数学3 確率・極限 問題 7 解説

方針・初手
勝者の順列を具体的に書き出し、優勝者が決まらない(2連勝しない)ための条件を追っていく。対戦結果によって勝者がA, B, Cの間でどのように移り変わるかを調べ、確率計算における周期性に着目して規則化する。
解法1
(1) 第1回戦から順に、優勝者が決まらない場合の勝者を追う。 第1回戦の勝者は A または B である。
第1回戦の勝者が A の場合 第2回戦は A と C の対戦となる。優勝が決まらないためには C が勝つ必要がある(この時点での勝者の順列は AC)。 第3回戦は C と B の対戦となる。優勝が決まらないためには B が勝つ必要がある(順列は ACB)。 第4回戦で優勝が決まるためには、続く対戦で B が A に勝つ必要がある。このときの順列は ACBB である。
第1回戦の勝者が B の場合 第2回戦は B と C の対戦となる。優勝が決まらないためには C が勝つ必要がある(順列は BC)。 第3回戦は C と A の対戦となる。優勝が決まらないためには A が勝つ必要がある(順列は BCA)。 第4回戦で優勝が決まるためには、続く対戦で A が B に勝つ必要がある。このときの順列は BCAA である。
以上より、第4回戦で優勝者が決まる場合の各対戦の勝者の順列は ACBB と BCAA の2通りである。
(2)
- $F_2$ について 第2回戦で優勝者が決まるのは、順列が AA または BB のときである。 順列が AA となる確率は、第1回戦で A が B に勝ち、続く C との対戦でも A が勝つ確率であるから、$\frac{1}{2} \times (1-p)$ である。 順列が BB となる確率は、第1回戦で B が A に勝ち、続く C との対戦でも B が勝つ確率であるから、$\frac{1}{2} \times (1-p)$ である。 よって、
$$F_2 = \frac{1}{2}(1-p) + \frac{1}{2}(1-p) = 1-p$$
- $F_3$ について 第3回戦で優勝者が決まるのは、問題文にある通り順列が ACC または BCC のときである。 順列が ACC となる確率は、$\frac{1}{2} \times p \times p = \frac{1}{2}p^2$ である。 順列が BCC となる確率は、$\frac{1}{2} \times p \times p = \frac{1}{2}p^2$ である。 よって、
$$F_3 = \frac{1}{2}p^2 + \frac{1}{2}p^2 = p^2$$
- $F_4$ について (1)より、第4回戦で決まる順列は ACBB と BCAA である。 順列が ACBB となる確率は、$\frac{1}{2} \times p \times (1-p) \times \frac{1}{2} = \frac{1}{4}p(1-p)$ である。 順列が BCAA となる確率は、$\frac{1}{2} \times p \times (1-p) \times \frac{1}{2} = \frac{1}{4}p(1-p)$ である。 よって、
$$F_4 = \frac{1}{4}p(1-p) + \frac{1}{4}p(1-p) = \frac{1}{2}p(1-p)$$
(3) 優勝者が決まらないまま試合が続くとき、勝者の順列は以下の2パターンのいずれかとなる。 パターン1:A $\to$ C $\to$ B $\to$ A $\to$ C $\to$ B $\to \cdots$ パターン2:B $\to$ C $\to$ A $\to$ B $\to$ C $\to$ A $\to \cdots$
第 $3n$ 回戦 ($n \ge 2$) で優勝者が決まるためには、第 $3n-1$ 回戦までの勝者が上記のパターンに従い、第 $3n$ 回戦で第 $3n-1$ 回戦の勝者が再び勝つ必要がある。 勝者の並びは3試合を周期として繰り返されるため、第 $3n-1$ 回戦の勝者は、第2回戦の勝者と同じく C である。 したがって、第 $3n$ 回戦で優勝が決まる場合の勝者の順列は、 パターン1から派生する:A $\to$ C $\to$ B $\to \cdots \to$ A $\to$ C $\to$ C パターン2から派生する:B $\to$ C $\to$ A $\to \cdots \to$ B $\to$ C $\to$ C の2通りである。
パターン1の順列となる確率を考える。 この順列における各試合の勝者は、 $1, 4, 7, \dots, 3n-2$ 回戦:A (計 $n$ 回) $2, 5, 8, \dots, 3n-1$ 回戦:C (計 $n$ 回) $3, 6, 9, \dots, 3n-3$ 回戦:B (計 $n-1$ 回) 第 $3n$ 回戦:C (1回) である。 それぞれの試合でその勝者が勝つ確率は、 Aが勝つ(対B)確率は $\frac{1}{2}$ Cが勝つ(対AまたはB)確率は $p$ Bが勝つ(対C)確率は $1-p$ 第 $3n$ 回戦でCが勝つ(対待機者)確率は $p$ であるため、この順列が起こる確率は、
$$\left(\frac{1}{2}\right)^n p^n (1-p)^{n-1} \times p = \frac{1}{2^n} p^{n+1} (1-p)^{n-1}$$
となる。
パターン2についても、AとBの役割が入れ替わるだけで、それぞれの勝つ回数と確率は同じであるため、確率はパターン1と等しくなる。
よって、$F_{3n}$ はこれら2つの確率の和であり、
$$\begin{aligned} F_{3n} &= 2 \times \frac{1}{2^n} p^{n+1} (1-p)^{n-1} \\ &= \frac{1}{2^{n-1}} p^{n+1} (1-p)^{n-1} \\ &= p^2 \left\{ \frac{p(1-p)}{2} \right\}^{n-1} \end{aligned}$$
(4) (2)より $F_3 = p^2$ であり、(3)で求めた式は $n=1$ のときも $F_3 = p^2$ となり成り立つ。 したがって、数列 $\{F_{3n}\}$ は初項 $p^2$、公比 $r = \frac{p(1-p)}{2}$ の等比数列である。 ここで、$0 < p < 1$ より、
$$r = \frac{p(1-p)}{2} = \frac{1}{2} \left\{ \frac{1}{4} - \left( p - \frac{1}{2} \right)^2 \right\}$$
であるから、$0 < r \le \frac{1}{8}$ を満たす。 公比の絶対値が1より小さいため、無限等比級数 $\sum_{n=1}^{\infty} F_{3n}$ は収束し、その和は
$$\begin{aligned} \sum_{n=1}^{\infty} F_{3n} &= \frac{p^2}{1 - r} \\ &= \frac{p^2}{1 - \frac{p(1-p)}{2}} \\ &= \frac{2p^2}{2 - p + p^2} \end{aligned}$$
となる。
解説
状態遷移の考え方を背景とする確率と無限等比級数の問題である。 対戦の勝者がどのように推移すれば「優勝者が決まらない状態」が続くかを具体的に書き出し、周期性を見抜くことが鍵となる。(1), (2) はそのための誘導であり、ここで実験を重ねて規則性を正確に把握したい。 勝者の並びが3試合ごとに元の状態に戻ることに気づけば、(3) の立式は容易である。(4) では無限等比級数の和の公式を用いるが、その前提として公比が収束条件 $|r| < 1$ を満たすことの確認を忘れないように記述することが重要である。
答え
(1) ACBB, BCAA
(2) $F_2 = 1-p, F_3 = p^2, F_4 = \frac{1}{2}p(1-p)$
(3) $F_{3n} = p^2 \left\{ \frac{p(1-p)}{2} \right\}^{n-1}$
(4) $\frac{2p^2}{2 - p + p^2}$
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