トップ 基礎問題 数学3 極限 確率・極限 問題 8

数学3 確率・極限 問題 8 解説

数学3 確率・極限 問題 8 解説

方針・初手

印のついた面が「上面」「側面」「底面」のいずれにあるかの状態推移に着目し、確率漸化式を立てる。 $n$ 回の操作後に印のついた面が上面にある確率を $c_n$ とおくことで、常に $a_n + b_n + c_n = 1$ が成り立つことを利用して変数を減らすのが基本方針である。

解法1

$n$ 回の操作を行った後、印のついた面が側面にある確率を $a_n$、底面にある確率を $b_n$、上面にある確率を $c_n$ とおく。 これらは排反な事象であり、いずれかの状態にあるため、すべての自然数 $n$ に対して以下の関係が成り立つ。

$$a_n + b_n + c_n = 1$$

次に、1回の操作における各状態からの推移を考える。

上面にある場合 底面の4辺のどれを軸にして倒しても、上面は必ず側面に移動する。 したがって、側面に移動する確率は $1$ である。

底面にある場合 底面の4辺のどれを軸にして倒しても、底面は必ず側面に移動する。 したがって、側面に移動する確率は $1$ である。

側面にある場合 底面の4辺のうち、印のついた面に接する1辺を軸にして倒すと、底面に移動する(確率 $\frac{1}{4}$)。 印のついた面と平行な対辺を軸にして倒すと、上面に移動する(確率 $\frac{1}{4}$)。 残りの2辺のいずれかを軸にして倒すと、側面のままとなる(確率 $\frac{2}{4} = \frac{1}{2}$)。

初期状態について、最初は印のついた面が上面にあるため、1回操作を行うと必ず側面に来る。よって、以下のようになる。

$$a_1 = 1, \quad b_1 = 0, \quad c_1 = 0$$

(1) $n=1$ のとき、印のついた面は確実に側面にある。 さらに1回操作を行ったとき($n=2$ のとき)、側面から側面へと移動する確率が $a_2$ となるため、推移確率より以下のようになる。

$$a_2 = a_1 \times \frac{1}{2} = 1 \times \frac{1}{2} = \frac{1}{2}$$

(2) $n+1$ 回の操作後に印のついた面が側面にあるのは、以下の3つの排反な事象の和事象である。

これらを確率の式で表すと、以下のようになる。

$$a_{n+1} = c_n \times 1 + b_n \times 1 + a_n \times \frac{1}{2}$$

$$a_{n+1} = c_n + b_n + \frac{1}{2} a_n$$

ここで、$a_n + b_n + c_n = 1$ より $c_n + b_n = 1 - a_n$ であるから、これを代入する。

$$a_{n+1} = (1 - a_n) + \frac{1}{2} a_n$$

$$a_{n+1} = -\frac{1}{2} a_n + 1$$

(3) (2) で求めた漸化式を変形する。特性方程式 $\alpha = -\frac{1}{2} \alpha + 1$ を解くと $\alpha = \frac{2}{3}$ となるため、以下のように変形できる。

$$a_{n+1} - \frac{2}{3} = -\frac{1}{2} \left( a_n - \frac{2}{3} \right)$$

数列 $\left\{ a_n - \frac{2}{3} \right\}$ は、初項 $a_1 - \frac{2}{3} = 1 - \frac{2}{3} = \frac{1}{3}$、公比 $-\frac{1}{2}$ の等比数列である。 したがって、一般項は以下のようになる。

$$a_n - \frac{2}{3} = \frac{1}{3} \left( -\frac{1}{2} \right)^{n-1}$$

$$a_n = \frac{2}{3} + \frac{1}{3} \left( -\frac{1}{2} \right)^{n-1}$$

次に、$b_n$ について考える。 $n+1$ 回の操作後に印のついた面が底面にあるのは、$n$ 回目に側面にあり、そこから底面に推移した場合のみである。よって、すべての自然数 $n$ について以下の関係が成り立つ。

$$b_{n+1} = \frac{1}{4} a_n$$

したがって、$n \ge 2$ のとき、$b_n$ は以下のようになる。

$$b_n = \frac{1}{4} a_{n-1}$$

$$b_n = \frac{1}{4} \left\{ \frac{2}{3} + \frac{1}{3} \left( -\frac{1}{2} \right)^{n-2} \right\}$$

$$b_n = \frac{1}{6} + \frac{1}{12} \left( -\frac{1}{2} \right)^{n-2}$$

$$b_n = \frac{1}{6} - \frac{1}{6} \left( -\frac{1}{2} \right)^{n-1}$$

ここで、$n=1$ を代入すると $b_1 = \frac{1}{6} - \frac{1}{6} \left( -\frac{1}{2} \right)^0 = 0$ となり、初期条件と一致するため、この式は $n=1$ のときも成り立つ。 最後に、極限を求める。

$$\lim_{n\to\infty} \left( -\frac{1}{2} \right)^{n-1} = 0$$

であるから、

$$\lim_{n\to\infty} b_n = \frac{1}{6}$$

解説

状態の推移確率を考えて漸化式を立てる、マルコフ連鎖の典型問題である。 3つの状態「上面」「側面」「底面」それぞれの確率を文字でおき、確率の和が常に $1$ になる性質(全確率の法則)を用いて文字を消去し、1つの確率に関する漸化式に帰着させるのが定石である。 (3) では、求めた漸化式から $a_n$ を導出し、その結果を一つずらして $b_n$ を求めるという手順を踏むが、$n \ge 2$ で立式した後に $n=1$ での成立確認を忘れないようにしたい。また、極限の計算では等比数列の極限の基本事項を用いるだけで容易に求まる。

答え

(1) $\frac{1}{2}$

(2) $a_{n+1} = -\frac{1}{2} a_n + 1$

(3) $b_n = \frac{1}{6} - \frac{1}{6} \left( -\frac{1}{2} \right)^{n-1}$

$\lim_{n\to\infty} b_n = \frac{1}{6}$

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