数学3 定積分・面積 問題 37 解説

方針・初手
条件を満たす「1辺の長さが1で、頂点の座標がすべて整数である正方形」は、各辺が座標軸に平行なもののみであることをまず確認します。 その後、正方形の個数 $N(n)$ を「正方形の面積の総和」と捉え、これらの正方形が作る領域と、2つの円(半径 $n$ の円と、それより少し小さい円)との包含関係から面積の不等式を作り、はさみうちの原理を利用して極限を求めます。
解法1
条件(*)を満たす正方形の頂点は、すべて $x$ 座標および $y$ 座標が整数であるため格子点である。 平面上の2つの格子点 $(x_1, y_1), (x_2, y_2)$ 間の距離の2乗 $(x_1-x_2)^2 + (y_1-y_2)^2$ は整数となる。 条件より正方形の1辺の長さは1であるため、隣り合う頂点間の距離の2乗は1である。
$$(x_1-x_2)^2 + (y_1-y_2)^2 = 1$$
$x_1, x_2, y_1, y_2$ は整数であるから、この方程式を満たす $(x_1-x_2, y_1-y_2)$ の組は $(\pm 1, 0), (0, \pm 1)$ に限られる。 これは、該当する正方形の各辺が $x$ 軸または $y$ 軸に平行であることを意味する。
したがって、条件(*)を満たす正方形は、ある整数 $k, l$ を用いて4頂点が $(k,l), (k+1,l), (k,l+1), (k+1,l+1)$ で表されるものに限られる。 この正方形が占める領域(内部と周)を $S_{k,l}$ と表す。
$$S_{k,l} = \{(x,y) \mid k \le x \le k+1,\ l \le y \le l+1\}$$
円は凸図形であるから、正方形の4頂点がすべて円 $C_n$ に含まれることと、正方形 $S_{k,l}$ 全体が円 $C_n$ に含まれることは同値である。 条件を満たす $N(n)$ 個の正方形の和集合を $D_n$ とおく。 各正方形の面積は1で、互いに内部を共有しないため、$D_n$ の面積は正方形の個数 $N(n)$ に等しい。
(i) 上からの評価
$D_n$ を構成する正方形はすべて $C_n$ に含まれるため、$D_n \subset C_n$ が成り立つ。 それぞれの領域の面積を比較して、以下の不等式が得られる。
$$N(n) \le \pi n^2 \cdots \text{①}$$
(ii) 下からの評価
$n \ge 2$ とし、原点を中心とする半径 $n-\sqrt{2}$ の円の領域(内部と周)を $C'_{n}$ とする。すなわち、
$$C'_{n} = \{(x,y) \mid x^2+y^2 \le (n-\sqrt{2})^2 \}$$
である。 この $C'_{n}$ 内の任意の点 $P(x,y)$ をとる。 点 $P$ は、平面を敷き詰める1辺1の格子点正方形の少なくとも1つに含まれる。その正方形を $S$ とし、$S$ 内の任意の点を $Q(x', y')$ とおく。 正方形 $S$ 内の任意の2点間の距離は対角線の長さ $\sqrt{2}$ 以下であるから、線分 $PQ$ の長さは $\sqrt{2}$ 以下である。 原点 $O$ から $Q$ までの距離 $OQ$ は、三角不等式より
$$OQ \le OP + PQ \le (n-\sqrt{2}) + \sqrt{2} = n$$
よって、点 $Q$ は $C_n$ に含まれる。 これは、円 $C'_{n}$ と共有点を持つような正方形 $S$ は、全体が $C_n$ に含まれることを意味する。 したがって、$C'_{n}$ に含まれるすべての点は $D_n$ に含まれることになり、$C'_{n} \subset D_n$ が成り立つ。 面積を比較して、以下の不等式が得られる。
$$\pi (n-\sqrt{2})^2 \le N(n) \cdots \text{②}$$
①, ②より、$n \ge 2$ において以下の不等式が成り立つ。
$$\pi (n-\sqrt{2})^2 \le N(n) \le \pi n^2$$
辺々を $n^2$ で割ると、
$$\pi \left(1 - \frac{\sqrt{2}}{n}\right)^2 \le \frac{N(n)}{n^2} \le \pi$$
ここで、$n \to \infty$ の極限をとると、
$$\lim_{n\to\infty} \pi \left(1 - \frac{\sqrt{2}}{n}\right)^2 = \pi$$
となる。
したがって、はさみうちの原理より
$$\lim_{n\to\infty} \frac{N(n)}{n^2} = \pi$$
が示された。
解説
「ガウスの円問題」と呼ばれる、円内の格子点数を評価する有名問題を背景とした極限問題です。 格子点の個数を直接数える代わりに、「格子点を頂点とする1辺1の正方形の面積」として図形的に捉え直すのが定石です。 面積の包含関係を利用することで、不規則に増える正方形の個数を、滑らかな円の面積を用いて上下から挟み込むことができます。このとき、誤差となる外周部分の幅が最大でも正方形の対角線の長さ $\sqrt{2}$ であることを見抜けるかがポイントとなります。極限をとる際には $n^2$ で割るため、周長に比例する $n$ の1次の誤差項は消滅し、面積の係数である $\pi$ が残ります。
答え
図形の包含関係と面積の比較から不等式を導き、はさみうちの原理を用いることで $\lim_{n\to\infty} \frac{N(n)}{n^2} = \pi$ が成り立つことが証明された。
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