数学3 はさみうち 問題 5 解説

方針・初手
(1) は基本的な不等式の証明である。$x>0$ において、各辺が正であることを確認した上で、辺々の差をとるか、各辺を平方して比較すればよい。
(2) は極限の計算であるが、和の中身が $\frac{k}{n^2}$ となっているため、区分求積法を直接適用することができない。この形を見たときは、(1) で証明した不等式を利用し、式を評価して「はさみうちの原理」に持ち込むことを考える。
解法1
(1) $x > 0$ であるから、$1+x > 1$ となる。 両辺の正の平方根をとると、
$$ \sqrt{1+x} > \sqrt{1} = 1 $$
が成り立つ。よって、$1 < \sqrt{1+x}$ である。 次に、$\sqrt{1+x}$ と $1+x$ の大小関係を調べる。$x > 0$ より、$\sqrt{1+x} > 0$ かつ $1+x > 0$ であるため、平方して比較する。
$$ (1+x)^2 - (\sqrt{1+x})^2 = (1+x)^2 - (1+x) = (1+x)\{(1+x)-1\} = x(1+x) $$
$x > 0$ より $x(1+x) > 0$ であるから、
$$ (\sqrt{1+x})^2 < (1+x)^2 $$
が成り立つ。両辺ともに正であるため、平方根をとると、
$$ \sqrt{1+x} < 1+x $$
が得られる。 以上より、$x > 0$ のとき $1 < \sqrt{1+x} < 1+x$ が成り立つことが示された。
(2) $n$ は自然数とする。$k = 1, 2, \dots, n$ のとき、$\frac{k}{n^2} > 0$ である。 (1) の結果において $x = \frac{k}{n^2}$ とおくと、
$$ 1 < \sqrt{1+\frac{k}{n^2}} < 1+\frac{k}{n^2} $$
が成り立つ。この不等式の各辺について $k=1$ から $n$ までの和をとり、$\frac{1}{n}$ を掛けると、
$$ \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n 1 < \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \sqrt{1+\frac{k}{n^2}} < \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \left( 1+\frac{k}{n^2} \right) $$
となる。ここで、左辺を計算すると、
$$ \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n 1 = \frac{1}{n} \cdot n = 1 $$
となる。また、右辺を計算すると、
$$ \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \left( 1+\frac{k}{n^2} \right) = \frac{1}{n} \left( \sum_{k=1}^n 1 + \frac{1}{n^2} \sum_{k=1}^n k \right) = \frac{1}{n} \left( n + \frac{1}{n^2} \cdot \frac{n(n+1)}{2} \right) = 1 + \frac{n(n+1)}{2n^3} = 1 + \frac{1}{2n}\left(1+\frac{1}{n}\right) $$
となる。 $n \to \infty$ のとき、$\frac{1}{2n}\left(1+\frac{1}{n}\right) \to 0$ であるから、右辺の極限は、
$$ \lim_{n \to \infty} \left\{ 1 + \frac{1}{2n}\left(1+\frac{1}{n}\right) \right\} = 1 $$
となる。 以上より、左辺と右辺の極限がともに $1$ となるため、はさみうちの原理より、
$$ \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \sqrt{1+\frac{k}{n^2}} = 1 $$
が成り立つ。
解説
(2)の和の極限は、式中に $\frac{1}{n}$ と $\sum$ があるため区分求積法を連想しやすい。しかし、ルートの中の項が $\frac{k}{n}$ ではなく $\frac{k}{n^2}$ となっているため、関数 $f(x)$ を用いて $\frac{1}{n}\sum f\left(\frac{k}{n}\right)$ の形を作ることができない。
このような、直接極限を求められない和の極限問題では、各項を適当な式で評価して不等式を作り、「はさみうちの原理」を利用するのが定石である。本問では (1) がその評価のための露骨な誘導となっているため、(1)の $x$ に和の中身の対応する部分(今回は $\frac{k}{n^2}$)を代入してシグマ計算を行うという方針にスムーズに移行できるかが鍵となる。
答え
(1) 題意の通り証明された。(略解等は本文参照)
(2) $1$
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