トップ 基礎問題 数学3 積分法 定積分・面積 問題 242

数学3 定積分・面積 問題 242 解説

数学3 定積分・面積 問題 242 解説

方針・初手

(1) 与えられた不等式を示すため、関数 $f(t) = \left\{1 + \left( \frac{1}{e} - 1 \right) t\right\} - e^{-t}$ を定義して微分し、最小値を求める方針をとる。あるいは、指数関数のグラフの凸性を利用して図形的に証明することもできる。

(2) $y$ 軸周りではなく $x$ 軸周りの回転体であるため、体積は $V(n) = \pi \int y^2 dx$ で求められる。積分区間は問題文の条件より $x=1$ から $x=e$ までとなる。そのままでは積分が困難なため、$\log x = t$ と置換積分を行い、(1) で示した不等式を適用する形を導く。

(3) 極限を求めるために、はさみうちの原理を用いる。(2) の結果から $n V(n)$ の上からの評価はすでに得られているので、下からの評価を自分で構成する。被積分関数に対して部分積分を行うことで、より精度の高い不等式を作成できる。

解法1

(1)

$$f(t) = 1 + \left( \frac{1}{e} - 1 \right) t - e^{-t}$$

とおく。これを $t$ で微分すると

$$f'(t) = \frac{1}{e} - 1 + e^{-t}$$

さらに微分すると

$$f''(t) = -e^{-t}$$

$0 \leqq t \leqq 1$ において、$e^{-t} > 0$ であるから $f''(t) < 0$ となり、$f'(t)$ は単調に減少する。 また、

$$f'(0) = \frac{1}{e} > 0, \quad f'(1) = \frac{2}{e} - 1 = \frac{2-e}{e} < 0$$

であるから、中間値の定理により $f'(c) = 0$ を満たす $c$ が $0 < c < 1$ にただ一つ存在する。 これより、$f(t)$ の増減表は次のようになる。

$t$ $0$ $\cdots$ $c$ $\cdots$ $1$
$f'(t)$ $+$ $0$ $-$
$f(t)$ $0$ $\nearrow$ 極大 $\searrow$ $0$

$f(0) = 0$ かつ $f(1) = 0$ であるから、$0 \leqq t \leqq 1$ のすべての $t$ に対して $f(t) \geqq 0$ が成り立つ。 したがって、

$$e^{-t} \leqq 1 + \left( \frac{1}{e} - 1 \right) t$$

が示された。

(2)

条件より、回転させる領域は $x \geqq 1$ における曲線 $y = \frac{(\log x)^n}{x}$ と $x$ 軸($y=0$)および直線 $x=e$ で囲まれた部分である。$1 \leqq x \leqq e$ において $y \geqq 0$ であるから、求める体積 $V(n)$ は

$$V(n) = \pi \int_{1}^{e} \left\{ \frac{(\log x)^n}{x} \right\}^2 dx = \pi \int_{1}^{e} \frac{(\log x)^{2n}}{x^2} dx$$

ここで、$\log x = t$ とおく。

$$x = e^t, \quad dx = e^t dt$$

であり、積分区間は $x$ が $1$ から $e$ に変化するとき、$t$ は $0$ から $1$ へ変化する。 よって、

$$\begin{aligned} V(n) &= \pi \int_{0}^{1} \frac{t^{2n}}{(e^t)^2} e^t dt \\ &= \pi \int_{0}^{1} t^{2n} e^{-t} dt \end{aligned}$$

(1) の結果より、$0 \leqq t \leqq 1$ において

$$e^{-t} \leqq 1 + \left( \frac{1}{e} - 1 \right) t$$

が成り立つ。$t^{2n} \geqq 0$ であるから、両辺に $t^{2n}$ を掛けても不等号の向きは変わらず、

$$t^{2n} e^{-t} \leqq t^{2n} + \left( \frac{1}{e} - 1 \right) t^{2n+1}$$

この両辺を $t$ について $0$ から $1$ まで積分すると、

$$\begin{aligned} \int_{0}^{1} t^{2n} e^{-t} dt &\leqq \int_{0}^{1} \left\{ t^{2n} + \left( \frac{1}{e} - 1 \right) t^{2n+1} \right\} dt \\ &= \left[ \frac{t^{2n+1}}{2n+1} + \left( \frac{1}{e} - 1 \right) \frac{t^{2n+2}}{2n+2} \right]_{0}^{1} \\ &= \frac{1}{2n+1} + \left( \frac{1}{e} - 1 \right) \frac{1}{2n+2} \\ &= \frac{1}{2n+1} - \frac{1}{2n+2} + \frac{1}{e(2n+2)} \\ &= \frac{(2n+2) - (2n+1)}{(2n+1)(2n+2)} + \frac{1}{e(2n+2)} \\ &= \frac{1}{(2n+1)(2n+2)} + \frac{1}{e(2n+2)} \\ &= \frac{1}{2n+2} \left( \frac{1}{2n+1} + \frac{1}{e} \right) \end{aligned}$$

