数学3 確率・極限 問題 6 解説

方針・初手
(1) は、4つのさいころの目の出方の全事象に対して、条件を満たす場合の数を直接求める基本的な確率の問題です。 (2) は、「少なくとも $(n-2)$ 個のさいころに同じ目がそろって出る」という事象の確率を求めます。特定の目(例えば1の目)が $n-2$ 回以上出る事象を定義し、その和事象の確率を考えます。ここで重要なのは、$n$ の値によって事象の排反性が変わることです。(1) の結果が $n=4$ のときの重複分(排反でない部分)を計算するための誘導になっていることに着目して場合分けを行います。
解法1
(1)
4個のさいころを同時に投げるとき、目の出方の全事象は $6^4 = 1296$ 通りである。
「$aabb$ という様に同じ目がちょうど2つずつ生じる」場合の数を求める。 まず、互いに異なる2種類の目 $a, b$ の選び方は、1から6の目の中から2つを選ぶ組み合わせなので
$$ {}_{6}\mathrm{C}_{2} = 15 \ (\text{通り}) $$
である。 次に、選んだ2種類の目が、4個のさいころのうちどのさいころに出るかの並べ方は
$$ {}_{4}\mathrm{C}_{2} = 6 \ (\text{通り}) $$
である。 したがって、条件を満たす目の出方は
$$ 15 \times 6 = 90 \ (\text{通り}) $$
となる。 以上より、求める確率は
$$ \frac{90}{1296} = \frac{5}{72} $$
である。
(2)
特定の目 $k$ ($k=1, 2, \dots, 6$)が、少なくとも $n-2$ 回出る事象を $A_k$ とおく。 事象 $A_k$ は、「目 $k$ が $n$ 回出る」「目 $k$ が $n-1$ 回出る」「目 $k$ が $n-2$ 回出る」のいずれかであり、これらは互いに排反である。 反復試行の確率より、事象 $A_k$ が起こる確率 $P(A_k)$ は
$$ P(A_k) = {}_{n}\mathrm{C}_{n} \left(\frac{1}{6}\right)^n + {}_{n}\mathrm{C}_{n-1} \left(\frac{1}{6}\right)^{n-1} \left(\frac{5}{6}\right)^1 + {}_{n}\mathrm{C}_{n-2} \left(\frac{1}{6}\right)^{n-2} \left(\frac{5}{6}\right)^2 $$
$$ = \frac{1 + n \cdot 5 + \frac{n(n-1)}{2} \cdot 25}{6^n} $$
$$ = \frac{2 + 10n + 25n^2 - 25n}{2 \cdot 6^n} $$
$$ = \frac{25n^2 - 15n + 2}{2 \cdot 6^n} $$
となる。 求める確率 $p_n$ は、少なくとも1種類の目が $n-2$ 回以上出る確率であるから、和事象 $A_1 \cup A_2 \cup \dots \cup A_6$ の確率である。 ここで、$n$ の値によって事象の排反性が異なるため、場合分けを行う。
(i) $n \ge 5$ のとき
2つの異なる目 $i, j$ が同時に $n-2$ 回以上出ると仮定する。このとき、必要なさいころの総数は少なくとも
$$ (n-2) + (n-2) = 2n-4 \ (\text{個}) $$
となる。しかし、$n \ge 5$ のとき
$$ 2n-4 = n + (n-4) \ge n+1 > n $$
となり、さいころの総数 $n$ 個を超えるため矛盾する。 したがって、事象 $A_1, A_2, \dots, A_6$ は互いに排反である。 よって、求める確率 $p_n$ は
$$ p_n = P(A_1 \cup A_2 \cup \dots \cup A_6) = \sum_{k=1}^6 P(A_k) $$
$$ = 6 \times \frac{25n^2 - 15n + 2}{2 \cdot 6^n} = \frac{25n^2 - 15n + 2}{2 \cdot 6^{n-1}} $$
となる。
(ii) $n = 4$ のとき
事象 $A_1, A_2, \dots, A_6$ は排反ではない。 2つの異なる目 $i, j$ が同時に $4-2=2$ 回以上出る事象 $A_i \cap A_j$ が存在する。さいころは全部で4個であるから、これは「目 $i$ が2回、かつ目 $j$ が2回出る」事象に他ならない。 (1) より、いずれか2種類の目が2回ずつ出る事象 $\bigcup_{i<j} (A_i \cap A_j)$ の確率は $\frac{5}{72}$ である。 また、3種類以上の目が同時に2回以上出ることは不可能である。 したがって、包除原理より
$$ p_4 = \sum_{k=1}^6 P(A_k) - P\left(\bigcup_{i<j} (A_i \cap A_j)\right) $$
となる。ここで $P(A_k)$ の式に $n=4$ を代入すると
$$ P(A_k) = \frac{25 \cdot 4^2 - 15 \cdot 4 + 2}{2 \cdot 6^4} = \frac{400 - 60 + 2}{2 \cdot 1296} = \frac{342}{2592} = \frac{171}{1296} $$
であるから
$$ p_4 = 6 \times \frac{171}{1296} - \frac{5}{72} = \frac{1026}{1296} - \frac{90}{1296} = \frac{936}{1296} = \frac{13}{18} $$
となる。
次に、極限 $\lim_{n \to \infty} \frac{p_{n+1}}{p_n}$ を求める。 $n \to \infty$ を考えるので、$n \ge 5$ のときの式を用いてよい。
$$ p_{n+1} = \frac{25(n+1)^2 - 15(n+1) + 2}{2 \cdot 6^n} = \frac{25n^2 + 35n + 12}{2 \cdot 6^n} $$
であるから
$$ \frac{p_{n+1}}{p_n} = \frac{25n^2 + 35n + 12}{2 \cdot 6^n} \times \frac{2 \cdot 6^{n-1}}{25n^2 - 15n + 2} $$
$$ = \frac{25n^2 + 35n + 12}{25n^2 - 15n + 2} \cdot \frac{1}{6} $$
$$ = \frac{25 + \frac{35}{n} + \frac{12}{n^2}}{25 - \frac{15}{n} + \frac{2}{n^2}} \cdot \frac{1}{6} $$
$n \to \infty$ のとき、$\frac{35}{n} \to 0$、$\frac{12}{n^2} \to 0$、$\frac{15}{n} \to 0$、$\frac{2}{n^2} \to 0$ となるので
$$ \lim_{n \to \infty} \frac{p_{n+1}}{p_n} = \frac{25}{25} \cdot \frac{1}{6} = \frac{1}{6} $$
と求まる。
解説
(2) において、$n$ の値による事象の排反性の違いに気づけるかが最大のポイントです。 特定の目が $n-2$ 回以上出る事象を考えたとき、$n \ge 5$ の場合は「ある目が3回以上出たら、別の目が3回以上出ることはさいころの個数的にあり得ない」ため、各事象は互いに排反となります。一方で $n=4$ の場合のみ、「ある目が2回、別の目が2回」という重複(事象の共通部分)が発生します。(1) の設問は、この $n=4$ における重複部分の確率を計算させるための誘導として機能しています。 極限の計算は、多項式の分数式において分母分子を最高次数の $n^2$ で割るという典型的な処理を行えば容易に求まります。
答え
(1)
$$ \frac{5}{72} $$
(2)
$$ p_n = \begin{cases} \frac{13}{18} & (n=4) \\ \frac{25n^2 - 15n + 2}{2 \cdot 6^{n-1}} & (n \ge 5) \end{cases} $$
$$ \lim_{n \to \infty} \frac{p_{n+1}}{p_n} = \frac{1}{6} $$
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