数学3 確率・極限 問題 12 解説

方針・初手
確率の漸化式を立てて極限を求める典型問題である。
(1)、(2) は $n=2, 3$ のときの具体的な確率を求める。(2) まではすべての事象を数え上げても解けるが、直前の状態から次の状態への遷移を考えることで計算量を減らすことができる。
(3) はその「状態遷移」の考え方を一般化して漸化式を立式する。(4) は求めた漸化式から一般項を出し、極限を計算する。
解法1
(1)
2回さいころを投げたときの目の出方は $6^2 = 36$ 通りである。 出た目の和が $7$ の倍数となるのは、和が $7$ になるときのみである。 そのような目の組 $(a, b)$ は、$(1, 6), (2, 5), (3, 4), (4, 3), (5, 2), (6, 1)$ の $6$ 通りである。 よって、求める確率は
$$p_2 = \frac{6}{36} = \frac{1}{6}$$
(2)
3回さいころを投げたときの目の出方は $6^3 = 216$ 通りである。 出た目の和は $3$ 以上 $18$ 以下の整数をとるため、$7$ の倍数となるのは、和が $7$ または $14$ のときである。 3回の目を $(a, b, c)$ とする。
(i) 和が $7$ になる場合 目の組み合わせは、$(1, 1, 5)$ とその並べ替え($3$ 通り)、$(1, 2, 4)$ とその並べ替え($6$ 通り)、$(1, 3, 3)$ とその並べ替え($3$ 通り)、$(2, 2, 3)$ とその並べ替え($3$ 通り)である。 合計 $3 + 6 + 3 + 3 = 15$ 通り。
(ii) 和が $14$ になる場合 目の組み合わせは、$(2, 6, 6)$ とその並べ替え($3$ 通り)、$(3, 5, 6)$ とその並べ替え($6$ 通り)、$(4, 4, 6)$ とその並べ替え($3$ 通り)、$(4, 5, 5)$ とその並べ替え($3$ 通り)である。 合計 $3 + 6 + 3 + 3 = 15$ 通り。
これらは互いに排反であるから、和が $7$ の倍数となる目の出方は $15 + 15 = 30$ 通り。 よって、求める確率は
$$p_3 = \frac{30}{216} = \frac{5}{36}$$
(3)
$n+1$ 回投げて出た目の和が $7$ の倍数となるのは、以下の2つの事象のいずれかが起こる場合である。
(i) $n$ 回目までの和が $7$ の倍数であり、$n+1$ 回目に $7$ の倍数の目が出る場合。 さいころの目は $1$ から $6$ までであり $7$ の倍数はないため、この事象が起こる確率は $0$ である。
(ii) $n$ 回目までの和が $7$ の倍数でなく、$n+1$ 回目の目を加えると $7$ の倍数になる場合。 $n$ 回目までの和は $7$ の倍数ではないため、$7$ で割った余りは $1, 2, 3, 4, 5, 6$ のいずれかである。その余りを $r$ とすると、$n+1$ 回目に出る目が $7-r$ であれば、和が $7$ の倍数となる。 $r$ が $1$ から $6$ のいずれであっても、$7-r$ は $1$ から $6$ の整数の中にただ1つ存在する。したがって、このような目が出る確率は $\frac{1}{6}$ である。 $n$ 回目までの和が $7$ の倍数でない確率は $1-p_n$ であるから、この事象が起こる確率は $\frac{1}{6}(1-p_n)$ である。
事象 (i) と (ii) は互いに排反であるから、
$$p_{n+1} = p_n \times 0 + (1 - p_n) \times \frac{1}{6}$$
$$p_{n+1} = -\frac{1}{6}p_n + \frac{1}{6}$$
(4)
(3) で求めた漸化式を変形すると、特性方程式 $\alpha = -\frac{1}{6}\alpha + \frac{1}{6}$ より $\alpha = \frac{1}{7}$ となることから、
$$p_{n+1} - \frac{1}{7} = -\frac{1}{6} \left( p_n - \frac{1}{7} \right)$$
となる。数列 $\{p_n - \frac{1}{7}\}$ は公比 $-\frac{1}{6}$ の等比数列である。 ここで、1回投げて出た目が $7$ の倍数になることはないため $p_1 = 0$ であり、初項は $p_1 - \frac{1}{7} = -\frac{1}{7}$ となる。 したがって、数列 $\{p_n - \frac{1}{7}\}$ の一般項は
$$p_n - \frac{1}{7} = -\frac{1}{7} \left( -\frac{1}{6} \right)^{n-1}$$
$$p_n = \frac{1}{7} - \frac{1}{7} \left( -\frac{1}{6} \right)^{n-1}$$
と表せる。 $n \to \infty$ のとき $\left( -\frac{1}{6} \right)^{n-1} \to 0$ となるから、
$$\lim_{n \to \infty} p_n = \frac{1}{7}$$
解法2
(2) について、事象の遷移を利用して計算する別解を示す。((1), (3), (4) は解法1と同様)
(2)
$n$ 回目までの出た目の和を $S_n$ とする。3回投げて出た目の和 $S_3$ が $7$ の倍数になるのは、以下の2つの場合が考えられる。
(i) $S_2$ が $7$ の倍数であり、3回目に $7$ の倍数の目が出る場合。 さいころの目は $1$ から $6$ までなので、この確率は $0$ である。
(ii) $S_2$ が $7$ の倍数でなく、3回目に適切な目が出て $S_3$ が $7$ の倍数になる場合。 $S_2$ を $7$ で割った余りを $r$ ($1 \le r \le 6$) とすると、3回目に $7-r$ の目が出ればよい。そのような目は $1$ から $6$ の中にただ1つ存在するので、この確率は $\frac{1}{6}$ である。
(1) より $S_2$ が $7$ の倍数になる確率 $p_2$ は $\frac{1}{6}$ であるから、$S_2$ が $7$ の倍数でない確率は $1 - \frac{1}{6} = \frac{5}{6}$ である。 これらは排反事象であるから、
$$p_3 = p_2 \times 0 + (1 - p_2) \times \frac{1}{6}$$
$$p_3 = \frac{1}{6} \times 0 + \frac{5}{6} \times \frac{1}{6} = \frac{5}{36}$$
解説
「$n$ 回目までの状態」から「$n+1$ 回目の状態」がどのように移り変わるかを考える、確率漸化式の基本となる問題である。
ポイントは、ある数を $7$ で割った余りが $1$ から $6$ のいずれであっても、そこに $1$ から $6$ のうち特定の1つの数を足せば必ず $7$ の倍数を作れるという性質である。これにより、直前の和の具体的な値に関わらず、「$7$ の倍数であるか、そうでないか」の2状態のみで漸化式を立てることができる。
解法2に示したように、(2) の時点で漸化式的な考え方に気付くことができれば、数え上げの手間と計算ミスのリスクを大幅に減らすことができ、そのまま (3) の立式へとスムーズに繋がる。極限値が $\frac{1}{7}$ になることは、試行を無限に繰り返すと余りが $0$ から $6$ までの $7$ つの状態で均等に分布することと直観的に一致する。
答え
(1) $p_2 = \frac{1}{6}$
(2) $p_3 = \frac{5}{36}$
(3) $p_{n+1} = -\frac{1}{6}p_n + \frac{1}{6}$
(4) $\lim_{n \to \infty} p_n = \frac{1}{7}$
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