数学C 平面ベクトル 問題 69 解説

方針・初手
(1) は、左辺を線分 $QA$ の長さと見て、コーシー・シュワルツの不等式を用いる。 (2) は、(1) を $QA$ と $QB$ にそれぞれ適用して加えればよい。
解法1
まず
$$ QA=\sqrt{(s+1)^2+t^2}, \qquad QB=\sqrt{(s-1)^2+t^2} $$
であり、また
$$ PA=PB=\sqrt{1+t^2} $$
である。
(1) の証明
$1+t^2>0$ であるから、$\sqrt{1+t^2}$ は正である。
ベクトル $(1+s,t)$ と $(1,t)$ にコーシー・シュワルツの不等式を用いると、
$$ \sqrt{(1+s)^2+t^2}\sqrt{1+t^2} \ge (1+s)\cdot 1+t\cdot t $$
である。したがって
$$ \sqrt{(1+s)^2+t^2}\sqrt{1+t^2} \ge 1+s+t^2 $$
となる。
両辺を正の数 $\sqrt{1+t^2}$ で割れば、
$$ \sqrt{(1+s)^2+t^2} \ge \frac{1+t^2+s}{\sqrt{1+t^2}} $$
が得られる。よって (1) は成り立つ。
(2) の証明
(1) より、
$$ QA=\sqrt{(1+s)^2+t^2} \ge \frac{1+t^2+s}{\sqrt{1+t^2}} $$
である。
また、(1) において $s$ を $-s$ に置き換えると、
$$ \sqrt{(1-s)^2+t^2} \ge \frac{1+t^2-s}{\sqrt{1+t^2}} $$
である。ここで
$$ QB=\sqrt{(s-1)^2+t^2}=\sqrt{(1-s)^2+t^2} $$
だから、
$$ QB \ge \frac{1+t^2-s}{\sqrt{1+t^2}} $$
である。
以上の2つの不等式を加えると、
$$ QA+QB \ge \frac{1+t^2+s}{\sqrt{1+t^2}} + \frac{1+t^2-s}{\sqrt{1+t^2}} $$
である。右辺を整理して、
$$ QA+QB \ge \frac{2(1+t^2)}{\sqrt{1+t^2}} = 2\sqrt{1+t^2} $$
となる。
一方、
$$ \begin{aligned} PA+PB &= \sqrt{1+t^2}+\sqrt{1+t^2}\\ &= 2\sqrt{1+t^2} \end{aligned} $$
であるから、
$$ QA+QB\ge PA+PB $$
すなわち
$$ PA+PB\le QA+QB $$
が成り立つ。
解説
この問題の中心は、距離の形
$$ \sqrt{(1+s)^2+t^2} $$
をそのまま扱うのではなく、コーシー・シュワルツの不等式によって下から評価する点にある。
(1) の右辺に現れる $1+t^2+s$ は、
$$ (1+s,t)\cdot(1,t) $$
という内積である。したがって
$$ |(1+s,t)|, |(1,t)| \ge (1+s,t)\cdot(1,t) $$
を使うと自然に導かれる。
(2) では、$QA$ に対する評価と $QB$ に対する評価を足すと、$+s$ と $-s$ が打ち消し合う。この対称性を見抜くことが重要である。
答え
(1)
$$ \sqrt{(1+s)^2+t^2} \ge \frac{1+t^2+s}{\sqrt{1+t^2}} $$
は成り立つ。
(2)
$$ PA+PB\le QA+QB $$
は成り立つ。
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