北海道大学 1963年 理系 第3問 解説

方針・初手
与えられた二次関数を平方完成し、最小値 $M$ を $a$ と $b$ の式で表す。 条件 $0 \leqq f(0) \leqq 5$ および $1 \leqq f(1) \leqq 3$ から、$a$ と $b$ が満たすべき不等式を導き、$ab$ 平面上の領域 $D$ として捉える。 その後、領域 $D$ 内において $M$ を表す関数の最大値と最小値を求める。最大最小の探索は、変数を固定して境界線上の値に帰着させるか、グラフの平行移動を用いて視覚的に解く手法が有効である。
解法1
関数 $f(x)$ を平方完成すると、
$$ f(x) = \left( x + \frac{a}{2} \right)^2 - \frac{a^2}{4} + b $$
となるため、$f(x)$ は $x = - \frac{a}{2}$ のとき、最小値 $M$ をとる。したがって、
$$ M = - \frac{a^2}{4} + b $$
である。
次に、与えられた条件から $a, b$ の満たすべき条件を求める。 $f(0) = b$ であるから、
$$ 0 \leqq b \leqq 5 \quad \cdots \text{①} $$
$f(1) = 1 + a + b$ であるから、$1 \leqq 1 + a + b \leqq 3$ より、
$$ -a \leqq b \leqq 2 - a \quad \cdots \text{②} $$
$ab$ 平面上において、不等式①と②を同時に満たす領域を $D$ とする。 領域 $D$ は、4つの直線 $b = 0$, $b = 5$, $b = -a$, $b = 2-a$ で囲まれた閉領域であり、その頂点は $(0, 0)$,$(2, 0)$,$(-3, 5)$,$(-5, 5)$ の4点となる。
ここで、領域 $D$ における $M = - \frac{a^2}{4} + b$ の最大値と最小値を調べる。 任意の $a$ を固定したとき、$M$ は $b$ について一次の係数が正の一次関数であるから、最大値および最小値は必ず $b$ のとりうる範囲の端、すなわち領域 $D$ の境界上に現れる。 したがって、領域 $D$ を構成する4つの線分上での $M$ の値の変化を調べれば十分である。
(i) 線分 $b = 0$ ($0 \leqq a \leqq 2$) 上のとき
$$ M = - \frac{a^2}{4} $$
この範囲において、 $a = 0$ のとき最大値 $0$ $a = 2$ のとき最小値 $-1$ をとる。
(ii) 線分 $b = 5$ ($-5 \leqq a \leqq -3$) 上のとき
$$ M = 5 - \frac{a^2}{4} $$
この範囲において、 $a = -3$ のとき最大値 $5 - \frac{9}{4} = \frac{11}{4}$ $a = -5$ のとき最小値 $5 - \frac{25}{4} = - \frac{5}{4}$ をとる。
(iii) 線分 $b = -a$ ($-5 \leqq a \leqq 0$) 上のとき
$$ M = -a - \frac{a^2}{4} = - \frac{1}{4}(a+2)^2 + 1 $$
この範囲において、 $a = -2$ のとき最大値 $1$ $a = -5$ のとき最小値 $- \frac{5}{4}$ をとる。
(iv) 線分 $b = 2-a$ ($-3 \leqq a \leqq 2$) 上のとき
$$ M = 2-a - \frac{a^2}{4} = - \frac{1}{4}(a+2)^2 + 3 $$
この範囲において、 $a = -2$ のとき最大値 $3$ $a = 2$ のとき最小値 $-1$ をとる。
以上 (i) ~ (iv) の結果を比較すると、領域 $D$ 全体における $M$ の最大値と最小値は次のようになる。
- 最大値は $3$ ($a = -2, b = 4$ のとき)
- 最小値は $- \frac{5}{4}$ ($a = -5, b = 5$ のとき)
また、関数 $f(x)$ が最小値 $M$ をとるような $x$ の値は $x = - \frac{a}{2}$ であるため、それぞれの場合の $x$ は以下の通り計算できる。
$M$ が最大値 $3$ をとるとき、
$$ x = - \frac{-2}{2} = 1 $$
$M$ が最小値 $- \frac{5}{4}$ をとるとき、
$$ x = - \frac{-5}{2} = \frac{5}{2} $$
解法2
領域 $D$ を設定する手順までは解法1と同様とする。 $M = b - \frac{a^2}{4}$ より、
$$ b = \frac{1}{4}a^2 + M $$
と変形する。これは $ab$ 平面上において、頂点が $(0, M)$ で下に凸の放物線を表す。 この放物線が領域 $D$ と共有点をもつような $M$ (放物線の $b$ 切片)の最大値と最小値を求める図形的な問題に帰着できる。
$M$ を最大にするには、放物線を可能な限り下へ平行移動させればよい。 図形的に考えると、放物線が領域 $D$ の上側の境界線 $b = 2 - a$ と接するときに $M$ が最大になる。 $b = \frac{1}{4}a^2 + M$ と $b = 2 - a$ から $b$ を消去して整理すると、
$$ \frac{1}{4}a^2 + a + M - 2 = 0 $$
これが重解をもつ条件として、判別式を $\mathcal{D}$ とすると、
$$ \mathcal{D} = 1^2 - 4 \cdot \frac{1}{4} (M - 2) = 0 $$
$$ 1 - M + 2 = 0 \iff M = 3 $$
このとき、接点の $a$ 座標は重解の条件から $a = -2$ となり、対応する $b$ は $b = 2 - (-2) = 4$ である。点 $(-2, 4)$ は領域 $D$ の線分上の点として条件を満たすため、最大値は $3$ である。
次に、$M$ を最小にするには、放物線を可能な限り上へ平行移動させればよい。 図形的に考えると、放物線が領域 $D$ の左上の頂点 $(-5, 5)$ を通るときに $M$ が最小になる。 代入して計算すると、
$$ 5 = \frac{1}{4}(-5)^2 + M \iff M = 5 - \frac{25}{4} = - \frac{5}{4} $$
したがって、最小値は $- \frac{5}{4}$ である。
そのときの $f(x)$ の最小値を与える $x$ の値($x = - \frac{a}{2}$)の求め方は、解法1と同様である。
解説
独立変数 $x$ の二次関数の最小値 $M$ が、係数 $a, b$ によってどのように変化するかを考察する問題である。 条件式から $a, b$ の存在領域を図示し、その領域内での目的関数(今回は $M$)の最大・最小を求めるという、線形計画法の考え方を非線形関数に応用する典型的な手法が求められる。 解法1のように境界線上の1変数関数に帰着させて確実に調べる方法と、解法2のように放物線のグラフの平行移動として視覚的に解く方法があり、どちらも実戦的で有効なアプローチである。 最後に求める値が「$M$ を与える $a$ や $b$ の値」ではなく「$M$ を与える $x$ の値」である点に注意し、置き換えた変数から元の変数に立ち返る計算を忘れないようにしたい。
答え
$M$ の最大値は $3$ であり、そのときの $x$ の値は $1$ $M$ の最小値は $- \frac{5}{4}$ であり、そのときの $x$ の値は $\frac{5}{2}$
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