数学C ド・モアブルの定理 問題 26 解説

方針・初手
整数解の存在は、最大公約数と深く関係する。前半の具体例では、ユークリッドの互除法を使って $px+qy=1$ の形を作る。
後半では
$$ \zeta_n=\cos\frac{2\pi}{n}+i\sin\frac{2\pi}{n} $$
とおくと、$X_n={\zeta_n^k\mid k\in\mathbb{Z}}$ と表せる。特に
$$ \zeta_{pq}^p=\zeta_q,\qquad \zeta_{pq}^q=\zeta_p $$
を用いるのが要点である。
解法1
(1)
$p=7,\ q=11$ のとき、求める式は
$$ 7x+11y=1 $$
である。
ユークリッドの互除法により、
$$ 11=7\cdot 1+4 $$
$$ 7=4\cdot 1+3 $$
$$ 4=3\cdot 1+1 $$
である。これを逆にたどると、
$$ 1=4-3 $$
$$ =4-(7-4) $$
$$ =2\cdot 4-7 $$
$$ =2(11-7)-7 $$
$$ =2\cdot 11-3\cdot 7 $$
となる。
したがって
$$ 7(-3)+11(2)=1 $$
であるから、整数解の一つは
$$ x=-3,\qquad y=2 $$
である。
(2)
$p=6,\ q=9$ のとき、求める式は
$$ 6x+9y=1 $$
である。
左辺は
$$ 6x+9y=3(2x+3y) $$
と表せるので、どのような整数 $x,y$ に対しても $3$ の倍数である。
しかし右辺の $1$ は $3$ の倍数ではない。したがって、
$$ 6x+9y=1 $$
を満たす整数 $x,y$ の組は存在しない。
(3)
$$ \zeta_n=\cos\frac{2\pi}{n}+i\sin\frac{2\pi}{n} $$
とおく。このとき
$$ X_n={\zeta_n^k\mid k\in\mathbb{Z}} $$
である。
いま、整数 $x,y$ が存在して
$$ px+qy=1 $$
を満たすと仮定する。
$X_{pq}$ に属する任意の数をとると、それはある整数 $m$ を用いて
$$ \zeta_{pq}^m $$
と表せる。
仮定 $px+qy=1$ の両辺を $m$ 倍すると、
$$ pmx+qmy=m $$
である。したがって
$$ \zeta_{pq}^m=\zeta_{pq}^{pmx+qmy} $$
となる。
指数法則より、
$$ \zeta_{pq}^{pmx+qmy} = \zeta_{pq}^{pmx}\zeta_{pq}^{qmy} $$
である。
ここで
$$ \begin{aligned} \zeta_{pq}^p &= \cos\frac{2\pi}{q}+i\sin\frac{2\pi}{q}\\ &= \zeta_q \end{aligned} $$
かつ
$$ \begin{aligned} \zeta_{pq}^q &= \cos\frac{2\pi}{p}+i\sin\frac{2\pi}{p}\\ &= \zeta_p \end{aligned} $$
であるから、
$$ \zeta_{pq}^{pmx}=(\zeta_{pq}^p)^{mx}=\zeta_q^{mx} $$
$$ \zeta_{pq}^{qmy}=(\zeta_{pq}^q)^{my}=\zeta_p^{my} $$
となる。
よって
$$ \zeta_{pq}^m=\zeta_q^{mx}\zeta_p^{my} $$
である。
ここで $\zeta_q^{mx}\in X_q$、$\zeta_p^{my}\in X_p$ である。したがって、$\zeta_{pq}^m$ は $X_p$ に属する数と $X_q$ に属する数の積で表される。
$m$ は任意であったから、$X_{pq}$ に属するすべての数は、$X_p$ に属する数と $X_q$ に属する数の積で表される。
(4)
$$ \zeta_n=\cos\frac{2\pi}{n}+i\sin\frac{2\pi}{n} $$
とおく。
問題の仮定より、$\zeta_{pq}$ が $X_p$ に属する数と $X_q$ に属する数の積で表される。したがって、ある整数 $a,b$ が存在して
$$ \zeta_{pq}=\zeta_p^a\zeta_q^b $$
と表せる。
すなわち、
$$ \cos\frac{2\pi}{pq}+i\sin\frac{2\pi}{pq} = \left(\cos\frac{2\pi}{p}+i\sin\frac{2\pi}{p}\right)^a \left(\cos\frac{2\pi}{q}+i\sin\frac{2\pi}{q}\right)^b $$
である。
ド・モアブルの定理より、右辺は
$$ \cos\left(2\pi\left(\frac{a}{p}+\frac{b}{q}\right)\right) +i\sin\left(2\pi\left(\frac{a}{p}+\frac{b}{q}\right)\right) $$
である。
したがって、偏角は $2\pi$ の整数倍の差を除いて等しいので、ある整数 $t$ が存在して
$$ \frac{1}{pq}=\frac{a}{p}+\frac{b}{q}+t $$
が成り立つ。
両辺に $pq$ をかけると、
$$ 1=aq+bp+tpq $$
である。これを
$$ 1=bp+q(a+tp) $$
と書き直すと、$1$ が $p$ と $q$ の整数係数の一次結合で表されている。
ここで $d$ を $p$ と $q$ の最大公約数とする。$d$ は $p$ も $q$ も割り切るから、任意の整数 $u,v$ に対して $pu+qv$ も割り切る。特に
$$ 1=bp+q(a+tp) $$
も $d$ で割り切られる。
したがって $d=1$ である。よって、$p$ と $q$ は互いに素である。
解説
この問題の中心は、整数方程式
$$ px+qy=1 $$
と、複素数の $n$ 乗根の集合 $X_n$ の関係である。
整数方程式 $px+qy=1$ が解をもつことは、$p$ と $q$ の最大公約数が $1$ であることと対応している。ただし、問題ではこの事実を直接使うだけでなく、複素数の積の形に変換することが要求されている。
(3) では、$px+qy=1$ を $m$ 倍して
$$ m=pmx+qmy $$
とすることで、$\zeta_{pq}^m$ の指数を $p$ の倍数部分と $q$ の倍数部分に分解する。すると、それぞれが $X_q$、$X_p$ の元になる。
(4) では逆に、$\zeta_{pq}$ が $X_p$ の元と $X_q$ の元の積で表されると仮定し、偏角を比較することで
$$ 1=bp+q(a+tp) $$
という整数係数の一次結合を得る。これにより、$p$ と $q$ の最大公約数が $1$ であることが従う。
答え
(1)
整数解の一つは
$$ x=-3,\qquad y=2 $$
である。
(2)
$$ 6x+9y=3(2x+3y) $$
より左辺は常に $3$ の倍数であるが、右辺 $1$ は $3$ の倍数ではない。したがって整数解は存在しない。
(3)
$px+qy=1$ を満たす整数 $x,y$ が存在するとき、任意の $\zeta_{pq}^m\in X_{pq}$ について
$$ \zeta_{pq}^m=\zeta_q^{mx}\zeta_p^{my} $$
と表せる。したがって、$X_{pq}$ に属するすべての数は、$X_p$ に属する数と $X_q$ に属する数の積で表される。
(4)
$\zeta_{pq}$ が $X_p$ の元と $X_q$ の元の積で表されるなら、ある整数 $a,b,t$ により
$$ 1=aq+bp+tpq $$
が成り立つ。よって $1$ は $p$ と $q$ の整数係数の一次結合で表されるので、$p$ と $q$ は互いに素である。
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