数学3 その他応用 問題 26 解説

方針・初手
積分の中に $x$ が含まれているので、まず
$$ I(x)=\int_0^x (x-t)f(t),dt $$
とおき、微分して積分方程式を通常の微分方程式に直す。さらに $x=0$ を代入して初期値 $f(0)$ を求める。
解法1
(1)
$$ I(x)=\int_0^x (x-t)f(t),dt $$
とおく。$f(x)$ は微分可能であるから連続であり、積分の微分公式を用いることができる。
$$ \begin{aligned} I'(x) &=\int_0^x \frac{\partial}{\partial x}{(x-t)f(t)},dt+(x-x)f(x) \\ &=\int_0^x f(t),dt \end{aligned} $$
したがって、与式は
$$ \int_0^x f(t),dt+f(x)=e^{-x}\sin x $$
となる。
ここで $x=0$ を代入すると、
$$ f(0)=0 $$
である。
次に、両辺を $x$ で微分する。
$$ f(x)+f'(x)=\frac{d}{dx}\left(e^{-x}\sin x\right) $$
右辺を計算すると、
$$ \frac{d}{dx}\left(e^{-x}\sin x\right) =e^{-x}\cos x-e^{-x}\sin x =e^{-x}(\cos x-\sin x) $$
よって
$$ f'(x)+f(x)=e^{-x}(\cos x-\sin x) $$
である。両辺に $e^x$ をかけると、
$$ e^x f'(x)+e^x f(x)=\cos x-\sin x $$
左辺は積の微分により
$$ \frac{d}{dx}\left(e^x f(x)\right) $$
に等しい。したがって、
$$ \frac{d}{dx}\left(e^x f(x)\right)=\cos x-\sin x $$
が成り立つ。
(2)
(1) より
$$ \frac{d}{dx}\left(e^x f(x)\right)=\cos x-\sin x $$
である。両辺を $0$ から $x$ まで積分する。
$$ e^x f(x)-f(0)=\int_0^x(\cos t-\sin t),dt $$
$f(0)=0$ であるから、
$$ e^x f(x)=\left[\sin t+\cos t\right]_0^x $$
よって
$$ e^x f(x)=\sin x+\cos x-1 $$
したがって
$$ f(x)=e^{-x}(\sin x+\cos x-1) $$
である。
最大値・最小値を求めるために微分する。
$$ \begin{aligned} f'(x) &=\frac{d}{dx}\left\{e^{-x}(\sin x+\cos x-1)\right\} \\ &=e^{-x}(\cos x-\sin x)-e^{-x}(\sin x+\cos x-1) \\ &=e^{-x}(1-2\sin x) \end{aligned} $$
$e^{-x}>0$ より、$f'(x)$ の符号は $1-2\sin x$ の符号で決まる。
$$ f'(x)=0 $$
となるのは
$$ \sin x=\frac12 $$
すなわち、$0\le x\le 2\pi$ において
$$ x=\frac{\pi}{6},\ \frac{5\pi}{6} $$
である。
各点での値を調べる。
$$ f(0)=0 $$
$$ f\left(\frac{\pi}{6}\right) =e^{-\pi/6}\left(\frac12+\frac{\sqrt3}{2}-1\right) =\frac{\sqrt3-1}{2}e^{-\pi/6} $$
$$ f\left(\frac{5\pi}{6}\right) =e^{-5\pi/6}\left(\frac12-\frac{\sqrt3}{2}-1\right) =-\frac{\sqrt3+1}{2}e^{-5\pi/6} $$
$$ f(2\pi)=0 $$
また、
$$ f'(x)=e^{-x}(1-2\sin x) $$
より、$f(x)$ は $0<x<\frac{\pi}{6}$ で増加し、$\frac{\pi}{6}<x<\frac{5\pi}{6}$ で減少し、$\frac{5\pi}{6}<x<2\pi$ で増加する。
したがって、最大値は $x=\frac{\pi}{6}$ でとり、最小値は $x=\frac{5\pi}{6}$ でとる。
解説
この問題の中心は、積分方程式を微分方程式に直すことである。積分
$$ \int_0^x (x-t)f(t),dt $$
は、上端だけでなく integrand にも $x$ が含まれているため、微分すると
$$ \int_0^x f(t),dt $$
になる。この変形ができれば、あとは両辺を微分して一次微分方程式に帰着できる。
また、$f(x)$ を明示的に求めた後は、$e^{-x}>0$ を利用して
$$ f'(x)=e^{-x}(1-2\sin x) $$
の符号を調べればよい。端点 $0,2\pi$ の値も忘れず比較することが重要である。
答え
(1)
$$ \frac{d}{dx}\left(e^x f(x)\right)=\cos x-\sin x $$
が成り立つ。
(2)
$$ f(x)=e^{-x}(\sin x+\cos x-1) $$
であり、$0\le x\le 2\pi$ において
$$ \text{最大値}=\frac{\sqrt3-1}{2}e^{-\pi/6} $$
$$ \text{最小値}=-\frac{\sqrt3+1}{2}e^{-5\pi/6} $$
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