数学3 接線・極限との複合 問題 79 解説

方針・初手
指数関数 $e^{-ax}$ が多項式より速く減少することを利用する問題である。
まず $I_0(t)$ を直接計算する。次に $I_{k+1}(t)$ を部分積分して $I_k(t)$ との漸化式を作る。最後はその漸化式と数学的帰納法により、$I_k(t)$ の極限を求める。
解法1
$a>0$ より、まず
$$ I_0(t)=\int_0^t e^{-ax},dx $$
を計算する。
$$ I_0(t)=\left[-\frac{1}{a}e^{-ax}\right]_0^t =\frac{1-e^{-at}}{a} $$
ここで $a>0$ であるから、$t\to\infty$ のとき $e^{-at}\to 0$ である。したがって $I_0(t)$ は収束し、
$$ \lim_{t\to\infty}I_0(t)=\frac{1}{a} $$
である。
次に、$I_{k+1}(t)$ を $I_k(t)$ で表す。$k$ は負でない整数であるから、$x^{k+1}$ は微分可能である。
$$ I_{k+1}(t)=\int_0^t x^{k+1}e^{-ax},dx $$
において、部分積分を用いる。$u=x^{k+1}$、$dv=e^{-ax},dx$ とおくと、
$$ du=(k+1)x^k,dx,\qquad v=-\frac{1}{a}e^{-ax} $$
である。よって
$$ \begin{aligned} I_{k+1}(t) &=\left[-\frac{x^{k+1}}{a}e^{-ax}\right]_0^t +\frac{k+1}{a}\int_0^t x^k e^{-ax},dx \\ &=-\frac{t^{k+1}}{a}e^{-at} +\frac{k+1}{a}I_k(t). \end{aligned} $$
したがって
$$ I_{k+1}(t)=\frac{k+1}{a}I_k(t)-\frac{t^{k+1}}{a}e^{-at} $$
である。
最後に、$I_k(t)$ の収束と極限を示す。
$k=0$ のときはすでに
$$ \lim_{t\to\infty}I_0(t)=\frac{1}{a} $$
を示した。
ある負でない整数 $k$ に対して $I_k(t)$ が収束し、
$$ \lim_{t\to\infty}I_k(t)=\frac{k!}{a^{k+1}} $$
であると仮定する。このとき、先ほどの漸化式より
$$ I_{k+1}(t)=\frac{k+1}{a}I_k(t)-\frac{t^{k+1}}{a}e^{-at} $$
である。問題文で与えられた
$$ \lim_{t\to\infty}t^{k+1}e^{-at}=0 $$
を用いると、
$$ \begin{aligned} \lim_{t\to\infty}I_{k+1}(t) &=\frac{k+1}{a}\lim_{t\to\infty}I_k(t) -\frac{1}{a}\lim_{t\to\infty}t^{k+1}e^{-at} \\ &=\frac{k+1}{a}\cdot \frac{k!}{a^{k+1}} \\ &=\frac{(k+1)!}{a^{k+2}}. \end{aligned} $$
したがって、$I_{k+1}(t)$ も収束し、その極限は
$$ \frac{(k+1)!}{a^{k+2}} $$
である。
数学的帰納法により、すべての負でない整数 $k$ に対して $I_k(t)$ は $t\to\infty$ で収束し、
$$ \lim_{t\to\infty}I_k(t)=\frac{k!}{a^{k+1}} $$
が成り立つ。
解説
この問題の中心は、部分積分によって $I_{k+1}(t)$ と $I_k(t)$ を結ぶ漸化式を作ることである。
指数関数 $e^{-ax}$ を含む積分では、$e^{-ax}$ を積分する側に回すと次数が下がる漸化式が得られやすい。ここでは
$$ I_{k+1}(t)=\frac{k+1}{a}I_k(t)-\frac{t^{k+1}}{a}e^{-at} $$
となり、最後の項は $t\to\infty$ で $0$ に収束する。したがって極限だけを見ると
$$ \lim_{t\to\infty}I_{k+1}(t) =\frac{k+1}{a}\lim_{t\to\infty}I_k(t) $$
という単純な漸化式になる。
初期値が
$$ \lim_{t\to\infty}I_0(t)=\frac{1}{a} $$
であるため、極限は順に
$$ \frac{1}{a},\quad \frac{1}{a^2},\quad \frac{2}{a^3},\quad \frac{3!}{a^4},\ldots $$
となり、一般に
$$ \frac{k!}{a^{k+1}} $$
である。
答え
(1)
$$ I_0(t)=\frac{1-e^{-at}}{a} $$
より、$t\to\infty$ のとき $I_0(t)$ は収束し、
$$ \lim_{t\to\infty}I_0(t)=\frac{1}{a} $$
である。
(2)
$$ I_{k+1}(t)=\frac{k+1}{a}I_k(t)-\frac{t^{k+1}}{a}e^{-at} $$
である。
(3)
すべての負でない整数 $k$ に対して、$t\to\infty$ のとき $I_k(t)$ は収束し、
$$ \lim_{t\to\infty}I_k(t)=\frac{k!}{a^{k+1}} $$
である。
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