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京都大学 2024年 理系 第2問 解説

数学C/複素数平面数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小
京都大学 2024年 理系 第2問 解説

方針・初手

$z = \frac{x+y}{2}$ のままでは2つの変数 $x, y$ が動いて扱いづらいため、どちらか一方を固定したときの $z$ の軌跡を考え、さらにその後にもう一方を動かす「予選決勝法(1文字固定法)」のような考え方を用います。 あるいは、$x$ の条件式 $|x| \leqq 2$ に $x = 2z - y$ を代入することで、$y$ を一つ固定したときの $z$ の存在範囲を円の内部として捉え、その円の中心を動かすという図形的なアプローチをとるのが見通しが良いです。

解法1

与えられた式 $z = \frac{x+y}{2}$ を $x$ について解くと、

$$ x = 2z - y $$

これを $|x| \leqq 2$ に代入すると、

$$ |2z - y| \leqq 2 \iff \left| z - \frac{y}{2} \right| \leqq 1 $$

ここで、$w = \frac{y}{2}$ とおくと、

$$ |z - w| \leqq 1 \cdots \text{①} $$

となる。これは、ある点 $w$ が定まったとき、$z$ は点 $w$ を中心とする半径 $1$ の円の周および内部を動くことを示している。

次に、点 $w$ がどのような図形上を動くかを調べる。 $y$ は $|y - (8+6i)| = 3$ を満たすので、$y = 2w$ を代入して、

$$ |2w - (8+6i)| = 3 \iff |w - (4+3i)| = \frac{3}{2} \cdots \text{②} $$

これは、点 $w$ が中心 $\alpha = 4+3i$、半径 $\frac{3}{2}$ の円周上を動くことを示している。

したがって、$z$ が動く領域は、「円 ② の周上の点 $w$ を中心とする、半径 $1$ の円 ① の周および内部」が通過する領域である。 点 $z$ の満たす条件を、中心 $\alpha$ からの距離 $|z - \alpha|$ を用いて表す。 $z - \alpha = (z - w) + (w - \alpha)$ と変形できるので、三角不等式により

$$ |w - \alpha| - |z - w| \leqq |(z - w) + (w - \alpha)| \leqq |z - w| + |w - \alpha| $$

すなわち

$$ \left| |w - \alpha| - |z - w| \right| \leqq |z - \alpha| \leqq |z - w| + |w - \alpha| $$

が成り立つ。 ここで、② より $|w - \alpha| = \frac{3}{2}$ であり、① より $|z - w| \leqq 1$ である。 点 $w$ が円 ② 上を動き、点 $z$ が円板 ① 内を動くとき、$|z - \alpha|$ が最大となるのは、$\alpha, w, z$ がこの順に一直線上に並び、かつ $|z - w| = 1$ となるときで、最大値は $\frac{3}{2} + 1 = \frac{5}{2}$ である。 また、$|z - \alpha|$ が最小となるのは、$z$ が線分 $\alpha w$ 上にあり、かつ $|z - w| = 1$ となるときで、最小値は $\frac{3}{2} - 1 = \frac{1}{2}$ である。 途中の値もすべてとることができるため、$|z - \alpha|$ のとりうる値の範囲は

$$ \frac{1}{2} \leqq |z - (4+3i)| \leqq \frac{5}{2} $$

となる。

この領域は、点 $4+3i$ を中心とする半径 $\frac{1}{2}$ の円の外部(境界含む)かつ、点 $4+3i$ を中心とする半径 $\frac{5}{2}$ の円の内部(境界含む)である。(いわゆる円環領域)

この領域の面積 $S$ は、半径 $\frac{5}{2}$ の円の面積から、半径 $\frac{1}{2}$ の円の面積を引いたものに等しいので、

$$ S = \pi \left( \frac{5}{2} \right)^2 - \pi \left( \frac{1}{2} \right)^2 = \pi \left( \frac{25}{4} - \frac{1}{4} \right) = \frac{24}{4}\pi = 6\pi $$

解説

複素数平面における領域の通過範囲(軌跡)を求める典型問題です。 $z = \frac{x}{2} + \frac{y}{2}$ と見なすことで、「点 $\frac{y}{2}$ が描く円の周上の各点を中心として、半径 $1$ の円板を動かしたときの通過領域」として図形的に捉えることができます。 数式で厳密に処理する場合は、三角不等式 $|a|-|b| \leqq |a+b| \leqq |a|+|b|$ を活用して中心との距離の最大・最小を評価すると簡潔に記述できます。

答え

領域の図示:点 $4+3i$ を中心とする半径 $\frac{1}{2}$ の円と、点 $4+3i$ を中心とする半径 $\frac{5}{2}$ の円で囲まれた円環領域(境界線を含む)。 面積:$6\pi$

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