数学3 無限級数 問題 25 解説

方針・初手
正五角形に関する典型的な図形とベクトルの融合問題である。(1)では、円に内接する四角形に対してトレミーの定理を用いるか、相似な三角形を見つけて辺の比を考えることで関係式を導出する。(2)では、図形の対称性から平行な線分を見つけ、ベクトルを実数倍で表現する。(3)および(4)は、(1)と(2)で得られた辺と対角線の長さの比(黄金比)を利用し、相似な図形の相似比から面積比を求めて無限等比級数の計算に帰着させる。
解法1
(1) 四角形 $ABCD$ は円に内接している。この四角形の各辺の長さは $AB = BC = CD = x$ であり、対角線の長さは $AC = BD = y$ である。 また、正五角形の性質により、すべての対角線の長さは等しいので $AD = y$ である。 四角形 $ABCD$ に対してトレミーの定理を用いると、
$$AB \cdot CD + BC \cdot AD = AC \cdot BD$$
が成り立つ。これに各長さを代入すると、
$$x \cdot x + x \cdot y = y \cdot y$$
$$x^2 + xy = y^2$$
よって、
$$x^2 = y(y-x)$$
が示された。
(2) 正五角形の対称性より、線分 $AD$ と線分 $BC$ は平行である。 したがって、長さの比を用いてベクトル $\overrightarrow{AD}$ を $\overrightarrow{BC}$ の定数倍で表すことができる。$AD = y$、$BC = x$ であるから、
$$\overrightarrow{AD} = \frac{y}{x} \overrightarrow{BC}$$
となる。 一方で、ベクトルの和の定義から、
$$\overrightarrow{AD} = \overrightarrow{AB} + \overrightarrow{BC} + \overrightarrow{CD} = \vec{a} + \overrightarrow{BC} + \vec{c}$$
と表すことができる。この2つの式から $\overrightarrow{AD}$ を消去すると、
$$\vec{a} + \overrightarrow{BC} + \vec{c} = \frac{y}{x} \overrightarrow{BC}$$
$$\left( \frac{y}{x} - 1 \right) \overrightarrow{BC} = \vec{a} + \vec{c}$$
となる。ここで、(1)で示した式 $x^2 + xy = y^2$ の両辺を $x^2$ で割ると、
$$1 + \frac{y}{x} = \left( \frac{y}{x} \right)^2$$
$$\left( \frac{y}{x} \right)^2 - \frac{y}{x} - 1 = 0$$
$x > 0, y > 0$ より $\frac{y}{x} > 0$ であるから、この2次方程式を解くと、
$$\frac{y}{x} = \frac{1+\sqrt{5}}{2}$$
を得る。ゆえに、
$$\frac{y}{x} - 1 = \frac{1+\sqrt{5}}{2} - 1 = \frac{\sqrt{5}-1}{2}$$
これをベクトルの式に代入して、
$$\frac{\sqrt{5}-1}{2} \overrightarrow{BC} = \vec{a} + \vec{c}$$
$$\overrightarrow{BC} = \frac{2}{\sqrt{5}-1} (\vec{a} + \vec{c})$$
分母を有理化すると、
$$\frac{2(\sqrt{5}+1)}{(\sqrt{5}-1)(\sqrt{5}+1)} = \frac{2(\sqrt{5}+1)}{5-1} = \frac{1+\sqrt{5}}{2}$$
となるので、
$$\overrightarrow{BC} = \frac{1+\sqrt{5}}{2} (\vec{a} + \vec{c})$$
と表せる。
(3) 対角線 $AC$ と $BD$ の交点を $P$、対角線 $BD$ と $CE$ の交点を $Q$ とする。このとき、線分 $PQ$ の長さが $R_2$ の一辺の長さとなる。 $\triangle PCD$ において、弧 $AB$ と弧 $BC$ に対する円周角より $\angle PDC = \angle PCD = 36^\circ$ ではなく、正しく角を追うと、弧 $AB$ に対する円周角は $\angle ADB = 36^\circ$ などである。 正五角形の1つの内角は $108^\circ$ であり、$\triangle BCD$ は $BC=CD=x$ の二等辺三角形であるから、
$$\angle CBD = \angle CDB = \frac{180^\circ - 108^\circ}{2} = 36^\circ$$
同様に $\triangle ABC$ を考えると、$\angle BAC = \angle BCA = 36^\circ$ である。 $\triangle PCD$ に着目すると、$\angle PDC = 36^\circ$ であり、$\angle PCD = \angle BCD - \angle BCA = 108^\circ - 36^\circ = 72^\circ$ である。 よって、$\angle DPC = 180^\circ - (36^\circ + 72^\circ) = 72^\circ$ となり、$\triangle PCD$ は $CD = DP = x$ の二等辺三角形である。 対称性から、交点 $Q$ についても $BQ = x$ となる。 線分 $BD$ 上において、点 $B, Q, P, D$ はこの順に並ぶ。 したがって、求める $R_2$ の一辺の長さ $PQ$ は、
