トップ 基礎問題 数学C 平面ベクトル 平面ベクトル(斜交座標) 問題 10

数学C 平面ベクトル(斜交座標) 問題 10 解説

数学C 平面ベクトル(斜交座標) 問題 10 解説

方針・初手

点 $P,Q,R$ はそれぞれ辺 $AB,BC,CA$ 上を動くので、各点を位置ベクトルでパラメータ表示する。

三角形 $PQR$ の重心は

$$ \frac{\vec p+\vec q+\vec r}{3} $$

で表されるから、これを三角形 $ABC$ に関する重心座標の形に直す。すると、動く範囲は三角形 $ABC$ の各辺の三等分点で決まる六角形になる。

解法1

点 $A,B,C$ の位置ベクトルをそれぞれ $\vec a,\vec b,\vec c$ とする。

$P,Q,R$ は頂点とは異なる辺上の点なので、ある実数 $s,t,u$ を用いて

$$ 0<s<1,\quad 0<t<1,\quad 0<u<1 $$

かつ

$$ \vec p=(1-s)\vec a+s\vec b,\quad \vec q=(1-t)\vec b+t\vec c,\quad \vec r=(1-u)\vec c+u\vec a $$

と表せる。

三角形 $PQR$ の重心を $X$ とし、その位置ベクトルを $\vec x$ とすると、

$$ \begin{aligned} \vec x &=\frac{\vec p+\vec q+\vec r}{3} \\ &=\frac{(1-s)\vec a+s\vec b+(1-t)\vec b+t\vec c+(1-u)\vec c+u\vec a}{3} \\ &=\frac{1-s+u}{3}\vec a+\frac{s+1-t}{3}\vec b+\frac{t+1-u}{3}\vec c. \end{aligned} $$

ここで

$$ \alpha=\frac{1-s+u}{3},\quad \beta=\frac{s+1-t}{3},\quad \gamma=\frac{t+1-u}{3} $$

とおくと、

$$ \alpha+\beta+\gamma=1 $$

であり、また $0<s,t,u<1$ より

$$ 0<\alpha<\frac{2}{3},\quad 0<\beta<\frac{2}{3},\quad 0<\gamma<\frac{2}{3} $$

が成り立つ。

したがって、重心 $X$ は

$$ \vec x=\alpha\vec a+\beta\vec b+\gamma\vec c,\quad \alpha+\beta+\gamma=1 $$

と表される点のうち、

$$ 0<\alpha,\beta,\gamma<\frac{2}{3} $$

を満たす範囲にある。

この条件の図形的意味を考える。

まず $\alpha,\beta,\gamma>0$ は、点 $X$ が三角形 $ABC$ の内部にあることを表す。

次に、例えば $\alpha<\dfrac{2}{3}$ は、頂点 $A$ に近すぎる部分を除く条件である。直線

$$ \alpha=\frac{2}{3} $$

は辺 $AB,AC$ を三等分する点を結ぶ直線であり、辺 $BC$ に平行である。同様に、

$$ \beta=\frac{2}{3},\quad \gamma=\frac{2}{3} $$

も、それぞれ頂点 $B,C$ に近い小三角形を切り取る直線である。

したがって、重心 $X$ の動く範囲は、三角形 $ABC$ の各辺を三等分した点を順に結んでできる六角形の内部である。

実際に逆向きも成り立つ。すなわち、

$$ \alpha+\beta+\gamma=1,\quad 0<\alpha,\beta,\gamma<\frac{2}{3} $$

を満たす点 $X$ に対して、

$$ \vec x=\alpha\vec a+\beta\vec b+\gamma\vec c $$

とする。

このとき

$$ \alpha=\frac{1-s+u}{3},\quad \beta=\frac{s+1-t}{3},\quad \gamma=\frac{t+1-u}{3} $$

を満たす $0<s,t,u<1$ を選ぶことができる。実際、

$$ t=s+1-3\beta,\quad u=s+3\alpha-1 $$

とおけばよい。$s$ は

$$ \max(0,3\beta-1,1-3\alpha)<s<\min(1,3\beta,2-3\alpha) $$

を満たすように選べる。この区間が空でないことは、

$$ 0<\alpha,\beta,\gamma<\frac{2}{3},\quad \alpha+\beta+\gamma=1 $$

から従う。

よって、上の六角形の内部の任意の点は、実際に三角形 $PQR$ の重心として実現できる。

解説

この問題の本質は、重心を「3点の位置ベクトルの平均」として扱うことである。

$P,Q,R$ はそれぞれ辺上を独立に動くが、重心の係数を三角形 $ABC$ に関する重心座標で見ると、

$$ 0<\alpha,\beta,\gamma<\frac{2}{3} $$

という単純な条件に整理される。

$\alpha,\beta,\gamma>0$ は三角形 $ABC$ の内部を表し、$\alpha,\beta,\gamma<\dfrac{2}{3}$ は各頂点付近の小三角形を除くことを表す。したがって、残る範囲は三角形 $ABC$ の各辺の三等分点を順に結んだ中央の六角形の内部である。

また、$P,Q,R$ は頂点とは異なる点なので、六角形の辺上は含まれない。図示するときは、各辺を三等分し、その6点を順に結んだ六角形を描き、その内部だけを塗ればよい。

答え

三角形 $ABC$ の各辺の三等分点を順に結んでできる六角形の内部。

ただし、$P,Q,R$ は頂点とは異なるので、その六角形の辺上は含まない。

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