数学3 無限級数 問題 9 解説

方針・初手
(1) は無限等比級数である。公比の絶対値が $1$ より小さいことを確認し、公式を用いて和を求める。
(2) は(等差数列)×(等比数列)の形をした数列の無限級数である。このタイプの和は、第 $N$ 部分和を $T_N$ とおき、$T_N - (\text{公比}) \cdot T_N$ を計算して $T_N$ を閉じた式で表してから、極限をとるのが定石である。極限を求める際、必要に応じて二項定理とはさみうちの原理を用いる。
解法1
(1)
与えられた無限級数 $S_0$ は、初項 $\frac{1}{a}$、公比 $\frac{1}{a}$ の無限等比級数である。 条件より $a > 1$ であるから、公比について $0 < \frac{1}{a} < 1$ が成り立つ。 公比の絶対値が $1$ より小さいのでこの無限等比級数は収束し、その和は次のように求められる。
$$S_0 = \frac{\frac{1}{a}}{1 - \frac{1}{a}} = \frac{1}{a - 1}$$
(2)
求める無限級数 $S_1$ の第 $N$ 部分和を $T_N$ とおく。
$$T_N = \sum_{n=1}^{N} n a^{-n} = \frac{1}{a} + \frac{2}{a^2} + \frac{3}{a^3} + \cdots + \frac{N}{a^N}$$
両辺に $\frac{1}{a}$ を掛けると、
$$\frac{1}{a} T_N = \frac{1}{a^2} + \frac{2}{a^3} + \cdots + \frac{N-1}{a^N} + \frac{N}{a^{N+1}}$$
上の2式の辺々を引くと、
$$\begin{aligned} \left( 1 - \frac{1}{a} \right) T_N &= \frac{1}{a} + \left( \frac{2}{a^2} - \frac{1}{a^2} \right) + \cdots + \left( \frac{N}{a^N} - \frac{N-1}{a^N} \right) - \frac{N}{a^{N+1}} \\ &= \frac{1}{a} + \frac{1}{a^2} + \cdots + \frac{1}{a^N} - \frac{N}{a^{N+1}} \\ &= \sum_{n=1}^{N} \left(\frac{1}{a}\right)^n - \frac{N}{a^{N+1}} \end{aligned}$$
右辺の $\sum_{n=1}^{N} \left(\frac{1}{a}\right)^n$ は初項 $\frac{1}{a}$、公比 $\frac{1}{a}$ の等比数列の第 $N$ 項までの和であるから、
$$\left( 1 - \frac{1}{a} \right) T_N = \frac{\frac{1}{a} \left\{ 1 - \left(\frac{1}{a}\right)^N \right\}}{1 - \frac{1}{a}} - \frac{N}{a^{N+1}} = \frac{1}{a-1} \left( 1 - \frac{1}{a^N} \right) - \frac{N}{a^{N+1}}$$
ここで、$N \to \infty$ のときの極限を考える。 $a > 1$ より $0 < \frac{1}{a} < 1$ であるから、$\lim_{N \to \infty} \frac{1}{a^N} = 0$ である。 次に、$\lim_{N \to \infty} \frac{N}{a^{N+1}}$ について考える。$a > 1$ であるから、$a = 1 + h$ ($h > 0$) とおくことができる。 $N \geqq 2$ のとき、二項定理より、
$$a^{N+1} = (1 + h)^{N+1} = 1 + (N+1)h + \frac{(N+1)N}{2}h^2 + \cdots + h^{N+1} > \frac{N(N+1)}{2}h^2$$
が成り立つ。よって、
$$0 < \frac{N}{a^{N+1}} < \frac{N}{\frac{N(N+1)}{2}h^2} = \frac{2}{(N+1)h^2}$$
$N \to \infty$ のとき $\frac{2}{(N+1)h^2} \to 0$ であるから、はさみうちの原理により、
$$\lim_{N \to \infty} \frac{N}{a^{N+1}} = 0$$
したがって、極限は次のようになる。
$$\lim_{N \to \infty} \left( 1 - \frac{1}{a} \right) T_N = \frac{1}{a-1} (1 - 0) - 0 = \frac{1}{a-1}$$
$1 - \frac{1}{a} = \frac{a-1}{a} \neq 0$ であるから、両辺をこれで割って、
$$S_1 = \lim_{N \to \infty} T_N = \frac{a}{a-1} \cdot \frac{1}{a-1} = \frac{a}{(a-1)^2}$$
解説
無限等比級数の和と、(等差)×(等比)型の数列の無限級数の和を求める基本的な問題である。 (等差)×(等比)型の数列の和は、そのままでは公式が使えないため、公比を掛けたものをずらして引くことで等比数列の和を作り出す手法が不可欠である。 また、無限級数の和を求める際は、いきなり $\infty$ まで足すのではなく、必ず「第 $N$ 部分和を求めてから極限をとる」という手順を踏むことが重要である。 本解答では $\lim_{N \to \infty} \frac{N}{a^{N+1}} = 0$ となることの証明に二項定理を用いた。問題の要求レベルによっては既知として扱ってもよい極限であるが、厳密な答案を作成するためには、はさみうちの原理を用いて丁寧に論証することが望ましい。
答え
(1) $S_0 = \frac{1}{a-1}$
(2) $S_1 = \frac{a}{(a-1)^2}$
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