$$PQ = BQ + DP - BD = x + x - y = 2x - y$$
となる。(2)より $y = \frac{1+\sqrt{5}}{2}x$ であるから、
$$2x - y = 2x - \frac{1+\sqrt{5}}{2}x = \frac{3-\sqrt{5}}{2}x$$
と表せる。
(4) すべての正五角形 $R_n$ は互いに相似である。 $R_1$ と $R_2$ の相似比を $r$ とおくと、(3)の結果より、
$$r = \frac{2x-y}{x} = \frac{3-\sqrt{5}}{2}$$
である。面積比は相似比の2乗に等しいから、$R_1$ と $R_2$ の面積比は $1 : r^2$ となる。
$$r^2 = \left( \frac{3-\sqrt{5}}{2} \right)^2 = \frac{9 - 6\sqrt{5} + 5}{4} = \frac{14 - 6\sqrt{5}}{4} = \frac{7 - 3\sqrt{5}}{2}$$
ここで、$R = r^2$ とおくと、$R_n$ の面積 $S_n$ は初項 $S_1$、公比 $R$ の等比数列となり、$S_k = S_1 R^{k-1}$ と表せる。 求める極限の式は、
$$\lim_{n\to\infty} \frac{1}{S_1} \sum_{k=1}^n (-1)^{k+1} S_k = \lim_{n\to\infty} \sum_{k=1}^n (-1)^{k+1} R^{k-1}$$
となる。これは初項 $1$、公比 $-R$ の無限等比数列の和である。 $| -R | = \frac{7 - 3\sqrt{5}}{2}$ であり、$2.23 < \sqrt{5} < 2.24$ より $6.69 < 3\sqrt{5} < 6.72$ であるから、
$$0 < \frac{7 - 3\sqrt{5}}{2} < \frac{7 - 6.69}{2} = 0.155 < 1$$
となり、この無限等比級数は収束する。その和は、
$$\frac{1}{1 - (-R)} = \frac{1}{1 + R}$$
となる。$R = \frac{7 - 3\sqrt{5}}{2}$ を代入して計算すると、
$$\frac{1}{1 + \frac{7-3\sqrt{5}}{2}} = \frac{2}{2 + 7 - 3\sqrt{5}} = \frac{2}{9 - 3\sqrt{5}}$$
分母を有理化して、
$$\frac{2(9 + 3\sqrt{5})}{(9 - 3\sqrt{5})(9 + 3\sqrt{5})} = \frac{18 + 6\sqrt{5}}{81 - 45} = \frac{18 + 6\sqrt{5}}{36} = \frac{3+\sqrt{5}}{6}$$
となる。
解答2
(1) $\triangle BCD$ と $\triangle PCD$ に着目する($P$ は対角線 $AC$ と $BD$ の交点)。 $\triangle BCD$ において、$BC=CD=x$ の二等辺三角形であり、$\angle BCD = 108^\circ$ より $\angle CBD = \angle CDB = 36^\circ$ である。 また、$\triangle ABC$ において $\angle BCA = 36^\circ$ より、$\angle PCD = 108^\circ - 36^\circ = 72^\circ$ である。 $\triangle PCD$ において、$\angle PDC = 36^\circ$、$\angle PCD = 72^\circ$ より $\angle DPC = 72^\circ$ となる。 したがって $\triangle PCD$ は $CD = DP = x$ の二等辺三角形である。 $\triangle BCD$ と $\triangle PCD$ は、$\angle BDC$ を共有し、底角が等しい二等辺三角形であるから互いに相似である。 相似比より、
$$BD : CD = CD : PD$$
$$y : x = x : (y - x)$$
よって、外項と内項の積が等しいので
$$x^2 = y(y-x)$$
が示された。
解説
正五角形に隠された「黄金比」をテーマにした問題である。(1)で対角線と一辺の長さの比を立式し、(2)でそれをベクトル表現に活かす流れは頻出である。(1)の証明はトレミーの定理が最も簡潔であるが、解法2のように相似な二等辺三角形を見つける方針でも無理なく導出できる。(3)の線分の長さは交点の順序を正しく把握し、対称性を活かして計算を省くことが重要である。(4)の無限等比級数の計算は、公比が $1$ より小さいことを確認してから公式を適用する。
答え
(1) 解説中の導出通り
(2) $\overrightarrow{BC} = \frac{1+\sqrt{5}}{2}(\vec{a} + \vec{c})$
(3) $\frac{3-\sqrt{5}}{2}x$
(4) $\frac{3+\sqrt{5}}{6}$
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