数学2 線形計画法 問題 13 解説

方針・初手
(1) 与えられた2つの不等式を平方完成し、それぞれが表す図形(円の内部・外部)を把握する。境界となる2つの円の交点を求めたうえで、領域を図示する。
(2) 直線 $x+y=k$ すなわち $y = -x + k$ が (1) の領域と共有点をもつための条件を考える。これは、領域内の点 $(x, y)$ における $x+y$ のとりうる値の範囲(最大値・最小値)を求める問題、いわゆる線形計画法に帰着する。直線 $y = -x + k$ を $xy$ 平面上で平行移動させたとき、直線が領域に接する場合と領域の境界の交点を通る場合を調べ、接点が実際に領域内に存在するかどうかの確認を忘れずに行う。
解法1
(1)
与えられた連立不等式を変形する。
$$\begin{cases} (x - 2)^2 + y^2 \leqq 4 \\ x^2 + (y + 1)^2 \geqq 1 \end{cases}$$
1つ目の不等式は、中心 $(2, 0)$、半径 $2$ の円(以下 $C_1$ とする)の内部および周を表す。 2つ目の不等式は、中心 $(0, -1)$、半径 $1$ の円(以下 $C_2$ とする)の外部および周を表す。
境界となる $C_1$ と $C_2$ の交点を求めるため、それぞれを展開した方程式を連立する。
$$\begin{cases} x^2 + y^2 - 4x = 0 \\ x^2 + y^2 + 2y = 0 \end{cases}$$
辺々を引くと $-4x - 2y = 0$ となり、$y = -2x$ を得る。これを1つ目の式に代入する。
$$x^2 + (-2x)^2 - 4x = 0$$
$$5x^2 - 4x = 0$$
$$x\left(x - \frac{4}{5}\right) = 0$$
これより $x = 0, \frac{4}{5}$ となる。対応する $y$ 座標は $y = 0, -\frac{8}{5}$ である。 したがって、2円の交点は $(0, 0)$ および $\left(\frac{4}{5}, -\frac{8}{5}\right)$ である。
求める領域は、$C_1$ の内部(境界を含む)から $C_2$ の内部を除いた部分である。図示すると、$xy$ 平面において、原点と点 $\left(\frac{4}{5}, -\frac{8}{5}\right)$ を結ぶ2つの円弧で区切られた $C_1$ 側の領域(境界線を含む)となる。
(2)
直線 $x + y = k$ を $l$ とする。$l$ は傾きが $-1$、 $y$ 切片が $k$ の直線 $y = -x + k$ である。$l$ が (1) で求めた領域(これを $D$ とする)と共有点をもつための $k$ の最大値と最小値を求める。
最大値について
直線 $l$ の $y$ 切片を大きくしていくと、$l$ が $D$ から離れる直前に円 $C_1$ に接する。 $C_1$ の中心 $(2, 0)$ と直線 $x + y - k = 0$ の距離が $C_1$ の半径 $2$ に等しくなる条件を点と直線の距離の公式を用いて求める。
$$\frac{|2 + 0 - k|}{\sqrt{1^2 + 1^2}} = 2$$
$$|k - 2| = 2\sqrt{2}$$
$$k = 2 \pm 2\sqrt{2}$$
図より $y$ 切片が大きくなるのは $k = 2 + 2\sqrt{2}$ のときである。 このとき、接点の座標は中心 $(2, 0)$ を通り傾き $1$ の直線 $y = x - 2$ と $l$ の交点であり、連立して解くと $x = 2 + \sqrt{2}, y = \sqrt{2}$ となる。 この接点 $(2 + \sqrt{2}, \sqrt{2})$ が円 $C_2$ の外部にあるか確認する。
$$x^2 + (y + 1)^2 = (2 + \sqrt{2})^2 + (\sqrt{2} + 1)^2 = 6 + 4\sqrt{2} + 3 + 2\sqrt{2} = 9 + 6\sqrt{2} > 1$$
したがって、接点は領域 $D$ に含まれるため、$k$ の最大値は $2 + 2\sqrt{2}$ である。
最小値について
