トップ 基礎問題 数学3 極限 極限 問題 15

数学3 極限 問題 15 解説

数学3 極限 問題 15 解説

方針・初手

絶対値を含む関数の和 $f(x) = \sum_{k=1}^{2n} |x - 3^k|$ の最小値を求める問題である。各項が $|x - a|$ の形をしているため、数直線上の距離の和と捉えることができる。

(1) では、$|A| + |B| \ge |A - B|$ という三角不等式を用いて、対称な位置にある項をペアにして評価する方法が最も簡潔である。または、$x$ の値によって絶対値の符号が切り替わることに着目し、各区間での一次関数の傾きを調べることでも解決できる。

(2) では、(1) で求めた $x$ の範囲における $f(x)$ の値を計算する。等比数列の和の公式を用いて $a_n$ を求めたのち、極限計算の定石に従って分母の最高位の項である $9^n$ で割る形を作る。

解法1

(1)

$f(x)$ は $2n$ 個の項の和である。これらの項を両端から順にペアにして、次のように $n$ 組の項の和として表す。

$$f(x) = \sum_{k=1}^{n} \left( |x - 3^k| + |x - 3^{2n-k+1}| \right)$$

任意の実数 $A, B$ について、三角不等式 $|A| + |B| \ge |A - B|$ が成り立つ。これを用いて各カッコ内の和を下から評価する。

$$|x - 3^k| + |3^{2n-k+1} - x| \ge \left| (x - 3^k) + (3^{2n-k+1} - x) \right| = 3^{2n-k+1} - 3^k$$

等号が成立するのは、$(x - 3^k)(3^{2n-k+1} - x) \ge 0$ のとき、すなわち $3^k \le x \le 3^{2n-k+1}$ のときである。

$f(x)$ が最小となるのは、すべての $k = 1, 2, \dots, n$ について同時に等号が成立するときである。これらの条件の共通範囲を考える。区間 $[3^k, 3^{2n-k+1}]$ は $k$ が大きくなるにつれて狭くなり、より内側に含まれていく。

したがって、すべての $k$ で同時に等号が成立するための最も厳しい条件は、$k=n$ のときの区間であり、その範囲は以下のようになる。

$$3^n \le x \le 3^{n+1}$$

よって、$f(x)$ を最小にする実数 $x$ の集合は $\{ x \mid 3^n \le x \le 3^{n+1} \}$ である。

(2)

(1) の結果より、$x$ が $3^n \le x \le 3^{n+1}$ の範囲にあるとき、$f(x)$ は最小値 $a_n$ をとる。このとき、各ペアで三角不等式の等号が成立しているため、次のように計算できる。

$$a_n = \sum_{k=1}^{n} (3^{2n-k+1} - 3^k) = \sum_{k=1}^{n} 3^{2n-k+1} - \sum_{k=1}^{n} 3^k$$

第1項の和について、$l = 2n-k+1$ とおくと、$k$ が $1$ から $n$ まで動くとき、$l$ は $2n$ から $n+1$ まで動くので、

$$\sum_{k=1}^{n} 3^{2n-k+1} = \sum_{l=n+1}^{2n} 3^l = \frac{3^{n+1}(3^n - 1)}{3 - 1} = \frac{3^{n+1}(3^n - 1)}{2}$$

第2項の和は初項 $3$、公比 $3$、項数 $n$ の等比数列の和であるから、

$$\sum_{k=1}^{n} 3^k = \frac{3(3^n - 1)}{3 - 1} = \frac{3(3^n - 1)}{2}$$

これらを代入して $a_n$ を求める。

$$a_n = \frac{3^{n+1}(3^n - 1)}{2} - \frac{3(3^n - 1)}{2} = \frac{(3^{n+1} - 3)(3^n - 1)}{2} = \frac{3(3^n - 1)^2}{2}$$

次に、求める極限を計算する。

$$\frac{a_n}{9^n} = \frac{3(3^n - 1)^2}{2 \cdot (3^n)^2} = \frac{3}{2} \left( \frac{3^n - 1}{3^n} \right)^2 = \frac{3}{2} \left( 1 - \frac{1}{3^n} \right)^2$$

$n \to \infty$ のとき $\frac{1}{3^n} \to 0$ となるから、

$$\lim_{n \to \infty} \frac{a_n}{9^n} = \frac{3}{2} (1 - 0)^2 = \frac{3}{2}$$

解法2

(1)

$2n$ 個の定数 $c_k = 3^k$ ($k=1, 2, \dots, 2n$) によって、実数全体は $2n+1$ 個の区間に分割される。関数 $f(x) = \sum_{k=1}^{2n} |x - c_k|$ は、各区間において $x$ の一次関数(または定数関数)となる。

$c_m \le x \le c_{m+1}$ ($1 \le m \le 2n-1$) の区間における $f(x)$ の式を考える。 $k \le m$ ならば $x \ge c_k$ より $|x - c_k| = x - c_k$ であり、$k > m$ ならば $x \le c_k$ より $|x - c_k| = c_k - x$ であるから、

$$f(x) = \sum_{k=1}^{m} (x - c_k) + \sum_{k=m+1}^{2n} (c_k - x) = m x - \sum_{k=1}^{m} c_k + \sum_{k=m+1}^{2n} c_k - (2n - m)x$$

$$f(x) = 2(m - n)x + (\text{定数})$$

この区間での一次関数の傾きは $2(m - n)$ である。 $m$ の値によって傾きの符号は次のように変わる。

また、$x < c_1$ の区間では傾きは $-2n < 0$、$x > c_{2n}$ の区間では傾きは $2n > 0$ である。 したがって、$f(x)$ は傾きが $0$ となる区間 $c_n \le x \le c_{n+1}$ で最小値をとる。 すなわち、$3^n \le x \le 3^{n+1}$ の範囲で最小となるため、求める集合は $\{ x \mid 3^n \le x \le 3^{n+1} \}$ である。

解説

$\sum |x - a_i|$ の形をした関数の最小値を求める典型的な問題である。このタイプの関数は、データ $a_1, a_2, \dots$ の中央値(メジアン)で最小値をとることが知られている。本問のようにデータの個数が偶数個($2n$ 個)の場合は、中央の2つの値の間($n$ 番目と $n+1$ 番目の間)で常に最小値が一定となる。

解法1のように三角不等式 $|A| + |B| \ge |A-B|$ を用いると、グラフを描かなくても簡潔に等号成立条件として区間を導き出せる。一方で、解法2のように絶対値を外して各区間での関数の増減(直線の傾き)を捉えるアプローチも、関数の大まかな形(下に凸な折れ線グラフ)を把握するうえで非常に重要である。

答え

(1) $\{ x \mid 3^n \le x \le 3^{n+1} \}$

(2) $a_n = \frac{3}{2}(3^n - 1)^2$, $\lim_{n \to \infty} \frac{a_n}{9^n} = \frac{3}{2}$

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