トップ 基礎問題 数学2 図形と式 線形計画法 問題 11

数学2 線形計画法 問題 11 解説

数学2 線形計画法 問題 11 解説

方針・初手

絶対値を含む不等式 $|x-a|+|y-b| \leqq r$ は、点 $(a, b)$ を中心とし、対角線の長さが $2r$ である座標軸に対して $45^\circ$ 傾いた正方形の内部および周を表す。 (1) でこの領域 $D$ の頂点座標を正確に求め図示することが、続くすべての設問の基礎となる。 (2) は $2x+y=k$ とおいて、直線と領域が共有点をもつための $y$ 切片の条件を考える線形計画法の典型問題である。 (3) は与式を平方完成し、「定点と領域内の点との距離の $2$ 乗」の最大化問題へと帰着させる。 (4) は与えられた分数式を定点を通る直線の傾きとみなして、図形的に処理する。

解法1

(1)

与えられた不等式は $|x-3|+|y-3| \leqq 2$ である。 絶対値の中身の正負によって場合分けを行い、領域の境界線を求める。

(i) $x-3 \geqq 0$ かつ $y-3 \geqq 0$ (すなわち $x \geqq 3$ かつ $y \geqq 3$)のとき

$$x-3+y-3 \leqq 2 \iff x+y \leqq 8$$

(ii) $x-3 < 0$ かつ $y-3 \geqq 0$ (すなわち $x < 3$ かつ $y \geqq 3$)のとき

$$-(x-3)+y-3 \leqq 2 \iff -x+y \leqq 2$$

(iii) $x-3 \geqq 0$ かつ $y-3 < 0$ (すなわち $x \geqq 3$ かつ $y < 3$)のとき

$$x-3-(y-3) \leqq 2 \iff x-y \leqq 2$$

(iv) $x-3 < 0$ かつ $y-3 < 0$ (すなわち $x < 3$ かつ $y < 3$)のとき

$$-(x-3)-(y-3) \leqq 2 \iff x+y \geqq 4$$

これらより、領域 $D$ は $4$ 点 $(3, 5), (5, 3), (3, 1), (1, 3)$ を頂点とする正方形の周および内部となる。 これを座標平面上に図示したものが領域 $D$ である(図は省略するが、上記 $4$ 点を順に結んだ閉領域となる)。

(2)

$2x+y = k$ とおく。これを変形すると以下の直線の方程式になる。

$$y = -2x+k$$

これは傾きが $-2$ であり、$y$ 切片が $k$ の直線を表す。 点 $(x, y)$ が領域 $D$ を動くとき、$k$ が最大となるのは、この直線が領域 $D$ と共有点をもちつつ $y$ 切片が最も大きくなるときである。 領域 $D$ の形状と直線の傾き $-2$ から、直線が頂点 $(5, 3)$ を通るときに $k$ は最大となる。 $x = 5, y = 3$ を代入して $k$ の値を求める。

$$k = 2 \cdot 5 + 3 = 13$$

したがって、最大値は $13$ であり、このとき $x=5, y=3$ である。

(3)

与えられた式を平方完成し、変形する。

$$x^2+y^2-4x-2y = (x^2-4x+4)-4+(y^2-2y+1)-1 = (x-2)^2+(y-1)^2-5$$

ここで、$f(x, y) = (x-2)^2+(y-1)^2$ とおくと、これは領域 $D$ 内の点 $(x, y)$ と定点 $A(2, 1)$ との距離の $2$ 乗を表している。 領域内の点と定点 $A$ との距離が最大になるのは、定点 $A$ から最も遠い領域の頂点である。 各頂点と点 $A(2, 1)$ との距離の $2$ 乗を計算し比較する。

頂点 $(3, 5)$ のとき: $(3-2)^2+(5-1)^2 = 1+16 = 17$ 頂点 $(5, 3)$ のとき: $(5-2)^2+(3-1)^2 = 9+4 = 13$ 頂点 $(3, 1)$ のとき: $(3-2)^2+(1-1)^2 = 1+0 = 1$ 頂点 $(1, 3)$ のとき: $(1-2)^2+(3-1)^2 = 1+4 = 5$

比較すると、距離の $2$ 乗が最大となるのは点 $(3, 5)$ のときであり、その値は $17$ である。 求める式全体の値の最大値はこれから $5$ を引いた値となる。

$$17 - 5 = 12$$

したがって、最大値は $12$ であり、このとき $x=3, y=5$ である。

(4)

与えられた分数式を以下のように $m$ とおく。

$$\frac{y-1}{x+2} = m$$

領域 $D$ において $x$ の最小値は $1$ であるため、$x \geqq 1$ を満たし、常に $x+2 \neq 0$ となる。 両辺に $x+2$ を掛けると、以下の直線の方程式が得られる。

$$y-1 = m(x+2)$$

これは、定点 $B(-2, 1)$ を通り、傾きが $m$ の直線を表す。 点 $(x, y)$ が領域 $D$ を動くとき、$m$ の取り得る値の範囲は、この直線が領域 $D$ と共有点をもつための傾き $m$ の範囲に等しい。 定点 $B(-2, 1)$ は領域 $D$ のどの点よりも左側($x$ 座標が小さい位置)にあるため、直線の傾き $m$ は、直線が領域 $D$ の「最も上にある頂点」を通るときに最大となり、「最も下にある頂点」を通るときに最小となる。

直線が頂点 $(3, 5)$ を通るときの傾き $m$ は最大となり、

$$m = \frac{5-1}{3-(-2)} = \frac{4}{5}$$

直線が頂点 $(3, 1)$ を通るときの傾き $m$ は最小となり、

$$m = \frac{1-1}{3-(-2)} = 0$$

領域 $D$ の他の部分と共有点をもつときの直線の傾きは、この最大値と最小値の間に収まる。 したがって、求める値の範囲は $0 \leqq m \leqq \frac{4}{5}$ である。

解説

図形と方程式の分野における、領域を動く点の関数値の最大・最小を問う標準的な総合問題である。 (2) は $x, y$ の $1$ 次式の最大化であり、線形計画法の定石通りに $k$ とおいて直線と領域の共有点条件へと持ち込む。 (3) は $x, y$ の $2$ 次式の最大化であり、円の方程式の形に平方完成することで「定点からの距離」に帰着させるのがポイントである。最大値は領域の頂点でとるため、全頂点との距離を比較すれば確実に求められる。 (4) は分数式の値の範囲を求める問題であり、「$\frac{y-b}{x-a}$ は $2$ 点 $(x, y)$ と $(a, b)$ を結ぶ直線の傾き」と図形的に翻訳する視点が不可欠である。定点の位置関係を正確に把握することで、どの頂点を通る際に傾きが最大または最小となるかを視覚的かつ容易に判断できる。

答え

(1) $4$ 点 $(3, 5), (5, 3), (3, 1), (1, 3)$ を頂点とする正方形の周および内部。

(2) 最大値 $13$ (このとき $x=5, y=3$)

(3) 最大値 $12$ (このとき $x=3, y=5$)

(4) $0 \leqq \frac{y-1}{x+2} \leqq \frac{4}{5}$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。