東京大学 2025年 理系 第1問 解説

方針・初手
ベクトルの内分点の公式、または座標の加重平均を用いて、順に $P_t, Q_t, R_t, S_t, T_t, U_t$ の座標を $t$ の式で表す。 面積や曲線の長さは、媒介変数表示された曲線の積分公式に当てはめて計算する。曲線の長さの積分では、根号の中身が完全平方式になることに着目する。
解法1
(1)
点 $P_t$ は線分 $AB$ を $t : (1-t)$ に内分する点であるから、その座標は $(1-t)A + tB$ で与えられる(以下、点の座標と位置ベクトルを同一視する)。 $A(0, 0), B(0, 1)$ より、
$$ P_t = (1-t)(0, 0) + t(0, 1) = (0, t) $$
点 $Q_t$ は線分 $BC$ を $t : (1-t)$ に内分する点であり、$C(1, 1)$ より、
$$ Q_t = (1-t)(0, 1) + t(1, 1) = (t, 1) $$
点 $R_t$ は線分 $CD$ を $t : (1-t)$ に内分する点であり、$D(1, 0)$ より、
$$ R_t = (1-t)(1, 1) + t(1, 0) = (1, 1-t) $$
次に、線分 $P_t Q_t$ を $t : (1-t)$ に内分する点 $S_t$ の座標は、
$$ S_t = (1-t)P_t + tQ_t = (1-t)(0, t) + t(t, 1) = (t^2, t(1-t) + t) = (t^2, 2t-t^2) $$
線分 $Q_t R_t$ を $t : (1-t)$ に内分する点 $T_t$ の座標は、
$$ T_t = (1-t)Q_t + tR_t = (1-t)(t, 1) + t(1, 1-t) = (t(1-t) + t, 1-t + t(1-t)) = (2t-t^2, 1-t^2) $$
さらに、線分 $S_t T_t$ を $t : (1-t)$ に内分する点 $U_t$ の座標は、
$$ U_t = (1-t)S_t + tT_t $$
この $x$ 座標と $y$ 座標をそれぞれ計算する。 $x$ 座標は、
$$ (1-t)t^2 + t(2t-t^2) = t^2 - t^3 + 2t^2 - t^3 = 3t^2 - 2t^3 $$
$y$ 座標は、
$$ (1-t)(2t-t^2) + t(1-t^2) = 2t - 3t^2 + t^3 + t - t^3 = 3t - 3t^2 $$
よって、点 $U_t$ の座標は $(3t^2 - 2t^3, 3t - 3t^2)$ である。 $t=0$ のとき $U_0 = (0, 0) = A$、$t=1$ のとき $U_1 = (1, 0) = D$ となり、これは問題の条件とも一致する。
(2)
点 $U_t$ の座標を $(x(t), y(t))$ とおく。
$$ \begin{cases} x(t) = 3t^2 - 2t^3 \\ y(t) = 3t - 3t^2 \end{cases} $$
$0 \leqq t \leqq 1$ における $x(t)$ の増減を調べる。
$$ x'(t) = 6t - 6t^2 = 6t(1-t) $$
$0 \leqq t \leqq 1$ において $x'(t) \geqq 0$ であるから、$x(t)$ は単調に増加する。 また、$y(t) = 3t(1-t)$ であるから、$0 \leqq t \leqq 1$ において $y(t) \geqq 0$ である。 線分 $AD$ は $x$ 軸上の区間 $0 \leqq x \leqq 1$ であるから、求める面積 $S$ は、
$$ S = \int_{0}^{1} y(t) dx $$
置換積分法により $dx = x'(t)dt$ とし、積分区間を $t$ で表すと、
$$ S = \int_{0}^{1} y(t) x'(t) dt = \int_{0}^{1} (3t - 3t^2) \cdot 6t(1-t) dt $$
$$ S = 18 \int_{0}^{1} t(1-t) \cdot t(1-t) dt = 18 \int_{0}^{1} t^2(1-t)^2 dt $$
