$ の最大値は
$$\frac{4}{3} \left( \frac{65}{4} \right)^{\frac{3}{2}} = \frac{4}{3} \cdot \frac{65\sqrt{65}}{8} = \frac{65\sqrt{65}}{6}$$
である。
解説
(2) の面積計算は、放物線と直線で囲まれた部分の面積であるため、定積分の $\frac{1}{6}$ 公式を適切に用いることで計算ミスのリスクを大幅に減らすことができる。展開して真面目に積分を行うのは得策ではない。
(3) は $2$ 変数関数の最大・最小問題である。$16 - a^2 - b$ の最大化を $a^2 + b$ の最小化に読み替えるのが第一歩である。これを $k = a^2 + b$ とおき、放物線 $b = -a^2 + k$ の $y$ 切片(この場合は $b$ 切片)の最大・最小を考える、いわゆる線形計画法に似た図形的アプローチ(逆像法)を取るのが視覚的にもわかりやすく確実である。接点が指定された定義域内に存在するかどうかの確認を忘れないようにすること。
答え
(1) 領域 $D$ は放物線 $y = -x^2 + 16$ の下側(境界を含まない)。領域 $E$ は $4$ 点 $(1, 1)$、$(2, 0)$、$(1, -1)$、$(0, 0)$ を頂点とする正方形の周および内部(境界を含む)。
(2) $S(a, b) = \frac{4}{3} (16 - a^2 - b)^{\frac{3}{2}}$
(3) $\frac{65\sqrt{65}}{6}$
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