トップ 基礎問題 数学3 極限 確率・極限 問題 17

数学3 確率・極限 問題 17 解説

数学3 確率・極限 問題 17 解説

方針・初手

$n$ 回目の状態が $(n-1)$ 回目の結果のみに依存する確率の推移を考える、典型的な漸化式の問題である。 (1)は、$(n-1)$ 回目に赤玉を取り出すか白玉を取り出すかで場合分けをして、$n$ 回目の確率 $P_n$ を求める。 (2)は、1回目に赤玉を取り出すという事象を固定したまま、$(n-1)$ 回目から $n$ 回目への推移を考える。事象の積を用いて確率を立式するとよい。 (3)は、(2)で求めた2項間漸化式を解き、極限を計算する。

解法1

(1)

$n$ 回目の操作において箱 $A_n$ に入れられる玉は、$(n-1)$ 回目に取り出された玉であるから、赤玉または白玉のいずれかである。

$(n-1)$ 回目に赤玉を取り出す確率は $P_{n-1}$ である。この玉を箱 $A_n$ に入れると、$A_n$ の中身はもともとある赤玉1個、白玉1個と合わせて、赤玉2個、白玉1個の合計3個となる。このとき、$n$ 回目に赤玉を取り出す確率は $\frac{2}{3}$ である。

$(n-1)$ 回目に白玉を取り出す確率は $1 - P_{n-1}$ である。この玉を箱 $A_n$ に入れると、$A_n$ の中身は赤玉1個、白玉2個の合計3個となる。このとき、$n$ 回目に赤玉を取り出す確率は $\frac{1}{3}$ である。

これら2つの場合は互いに排反であるから、全確率の定理より、

$$P_n = P_{n-1} \times \frac{2}{3} + (1 - P_{n-1}) \times \frac{1}{3}$$

これを整理して、

$$P_n = \frac{1}{3}P_{n-1} + \frac{1}{3}$$

(2)

$k$ 回目に赤玉を取り出す事象を $R_k$、白玉を取り出す事象を $W_k$ と表す。 定義より、$Q_n = P(R_1 \cap R_n)$ である。

$n$ 回目に赤玉が取り出される事象 $R_n$ は、$(n-1)$ 回目の結果によって2つに排反に分けられるため、事象 $R_1 \cap R_n$ は以下のように分解できる。

$$R_1 \cap R_n = (R_1 \cap R_{n-1} \cap R_n) \cup (R_1 \cap W_{n-1} \cap R_n)$$

したがって、確率は次のように計算できる。

$$P(R_1 \cap R_n) = P(R_1 \cap R_{n-1}) \times P(R_n \mid R_1 \cap R_{n-1}) + P(R_1 \cap W_{n-1}) \times P(R_n \mid R_1 \cap W_{n-1})$$

ここで、$n$ 回目の結果は $(n-1)$ 回目の結果のみに依存するため、1回目の結果は $n$ 回目の条件付き確率に影響を与えない。すなわち、

$$P(R_n \mid R_1 \cap R_{n-1}) = P(R_n \mid R_{n-1}) = \frac{2}{3}$$

$$P(R_n \mid R_1 \cap W_{n-1}) = P(R_n \mid W_{n-1}) = \frac{1}{3}$$

また、$P(R_1 \cap R_{n-1}) = Q_{n-1}$ である。 事象 $R_1 \cap W_{n-1}$ は、事象 $R_1$ から事象 $R_1 \cap R_{n-1}$ を除いたものであるから、

$$P(R_1 \cap W_{n-1}) = P(R_1) - P(R_1 \cap R_{n-1}) = P_1 - Q_{n-1}$$

1回目に $A_1$ から赤玉を取り出す確率は、箱 $A_1$ に赤玉 $a$ 個と白玉 1 個が入っていることから、

$$P_1 = \frac{a}{a+1}$$

である。

これらを代入して、

$$Q_n = Q_{n-1} \times \frac{2}{3} + \left( \frac{a}{a+1} - Q_{n-1} \right) \times \frac{1}{3}$$

整理すると、

$$Q_n = \frac{1}{3}Q_{n-1} + \frac{a}{3(a+1)}$$

(3)

(2)で求めた漸化式を変形する。特性方程式 $\alpha = \frac{1}{3}\alpha + \frac{a}{3(a+1)}$ を解くと $\alpha = \frac{a}{2(a+1)}$ となるから、

$$Q_n - \frac{a}{2(a+1)} = \frac{1}{3} \left( Q_{n-1} - \frac{a}{2(a+1)} \right)$$

したがって、数列 $\left\{ Q_n - \frac{a}{2(a+1)} \right\}$ は、初項 $Q_1 - \frac{a}{2(a+1)}$、公比 $\frac{1}{3}$ の等比数列である。 初項は $Q_1 = P_1 = \frac{a}{a+1}$ を用いて計算すると、

$$Q_1 - \frac{a}{2(a+1)} = \frac{a}{a+1} - \frac{a}{2(a+1)} = \frac{a}{2(a+1)}$$

よって、一般項は、

$$Q_n - \frac{a}{2(a+1)} = \frac{a}{2(a+1)} \left( \frac{1}{3} \right)^{n-1}$$

$$Q_n = \frac{a}{2(a+1)} \left\{ 1 + \left( \frac{1}{3} \right)^{n-1} \right\}$$

$n \to \infty$ のとき、$\left( \frac{1}{3} \right)^{n-1} \to 0$ であるから、

$$\lim_{n \to \infty} Q_n = \frac{a}{2(a+1)}$$

解説

推移確率を用いた漸化式の立式がテーマの問題である。(1)は典型的な立式であるが、(2)の $Q_n$ についてどのように処理するかがポイントとなる。 $Q_n$ は「1回目と $n$ 回目の両方で赤玉が出る」という積事象の確率であるが、1回目の状態を $R_1$ と固定した上で、$(n-1)$ 回目が赤玉か白玉かで場合分けをする($P(R_1 \cap W_{n-1}) = P(R_1) - P(R_1 \cap R_{n-1})$ を用いる)手法は、確率漸化式において応用範囲の広い重要なテクニックである。

答え

(1)

$$P_n = \frac{1}{3} P_{n-1} + \frac{1}{3}$$

(2)

$$Q_n = \frac{1}{3} Q_{n-1} + \frac{a}{3(a+1)}$$

(3)

$$\lim_{n \to \infty} Q_n = \frac{a}{2(a+1)}$$

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