被積分関数を展開すると $t^2 - 2t^3 + t^4$ となるため、
$$ S = 18 \int_{0}^{1} (t^2 - 2t^3 + t^4) dt = 18 \left[ \frac{1}{3}t^3 - \frac{1}{2}t^4 + \frac{1}{5}t^5 \right]_{0}^{1} $$
$$ S = 18 \left( \frac{1}{3} - \frac{1}{2} + \frac{1}{5} \right) = 18 \times \frac{10 - 15 + 6}{30} = 18 \times \frac{1}{30} = \frac{3}{5} $$
(3)
曲線の長さ $L(a)$ は、次の定積分で求められる。
$$ L(a) = \int_{0}^{a} \sqrt{(x'(t))^2 + (y'(t))^2} dt $$
根号の中身を計算する。$y'(t) = 3 - 6t$ であるから、
$$ (x'(t))^2 + (y'(t))^2 = (6t - 6t^2)^2 + (3 - 6t)^2 $$
$$ = 36t^2(1 - 2t + t^2) + 9(1 - 4t + 4t^2) $$
$$ = 36t^2 - 72t^3 + 36t^4 + 9 - 36t + 36t^2 $$
$$ = 36t^4 - 72t^3 + 72t^2 - 36t + 9 $$
$$ = 9(4t^4 - 8t^3 + 8t^2 - 4t + 1) $$
ここで、$4t^4 - 8t^3 + 8t^2 - 4t + 1$ の因数分解を考える。 多項式の平方 $(At^2 + Bt + C)^2 = A^2t^4 + 2ABt^3 + (2AC+B^2)t^2 + 2BCt + C^2$ の形を想定し係数を比較すると、 $A^2 = 4$ より $A = 2$ とし、$2AB = -8$ から $B = -2$、$2BC = -4$ から $C = 1$ を得る。 このとき $2AC+B^2 = 2 \cdot 2 \cdot 1 + (-2)^2 = 8$ となり、2次の係数とも一致する。 よって、
$$ 4t^4 - 8t^3 + 8t^2 - 4t + 1 = (2t^2 - 2t + 1)^2 $$
と変形できる。したがって、
$$ (x'(t))^2 + (y'(t))^2 = 9(2t^2 - 2t + 1)^2 $$
$2t^2 - 2t + 1 = 2 \left( t - \frac{1}{2} \right)^2 + \frac{1}{2} > 0$ であるから、定積分における根号をそのまま外すことができ、
$$ \sqrt{(x'(t))^2 + (y'(t))^2} = 3(2t^2 - 2t + 1) $$
となる。よって、曲線の長さ $L(a)$ は、
$$ L(a) = \int_{0}^{a} 3(2t^2 - 2t + 1) dt = 3 \left[ \frac{2}{3}t^3 - t^2 + t \right]_{0}^{a} $$
$$ L(a) = 2a^3 - 3a^2 + 3a $$
解説
コンピュータグラフィックスなどで滑らかな曲線を描くための「ベジェ曲線(Bézier curve)」を題材にした問題である。本問は3次のベジェ曲線の構成法(ド・カステリョのアルゴリズム)を示している。 (1) は定義通りに内分点の計算を繰り返すだけであり、確実に正解したい。 (2) は媒介変数表示された曲線の面積の基本問題である。$x(t)$ が単調増加であることを確認し、置換積分を正しく実行する。定積分の計算では、展開して項ごとに積分するのが堅実である。 (3) は曲線の長さの公式に代入する。根号の中身の4次式が完全平方式になることに気づけるかが鍵となる。曲線の長さの問題では、このように根号が外れるように作問されていることが多いため、それを予期して平方完成($(At^2+Bt+C)^2$ の形への変形)を試みるとよい。
答え
(1)
$(3t^2 - 2t^3, 3t - 3t^2)$
(2)
$\frac{3}{5}$
(3)
$2a^3 - 3a^2 + 3a$
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