九州大学 2024年 文系 第2問 解説

方針・初手
(1) 点 $B$ の座標を $(x, y)$ とおき、与えられた2つの条件から連立方程式を立式する。条件「点 $B$ は第1象限にある」から解を絞り込む。
(2) 三角形の面積を成分を用いて表し、条件を立式する。面積公式 $S = \frac{1}{2}|x_1 y_2 - x_2 y_1|$ が有用である。これにより $s$ と $t$ の関係式を導いた後、$|\overrightarrow{OC}| = 4$ の条件から値を確定させる。
解法1
(1)
点 $B$ の座標を $(x, y)$ とおく。 点 $B$ は第1象限にあるため、次の条件が成り立つ。
$$ x > 0, \quad y > 0 $$
原点 $O(0, 0)$ に対して $|\overrightarrow{OB}| = \sqrt{10}$ であるから、両辺を2乗して次の式を得る。
$$ x^2 + y^2 = 10 \quad \cdots \text{①} $$
また、$\overrightarrow{OA} = (2, 1)$、$\overrightarrow{AB} = \overrightarrow{OB} - \overrightarrow{OA} = (x-2, y-1)$ である。 $\overrightarrow{OA} \perp \overrightarrow{AB}$ より内積 $\overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{AB} = 0$ であるから、次が成り立つ。
$$ 2(x - 2) + 1(y - 1) = 0 $$
$$ 2x + y = 5 $$
これを $y$ について解くと次のようになる。
$$ y = -2x + 5 \quad \cdots \text{②} $$
②を①に代入して整理する。
$$ x^2 + (-2x + 5)^2 = 10 $$
$$ x^2 + 4x^2 - 20x + 25 = 10 $$
$$ 5x^2 - 20x + 15 = 0 $$
両辺を5で割り、因数分解する。
$$ x^2 - 4x + 3 = 0 $$
$$ (x - 1)(x - 3) = 0 $$
したがって、$x = 1, 3$ となる。
(i) $x = 1$ のとき ②より $y = -2 \cdot 1 + 5 = 3$ となり、$y > 0$ を満たす。
(ii) $x = 3$ のとき ②より $y = -2 \cdot 3 + 5 = -1$ となり、$y > 0$ を満たさないため不適。
以上より、求める点 $B$ の座標は $(1, 3)$ である。
(2)
(1)より $\overrightarrow{OA} = (2, 1)$, $\overrightarrow{OB} = (1, 3)$ である。 $\overrightarrow{OC} = s\overrightarrow{OA} + t\overrightarrow{OB}$ を成分表示する。
$$ \overrightarrow{OC} = s(2, 1) + t(1, 3) = (2s + t, s + 3t) $$
三角形 $OAC$ の面積と三角形 $OBC$ の面積をそれぞれ成分を用いて計算する。
$$ \triangle OAC = \frac{1}{2} |2(s + 3t) - 1(2s + t)| = \frac{1}{2} |2s + 6t - 2s - t| = \frac{1}{2} |5t| $$
$$ \triangle OBC = \frac{1}{2} |1(s + 3t) - 3(2s + t)| = \frac{1}{2} |s + 3t - 6s - 3t| = \frac{1}{2} |-5s| $$
$s, t$ は正の実数であるから、$|5t| = 5t$, $|-5s| = 5s$ となる。 $\triangle OAC = \triangle OBC$ であるから、次の等式が成り立つ。
$$ \frac{5}{2}t = \frac{5}{2}s $$
これを解いて $s = t$ を得る。
次に、$|\overrightarrow{OC}| = 4$ の条件を用いる。 $s = t$ より、$\overrightarrow{OC}$ は次のように表せる。
$$ \overrightarrow{OC} = s(2, 1) + s(1, 3) = (3s, 4s) $$
$|\overrightarrow{OC}| = 4$ の両辺を2乗して計算する。
$$ (3s)^2 + (4s)^2 = 4^2 $$
$$ 9s^2 + 16s^2 = 16 $$
$$ 25s^2 = 16 $$
$$ s^2 = \frac{16}{25} $$
$s > 0$ であるから、次のように求まる。
$$ s = \frac{4}{5} $$
$s = t$ であるため、$t = \frac{4}{5}$ となる。
解法2
(2) の別解(図形的な性質の利用)
平面上の点 $O, A, B$ が一直線上にないとき、$\overrightarrow{OC} = s\overrightarrow{OA} + t\overrightarrow{OB}$ によって定まる点 $C$ について、三角形の面積比と係数 $s, t$ には以下の関係がある。
底辺を $OA$ としたときの三角形 $OAC$ と三角形 $OAB$ の高さの比は、点 $C$ の $\overrightarrow{OB}$ 方向の係数 $t$ に一致する。したがって、面積について次が成り立つ。
$$ \triangle OAC = t \triangle OAB $$
同様に、底辺を $OB$ としたときの三角形 $OBC$ と三角形 $OAB$ の高さの比は、点 $C$ の $\overrightarrow{OA}$ 方向の係数 $s$ に一致する。
$$ \triangle OBC = s \triangle OAB $$
問題の条件より $\triangle OAC = \triangle OBC$ であり、また $\triangle OAB \neq 0$ であるから、次を得る。
$$ t \triangle OAB = s \triangle OAB $$
$$ s = t $$
これ以降の計算は解法1と同様であり、$\overrightarrow{OC} = s(\overrightarrow{OA} + \overrightarrow{OB})$ と変形し、$|\overrightarrow{OC}| = 4$ を解くことで $s = \frac{4}{5}, t = \frac{4}{5}$ を得る。
解説
(1)はベクトルの垂直条件と大きさの条件を成分で立式する基本的な問題である。「第1象限にある」という条件から候補を絞り込むのを忘れないよう注意したい。
(2)はベクトル方程式と三角形の面積の関係を問う問題である。解法1のように座標平面上の面積公式に持ち込むと機械的に処理できるため試験本番では確実性が高い。一方で、解法2のように「$\overrightarrow{OC} = s\overrightarrow{OA} + t\overrightarrow{OB}$ の係数 $s, t$ は、それぞれ底辺を固定したときの面積の拡大率を表している」という図形的な意味を理解していると、計算量を大幅に削減できる。
答え
(1) $(1, 3)$
(2) $s = \frac{4}{5}, \quad t = \frac{4}{5}$
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