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数学2 線形計画法 問題 12 解説

数学2 線形計画法 問題 12 解説

方針・初手

絶対値記号を含む関数は、絶対値の中身の符号が変わる $x$ の値で場合分けを行い、絶対値を外すのが基本である。本問では $x=1, 2, 3$ を境に場合分けし、図形 $C_1$ が折れ線になることを把握する。円 $C_2$ との共有点の条件は、円の中心と折れ線の距離の最小値・最大値を調べることに帰着する。面積の最大化については、円が拡大するほど面積が大きくなる性質を利用し、閉領域が形成される限界を考える。

解法1

(1)

$y = |x-1| + |x-2| + |x-3|$ とおく。定義域 $0 \leqq x \leqq 4$ において、絶対値の中身の符号が変わる $x=1, 2, 3$ で場合分けをする。

(i) $0 \leqq x < 1$ のとき $x-1 < 0, x-2 < 0, x-3 < 0$ であるから、

$$y = -(x-1) - (x-2) - (x-3) = -3x + 6$$

(ii) $1 \leqq x < 2$ のとき $x-1 \geqq 0, x-2 < 0, x-3 < 0$ であるから、

$$y = (x-1) - (x-2) - (x-3) = -x + 4$$

(iii) $2 \leqq x < 3$ のとき $x-1 \geqq 0, x-2 \geqq 0, x-3 < 0$ であるから、

$$y = (x-1) + (x-2) - (x-3) = x$$

(iv) $3 \leqq x \leqq 4$ のとき $x-1 \geqq 0, x-2 \geqq 0, x-3 \geqq 0$ であるから、

$$y = (x-1) + (x-2) + (x-3) = 3x - 6$$

以上より、図形 $C_1$ は、5つの点 $(0,6), (1,3), (2,2), (3,3), (4,6)$ をこの順に結んだ折れ線である。

(2)

円 $C_2$ は中心 $P(5,3)$、半径 $r$ の円である。この円が $C_1$ と共有点をもつための条件は、$P$ から $C_1$ 上の点までの距離を $d$ としたとき、$d$ の最小値を $d_{\min}$、最大値を $d_{\max}$ として、$d_{\min} \leqq r \leqq d_{\max}$ となることである。

まず、$P$ から $C_1$ の各頂点までの距離の2乗を計算する。

したがって、最大値は $d_{\max} = \sqrt{34}$ である。

次に、最小値 $d_{\min}$ を求めるため、$P$ から $C_1$ を構成する各線分への垂線を考える。 $P(5,3)$ と直線 $y = 3x - 6$(すなわち $3x - y - 6 = 0$)の距離 $d_4$ は、点と直線の距離の公式より、

$$d_4 = \frac{|3 \cdot 5 - 3 - 6|}{\sqrt{3^2 + (-1)^2}} = \frac{6}{\sqrt{10}} = \frac{3\sqrt{10}}{5}$$

この垂線の足 $H$ の座標を求める。$P$ を通りこの直線に垂直な直線の方程式は $x + 3y - 14 = 0$ であり、これと $3x - y - 6 = 0$ の交点を求めると $x = 3.2, y = 3.6$ となる。 $x = 3.2$ は区間 $3 \leqq x \leqq 4$ に含まれるため、$H(3.2, 3.6)$ は $C_1$ の線分上に存在する。 他の線分については、垂線の足がそれぞれの定義域外になるため、頂点との距離が最短となる。 よって、距離の最小値は $d_{\min} = \frac{3\sqrt{10}}{5}$ である。

求める $r$ の値の範囲は、これらの中間であるから、

$$\frac{3\sqrt{10}}{5} \leqq r \leqq \sqrt{34}$$

(3)

円 $C_2$ は半径 $r$ が大きくなるにつれてその内部領域を単調に拡大していくため、$C_1$ と $C_2$ で囲まれた部分の面積も $r$ とともに単調に増加する。したがって、条件を満たす範囲で $r$ が最大となるときを考えればよい。

「$C_1$ と $C_2$ で囲まれた部分」という閉領域が形成されるためには、$C_1$ の端点が円の外部または境界上になければならない。もし端点が円の内部に入ってしまうと、その先で $C_1$ が存在しないため、領域を閉じることができなくなる。 $C_1$ の右端点 $(4,6)$ と $P(5,3)$ との距離は $\sqrt{10}$ であるから、$r \leqq \sqrt{10}$ であれば右端点は円の外部または境界上にあり、閉領域が作られる。これを超えると端点が円内に入ってしまう。

$r = \sqrt{10}$ のとき、円 $C_2$ と $C_1$ の共有点を調べる。 円の方程式は $(x-5)^2 + (y-3)^2 = 10$ である。 $P(5,3)$ との距離が $\sqrt{10}$ となる $C_1$ 上の点は、(2)の距離計算から、頂点 $(2,2)$ と端点 $(4,6)$ が該当する。 このとき、$C_1$ の他の部分が円周と交わらないか確認する。 $P$ から各線分上の点 $(x,y)$ までの距離の2乗 $f(x)$ の最小値は、区間 $0 \leqq x \leqq 1$ では $x=1$ で $16$、区間 $1 \leqq x \leqq 2$ では $x=2$ で $10$、区間 $2 \leqq x \leqq 3$ では $x=3$ で $4$、区間 $3 \leqq x \leqq 4$ では $x=3.2$ で $3.6$ である。 区間 $1 \leqq x \leqq 2$ および $2 \leqq x \leqq 3$ における $f(x)$ の最大値は $16$ および $10$ である。 これらより、距離の2乗がちょうど $10$ となるのは $x=2$ と $x=4$ のときのみである。

したがって、$r = \sqrt{10}$ のとき、$C_1$ と $C_2$ はちょうど2つの共有点 $(2,2), (4,6)$ をもち、条件を満たす最大の半径となるため、このとき面積は最大となる。

解説

絶対値関数のグラフと円の交点・距離に関する問題である。 (1)では、絶対値記号の処理の基本である場合分けを丁寧に行い、正確なグラフを描くことがすべての前提となる。 (2)の距離の最小値については、点と直線の距離だけでなく、垂線の足が線分上に存在するかどうかの確認を怠らないようにしたい。 (3)は、面積を積分などで直接計算しようとすると非常に計算量が膨らんでしまう。「円が拡大するほど共通部分も拡大する」という図形的な包含関係に気づき、閉領域が成立するための境界条件(端点の位置)から論理的に最大値を特定するアプローチが鮮やかで有効である。

答え

(1) $C_1$ は点 $(0,6), (1,3), (2,2), (3,3), (4,6)$ を順に結んだ折れ線

(2) $\frac{3\sqrt{10}}{5} \leqq r \leqq \sqrt{34}$

(3) $r = \sqrt{10}$、2交点の座標は $(2,2), (4,6)$

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