直線 $l$ の $y$ 切片を小さくしていくと、$l$ は領域 $D$ の下部を通る。$k$ が最小となる候補は、境界線同士の交点を通るとき、または境界となる円弧に接するときである。
(i) 円 $C_1$ に接する場合
先ほどの計算から、$k$ が小さい方の接線は $k = 2 - 2\sqrt{2}$ のときである。 接点の座標は同様に計算して $(2 - \sqrt{2}, -\sqrt{2})$ となる。この点が領域 $D$ に含まれるか確認する。
$$x^2 + (y + 1)^2 = (2 - \sqrt{2})^2 + (-\sqrt{2} + 1)^2 = 6 - 4\sqrt{2} + 3 - 2\sqrt{2} = 9 - 6\sqrt{2} = 9 - \sqrt{72}$$
$8 < \sqrt{72} < 9$ より $9 - \sqrt{72} < 1$ となるため、この接点は円 $C_2$ の内部にあり、領域 $D$ に含まれない。
(ii) 円 $C_2$ に接する場合
$C_2$ の中心 $(0, -1)$ と直線 $x + y - k = 0$ の距離が $C_2$ の半径 $1$ に等しくなるときを考える。
$$\frac{|0 - 1 - k|}{\sqrt{1^2 + 1^2}} = 1$$
$$|k + 1| = \sqrt{2}$$
$$k = -1 \pm \sqrt{2}$$
$k$ が最小となるのは $k = -1 - \sqrt{2}$ のときであり、接点の座標は $\left(-\frac{\sqrt{2}}{2}, -1 - \frac{\sqrt{2}}{2}\right)$ となる。この点が $C_1$ の内部にあるか確認する。
$$(x - 2)^2 + y^2 = \left(-\frac{\sqrt{2}}{2} - 2\right)^2 + \left(-1 - \frac{\sqrt{2}}{2}\right)^2 = \frac{9 + 4\sqrt{2}}{2} + \frac{3 + 2\sqrt{2}}{2} = 6 + 3\sqrt{2} > 4$$
したがって、この接点は円 $C_1$ の外部にあり、領域 $D$ に含まれない。
(iii) 交点を通過する場合
接点がともに領域外であったため、$l$ が $D$ から離れるのは、境界の端点である交点を通過するときである。 交点 $(0, 0)$ を通るとき、$k = 0 + 0 = 0$ である。 交点 $\left(\frac{4}{5}, -\frac{8}{5}\right)$ を通るとき、$k = \frac{4}{5} - \frac{8}{5} = -\frac{4}{5}$ である。
これらを比較すると、領域 $D$ 上で $k$ が最小となるのは点 $\left(\frac{4}{5}, -\frac{8}{5}\right)$ を通るときであり、その値は $-\frac{4}{5}$ である。
以上より、$k$ のとりうる値の範囲は $-\frac{4}{5} \leqq k \leqq 2 + 2\sqrt{2}$ である。
解説
不等式の表す領域を図示し、その領域内における $x+y$ の最大・最小を求める典型的な線形計画法の問題である。 直線を平行移動させて最大値・最小値の候補を探る際、「円に接するときが最大・最小になるはずだ」と思い込んでしまうと誤答につながる。本問の領域は2つの円の一部を境界としているため、円の接点における座標を求め、その接点がもう一方の不等式の条件を満たしているか(領域内に実在するか)を必ず確認しなければならない。接点が領域外にはみ出ている場合は、領域の「角」にあたる交点が最大・最小を与えることになり、本問はその良い練習となる。
答え
(1) 中心 $(2, 0)$、半径 $2$ の円の内部と、中心 $(0, -1)$、半径 $1$ の円の外部の共通部分(境界線を含む)。交点は $(0, 0), \left(\frac{4}{5}, -\frac{8}{5}\right)$。
(2) $-\frac{4}{5} \leqq k \leqq 2 + 2\sqrt{2}$
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