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東北大学 1963年 理系 第1問 解説

数学1/二次関数数学1/方程式不等式テーマ/最大・最小テーマ/場合分け
東北大学 1963年 理系 第1問 解説

方針・初手

2つの方程式について、それぞれの解を解の公式を用いて具体的に表し、直接比較するのが最も確実なアプローチです。はじめの方程式の「絶対値の小さくない方」の解は、解の公式の複合の選び方によって絶対値がどのように変化するかを考えることで、簡潔に表すことができます。

また、方程式の解が満たす等式から不等式を導き、もう一方の方程式が定める関数の性質と結びつける別解も有効です。

解法1

方程式 $x^2 + bx + c = 0$ は実根をもつから、判別式を $D_1$ とすると、$D_1 = b^2 - 4c \ge 0$ である。 解の公式より、2つの根は

$$ x = \frac{-b \pm \sqrt{b^2 - 4c}}{2} $$

となる。$\alpha$ はこれらのうち絶対値が小さくない方の根である。 ここで、任意の実数 $A, B$ に対して、$\max(|A+B|, |A-B|) = |A| + |B|$ が成り立つことを利用する。$A = -b$, $B = \sqrt{b^2 - 4c} \ge 0$ とすると、解の絶対値の最大値は次のように一意に定まる。

$$ |\alpha| = \frac{|-b| + |\sqrt{b^2 - 4c}|}{2} = \frac{|b| + \sqrt{b^2 - 4c}}{2} $$

次に、方程式 $x^2 - |b|x - |c| = 0$ について考える。 判別式を $D_2$ とすると、$D_2 = (-|b|)^2 - 4(-|c|) = b^2 + 4|c| \ge 0$ であるから、常に実根をもつ。 解の公式より

$$ x = \frac{|b| \pm \sqrt{b^2 + 4|c|}}{2} $$

$\beta$ はこの方程式の正根である。$\sqrt{b^2 + 4|c|} \ge \sqrt{b^2} = |b|$ であるから、複合がマイナスの解は $0$ 以下となる。したがって、正根となるのは複合がプラスの場合であり、次のように定まる。

$$ \beta = \frac{|b| + \sqrt{b^2 + 4|c|}}{2} $$

$|\alpha|$ と $\beta$ の大小を比較するため、ルートの中の式の大小を調べる。

(i) $c \le 0$ のとき $|c| = -c$ であるから、$b^2 - 4c = b^2 + 4|c|$ が成り立つ。 したがって $\sqrt{b^2 - 4c} = \sqrt{b^2 + 4|c|}$ となり、$|\alpha| = \beta$ である。

(ii) $c > 0$ のとき $|c| = c$ であるから、$b^2 - 4c < b^2 + 4c = b^2 + 4|c|$ が成り立つ。 したがって $\sqrt{b^2 - 4c} < \sqrt{b^2 + 4|c|}$ となり、$|\alpha| < \beta$ である。

解法2

$\alpha$ は方程式 $x^2 + bx + c = 0$ の根であるから、

$$ \alpha^2 + b\alpha + c = 0 $$

$$ \alpha^2 = -b\alpha - c $$

両辺の絶対値をとり、三角不等式 $|X+Y| \le |X| + |Y|$ を用いると

$$ |\alpha|^2 = |-b\alpha - c| \le |-b\alpha| + |-c| = |b||\alpha| + |c| $$

よって、次の不等式を得る。

$$ |\alpha|^2 - |b||\alpha| - |c| \le 0 $$

ここで、関数 $f(x) = x^2 - |b|x - |c|$ を考える。 方程式 $f(x) = 0$ は条件より正根 $\beta$ をもつ。$f(0) = -|c| \le 0$ であり、$f(x)$ のグラフは下に凸の放物線であるから、$x \ge 0$ の範囲において次が成り立つ。

$$ f(x) \le 0 \iff 0 \le x \le \beta $$

上で示したように $f(|\alpha|) \le 0$ であり、$|\alpha| \ge 0$ であるから、次が成り立つ。

$$ |\alpha| \le \beta $$

さらに等号成立条件を調べる。 $|\alpha| = \beta$ となるのは $f(|\alpha|) = 0$ のとき、すなわち三角不等式において $|-b\alpha - c| = |-b\alpha| + |-c|$ となるときである。これは $-b\alpha$ と $-c$ が同符号(または少なくとも一方が $0$)となるときであり、条件として $(-b\alpha)(-c) \ge 0 \iff bc\alpha \ge 0$ を満たすときである。

方程式 $x^2 + bx + c = 0$ のもう一方の根を $\gamma$ とする($|\alpha| \ge |\gamma|$)。 解と係数の関係より $b = -(\alpha+\gamma), c = \alpha\gamma$ である。

(i) $c \le 0$ のとき $\alpha\gamma \le 0$ より、$\alpha$ と $\gamma$ は異符号または少なくとも一方が $0$ である。$|\alpha| \ge |\gamma|$ より、$\alpha+\gamma$ の符号は $\alpha$ の符号と一致する(または $0$ になる)。 したがって、$-b\alpha = (\alpha+\gamma)\alpha \ge 0$ となる。$-c \ge 0$ であるから、$-b\alpha$ と $-c$ はともに $0$ 以上となり、等号が成立して $|\alpha| = \beta$ となる。

(ii) $c > 0$ のとき $\alpha\gamma > 0$ より、$\alpha$ と $\gamma$ は同符号である。$|\alpha| \ge |\gamma|$ より、$\alpha+\gamma$ の符号は $\alpha$ の符号と一致する。 したがって、$-b\alpha = (\alpha+\gamma)\alpha > 0$ となる。一方 $-c < 0$ であるから、$-b\alpha$ と $-c$ は異符号となり、等号は成立せず $|\alpha| < \beta$ となる。

解説

「絶対値の小さくない方」という表現は、2つの解を $\alpha_1, \alpha_2$ としたときの $\max(|\alpha_1|, |\alpha_2|)$ を意味します。解の公式を用いた解法1では、絶対値の最大値を求める際に $\max(|A+B|, |A-B|) = |A| + |B|$ という関係式を知っていると、煩雑な場合分けを回避して一気に計算を進めることができます。

解法2は、根が方程式を満たすという定義に立ち返り、絶対値の三角不等式と2次関数のグラフの性質を組み合わせる解法です。計算量は減りますが、等号成立条件を厳密に調べるには解と係数の関係を用いた論理的な考察力が必要になります。

答え

$c \le 0$ のとき $|\alpha| = \beta$ $c > 0$ のとき $|\alpha| < \beta$

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