数学3 定積分・面積 問題 19 解説

方針・初手
2つの等式のうち、第2式の右辺にある積分 $\int_0^\pi \{f(t) - g'(t)\} dt$ は積分区間が定数から定数であるため、この部分は定数値をとる。まずはこれを定数 $C$ とおくことが定石である。 また、第1式は上限が変数 $x$ の定積分であるため、両辺を $x$ で微分することで $f(x)$ と $g(x)$ の関係式(微分方程式)を導くことができる。微分する際には、積分定数を決定するために $x=0$ を代入した初期条件も求めておく。
解法1
与えられた2つの等式をそれぞれ(1)、(2)とする。
$$f(x) = \frac{1}{2} - \int_0^x \{f'(t) + g(t)\} dt \cdots (1)$$
$$g(x) = \sin x - \int_0^\pi \{f(t) - g'(t)\} dt \cdots (2)$$
(2)の右辺の定積分は定数であるから、これを $C$ とおく。
$$C = \int_0^\pi \{f(t) - g'(t)\} dt \cdots (3)$$
これにより、(2)は次のように表される。
$$g(x) = \sin x - C \cdots (4)$$
次に(1)について考える。(1)の両辺に $x=0$ を代入すると、
$$f(0) = \frac{1}{2} \cdots (5)$$
また、(1)の両辺を $x$ で微分すると、微積分学の基本定理より以下の式が得られる。
$$f'(x) = - \{f'(x) + g(x)\}$$
整理すると、
$$2f'(x) = -g(x) \cdots (6)$$
(6)に(4)を代入する。
$$2f'(x) = -\sin x + C$$
$$f'(x) = -\frac{1}{2} \sin x + \frac{C}{2}$$
この両辺を $x$ で積分する。$D$ を積分定数として、
$$f(x) = \frac{1}{2} \cos x + \frac{C}{2} x + D \cdots (7)$$
(5)の初期条件 $f(0) = \frac{1}{2}$ を(7)に用いると、
$$f(0) = \frac{1}{2} \cos 0 + 0 + D = \frac{1}{2} + D = \frac{1}{2}$$
よって $D = 0$ となり、$f(x)$ は次のように定まる。
$$f(x) = \frac{1}{2} \cos x + \frac{C}{2} x \cdots (8)$$
これで $f(x)$ と $g(x)$ が定数 $C$ を用いて表された。次に $C$ の値を決定する。 (4)を微分すると $g'(x) = \cos x$ となる。これと(8)を(3)に代入して定積分を計算する。
$$\begin{aligned} C &= \int_0^\pi \left\{ \left(\frac{1}{2} \cos t + \frac{C}{2} t\right) - \cos t \right\} dt \\ &= \int_0^\pi \left( -\frac{1}{2} \cos t + \frac{C}{2} t \right) dt \\ &= \left[ -\frac{1}{2} \sin t + \frac{C}{4} t^2 \right]_0^\pi \\ &= \left( -\frac{1}{2} \sin \pi + \frac{C}{4} \pi^2 \right) - \left( -\frac{1}{2} \sin 0 + 0 \right) \\ &= \frac{\pi^2}{4} C \end{aligned}$$
したがって、次の方程式が得られる。
$$C \left( 1 - \frac{\pi^2}{4} \right) = 0$$
$1 - \frac{\pi^2}{4} \neq 0$ であるから、
$$C = 0$$
$C=0$ を(4)および(8)に代入し、求める関数を得る。
$$f(x) = \frac{1}{2} \cos x$$
$$g(x) = \sin x$$
解法2
(1)の定積分をそのまま計算して $f(x)$ を求める別解を示す。
(1)の右辺の積分を線形性を用いて分けると、
$$f(x) = \frac{1}{2} - \int_0^x f'(t) dt - \int_0^x g(t) dt$$
ここで $\int_0^x f'(t) dt = \left[ f(t) \right]_0^x = f(x) - f(0)$ であり、また(1)より $f(0) = \frac{1}{2}$ であるため、
$$\int_0^x f'(t) dt = f(x) - \frac{1}{2}$$
これを代入すると、
$$f(x) = \frac{1}{2} - \left( f(x) - \frac{1}{2} \right) - \int_0^x g(t) dt$$
整理して $f(x)$ について解くと、
$$2f(x) = 1 - \int_0^x g(t) dt$$
$$f(x) = \frac{1}{2} - \frac{1}{2} \int_0^x g(t) dt$$
解法1と同様に $g(t) = \sin t - C$ と表せるので、これを代入して定積分を計算する。
$$\begin{aligned} \int_0^x (\sin t - C) dt &= \left[ -\cos t - Ct \right]_0^x \\ &= (-\cos x - Cx) - (-1 - 0) \\ &= 1 - \cos x - Cx \end{aligned}$$
したがって $f(x)$ は、
$$\begin{aligned} f(x) &= \frac{1}{2} - \frac{1}{2} (1 - \cos x - Cx) \\ &= \frac{1}{2} \cos x + \frac{C}{2} x \end{aligned}$$
これ以降は解法1と同様の手順で $C=0$ を導き、答えを得る。
解説
積分方程式の典型問題である。定積分の上端が定数のものは全体を定数とおき、上端に変数が含まれるものは両辺を微分して微分方程式に帰着させるのが基本方針である。 本問の第1式は $\int_0^x f'(t) dt$ という形を含んでいるため、解法1のように両辺を微分するアプローチと、解法2のように原始関数が $f(t)$ であることを用いて直接積分を実行するアプローチの両方が可能である。どちらを選んでも計算量に大きな差はないが、積分定数や初期条件 $f(0)$ の扱いを忘れないよう注意したい。
答え
$f(x) = \frac{1}{2} \cos x$
$g(x) = \sin x$
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