数学3 無限級数 問題 14 解説

方針・初手
(1) は問題文の指定通り、数学的帰納法を用いて証明する。$n=k+1$ のときの式変形において、$n=k$ での仮定を適用し、最終的に示したい式以上の値になることを示す。
(2) は、(1)で示した不等式を利用するために、$0<x<1$ という条件から $x = \frac{1}{1+h}$ ($h>0$) とおく典型的な置き換えを行う。その後、はさみうちの原理を用いて極限を求める。
(3) は、「等差数列$\times$等比数列」を項にもつ数列の和である。部分和 $S_n$ をおき、$S_n - x S_n$ を計算して和を閉じた式で表してから、$n \to \infty$ の極限をとる。この極限計算において(2)の結果を利用する。
解法1
(1)
数学的帰納法を用いて証明する。
[1] $n=1$ のとき
$$(1+h)^1 = 1+h$$
$$1+1\cdot h+\frac{1(1-1)}{2}h^2 = 1+h$$
よって、両辺が等しくなり、不等式は成り立つ。
[2] $n=k$ ($k$ は自然数) のとき、不等式が成り立つと仮定する。
すなわち、
$$(1+h)^k \geqq 1+kh+\frac{k(k-1)}{2}h^2$$
が成り立つと仮定する。
$n=k+1$ のとき、$h>0$ より $1+h>0$ であるから、仮定の不等式の両辺に $1+h$ を掛けると、
$$\begin{aligned} (1+h)^{k+1} &= (1+h)(1+h)^k \\ &\geqq (1+h)\left(1+kh+\frac{k(k-1)}{2}h^2\right) \\ &= 1+kh+\frac{k(k-1)}{2}h^2+h+kh^2+\frac{k(k-1)}{2}h^3 \\ &= 1+(k+1)h+\left\{\frac{k(k-1)}{2}+k\right\}h^2+\frac{k(k-1)}{2}h^3 \\ &= 1+(k+1)h+\frac{k(k+1)}{2}h^2+\frac{k(k-1)}{2}h^3 \end{aligned}$$
ここで、$k \geqq 1, h>0$ より $\frac{k(k-1)}{2}h^3 \geqq 0$ であるから、
$$(1+h)^{k+1} \geqq 1+(k+1)h+\frac{(k+1)k}{2}h^2$$
となり、$n=k+1$ のときも不等式は成り立つ。
[1], [2] より、すべての自然数 $n$ について、与えられた不等式が成り立つことが証明された。
(2)
$0<x<1$ であるから、$\frac{1}{x} > 1$ である。
したがって、$h>0$ を用いて $\frac{1}{x} = 1+h$、すなわち $x = \frac{1}{1+h}$ とおくことができる。
$n \geqq 2$ のとき、(1)の不等式において $1+nh > 0$ であるから、
$$(1+h)^n \geqq 1+nh+\frac{n(n-1)}{2}h^2 > \frac{n(n-1)}{2}h^2 > 0$$
各辺の逆数をとると、
$$0 < \frac{1}{(1+h)^n} < \frac{2}{n(n-1)h^2}$$
各辺に $n$ ($n>0$) を掛けて、
$$0 < \frac{n}{(1+h)^n} < \frac{2}{(n-1)h^2}$$
ここで、$\frac{n}{(1+h)^n} = nx^n$ であるから、
$$0 < nx^n < \frac{2}{(n-1)h^2}$$
$n \to \infty$ のとき、$\frac{2}{(n-1)h^2} \to 0$ である。
したがって、はさみうちの原理より、
$$\lim_{n \to \infty} nx^n = 0$$
よって、数列 $\{nx^n\}$ は $0$ に収束する。
(3)
求める無限級数の初項から第 $n$ 項までの部分和を $S_n$ とおく。
$$S_n = 2x+4x^2+6x^3+\cdots\cdots+2nx^n$$
両辺に $x$ を掛けると、
$$xS_n = 2x^2+4x^3+\cdots\cdots+2(n-1)x^n+2nx^{n+1}$$
辺々を引くと、
$$\begin{aligned} (1-x)S_n &= 2x+2x^2+2x^3+\cdots\cdots+2x^n-2nx^{n+1} \\ &= \frac{2x(1-x^n)}{1-x}-2nx^{n+1} \end{aligned}$$
$0<x<1$ より $1-x \neq 0$ であるから、両辺を $1-x$ で割ると、
$$S_n = \frac{2x(1-x^n)}{(1-x)^2}-\frac{2nx^{n+1}}{1-x}$$
ここで、$n \to \infty$ のとき、$0<x<1$ より $x^n \to 0$ である。
また、(2)の結果より $\lim_{n \to \infty} nx^n = 0$ であり、
$$\lim_{n \to \infty} nx^{n+1} = \lim_{n \to \infty} (nx^n) \cdot x = 0 \cdot x = 0$$
となる。
以上より、
$$\begin{aligned} \lim_{n \to \infty} S_n &= \frac{2x(1-0)}{(1-x)^2}-\frac{0}{1-x} \\ &= \frac{2x}{(1-x)^2} \end{aligned}$$
解説
極限における二項定理を用いた評価とはさみうちの原理、および「等差数列$\times$等比数列」の和の計算という、極めて典型的なテーマを組み合わせた誘導問題である。
(1)の不等式は二項定理から直接導くこともできるが、本問では数学的帰納法が指定されているため、指示に従って記述する必要がある。
(2)では、$0<x<1$ のときに $x = \frac{1}{1+h} \ (h>0)$ とおいて二項定理(本問では帰納法で証明した不等式)の評価に持ち込む手法が鍵となる。これは $nx^n \to 0 \ (0<x<1)$ を示す際の標準的な定石であるため、確実に押さえておきたい。
(3)の和の計算は、公比 $x$ を掛けてずらして引くことで等比数列の和を作り出す手法を用いる。最後に極限をとる際、(2)で証明した事実が $nx^{n+1} \to 0$ を示すための根拠として機能する。
答え
(1) 題意の不等式が成り立つことを示した。
(2) $\lim_{n \to \infty} nx^n = 0$ であることを示した。
(3) $\frac{2x}{(1-x)^2}$
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