両辺に $\pi$ を掛けることで、

$$V(n) \leqq \frac{\pi}{2n+2} \left( \frac{1}{e} + \frac{1}{2n+1} \right)$$

が成り立つことが示された。

(3)

(2) で得られた不等式の両辺に $n$ を掛けると、

$$n V(n) \leqq \frac{\pi n}{2n+2} \left( \frac{1}{e} + \frac{1}{2n+1} \right)$$

ここで、$n \to \infty$ とすると、右辺の極限は

$$\begin{aligned} \lim_{n \to \infty} \frac{\pi n}{2n+2} \left( \frac{1}{e} + \frac{1}{2n+1} \right) &= \lim_{n \to \infty} \frac{\pi}{2 + \frac{2}{n}} \left( \frac{1}{e} + \frac{1}{2n+1} \right) \\ &= \frac{\pi}{2} \cdot \left( \frac{1}{e} + 0 \right) \\ &= \frac{\pi}{2e} \end{aligned}$$

となる。次に、$n V(n)$ の下からの評価を行う。(2) で求めた積分について、部分積分法を用いると、

$$\begin{aligned} V(n) &= \pi \int_{0}^{1} t^{2n} e^{-t} dt \\ &= \pi \int_{0}^{1} \left( \frac{t^{2n+1}}{2n+1} \right)' e^{-t} dt \\ &= \pi \left[ \frac{t^{2n+1}}{2n+1} e^{-t} \right]_{0}^{1} - \pi \int_{0}^{1} \frac{t^{2n+1}}{2n+1} (-e^{-t}) dt \\ &= \frac{\pi}{e(2n+1)} + \frac{\pi}{2n+1} \int_{0}^{1} t^{2n+1} e^{-t} dt \end{aligned}$$

区間 $0 < t < 1$ において $t^{2n+1} e^{-t} > 0$ であるから、$\int_{0}^{1} t^{2n+1} e^{-t} dt > 0$ が成り立つ。 したがって、

$$V(n) > \frac{\pi}{e(2n+1)}$$

両辺に $n$ を掛けると、

$$n V(n) > \frac{\pi n}{e(2n+1)}$$

ここで、$n \to \infty$ とすると、右辺の極限は

$$\begin{aligned} \lim_{n \to \infty} \frac{\pi n}{e(2n+1)} &= \lim_{n \to \infty} \frac{\pi}{e \left( 2 + \frac{1}{n} \right)} \\ &= \frac{\pi}{2e} \end{aligned}$$

以上より、$n V(n)$ は上からも下からも同じ極限値に収束する式で挟まれるため、はさみうちの原理により

$$\lim_{n \to \infty} n V(n) = \frac{\pi}{2e}$$

となる。

解法2

(1) のみ別解

関数 $y = e^{-t}$ の第2次導関数は $y'' = e^{-t}$ であり、つねに $y'' > 0$ であるから、そのグラフは下に凸である。 したがって、$0 \leqq t \leqq 1$ の範囲において、曲線 $y = e^{-t}$ は、その両端の点 $(0, 1)$ と点 $\left( 1, \frac{1}{e} \right)$ を結ぶ線分よりも下側にあるか、または一致する。 この線分の方程式は、傾きが $\frac{\frac{1}{e} - 1}{1 - 0} = \frac{1}{e} - 1$、切片が $1$ であるから、

$$y = 1 + \left( \frac{1}{e} - 1 \right) t$$

である。よって、$0 \leqq t \leqq 1$ に対して、

$$e^{-t} \leqq 1 + \left( \frac{1}{e} - 1 \right) t$$

が成り立つことが示された。

解説

不等式の証明から積分による評価、そして極限へと誘導に乗って進めていく典型的な国公立大の微積分の問題である。

(1) は微分を用いて増減表を書いてもよいが、解法2のようにグラフの凸性に気がつけば計算量が大幅に減り、見通しが良くなる。関数の形を見て直線との上下関係を推測する視点を持っておきたい。

(2) は公式通りに立式し、自然対数の積分において頻出の $\log x = t$ という置換を行う。これにより、(1) で示した不等式が使える形 $t^{2n} e^{-t}$ が出現する。

(3) が本問の最大の山場である。はさみうちの原理を用いるために下からの評価式を作る必要があるが、単に $e^{-t} \geqq \frac{1}{e}$ などの緩い評価をしてしまうと、上からの極限値と一致しなくなってしまう。このような場合は、積分をそのまま評価するのではなく、「部分積分を1回行って次数を上げる」という手法が極めて有効である。部分積分によって現れる正の定積分の項を切り捨てることで、極限が一致する精度の高い不等式を得ることができる。

答え

(1) (略、解説内で証明済み)

(2) (略、解説内で証明済み)

(3) $\displaystyle \frac{\pi}{2e}$

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